大町市に魅力を感じ、Iターン・Uターンして地域に根ざした仕事に従事されている
皆さんや、大町市の地域資源を活用した仕事を起業された皆さんを紹介します。

信濃大町駅から商店街を北に向かって10分、長野銀行手前を左折してしばらく歩くと左手です
白い漆喰調の壁のゆるやかなカーブに誘われるように木の扉を開けると、目に飛び込んでくるのはカウンター越しに並べられたたくさんのコーヒー豆の瓶。そして芳ばしい香りと共に、看板犬のパグのネネちゃんが迎えてくれます。本日はユナイトコーヒーのマスターである松浦周平 さんにお話しをお聞きしました。
――お店の外装も本当に可愛らしいですが、内装も本当にお洒落ですね。
松浦さん 内装は妻に任せました。「かもめ食堂」っていう映画を知ってますか? 妻が好きで。あの映画はフィンランドの海沿いで日本人が食堂を始めるという話なので腰板なんかも青色でイメージを統一してますけど、ユナイトはあれの山版ってことで、木の温もりを残して自然な感じにしました。
――お店はいつから始められたのですか?
松浦さん 6年前ですね。僕自身は兵庫出身なんですが、スノーボードが大好きで13年前に白馬に引っ越してきました。当時はプロを目指していて、冬はスキー場、夏は立山で働くという生活をしてましたね。ただ山を降りると夏の仕事があまりなくて、それで大町に越してきました。そんな時旅行でいった金沢の自家焙煎のお店ですごくおいしいコーヒーを飲んで感動しまして、コーヒーに強い興味を持ちました。帰ってきてからカフェ巡りをする中で、当時松本にあった兄弟子のカフェに通うようになり、そこから研修先のバッハコーヒーを紹介されました。東京の台東区にお店がある、ほんとの自家焙煎の第一人者のお店です。つい先日もNHKの番組で特集を組まれてました。コーヒー界の重鎮ですね。
――どんなことを学ばれたのですか?
松浦さん 焙煎っていうのはそんな難しいことじゃなくて、フライパンとコンロさえあればできる事なんです。でもいつもその豆の一番の味を提供するというのは難しいことで。コーヒーはその土地の四季、その日の気温、湿度にも大きく味を左右されます。その中で常にベストな豆の味を出せる技術をもっているのがプロです。
そして、良いコーヒーをつくるには三つの大事な要素があります。第一に鮮度がいい、新鮮で挽いてから時間があまりたってない豆であること。第二に適正な焙煎、ちゃんとした焙煎器でその豆に合った焙煎ができていること。第三に、ハンドピックというんですが、豆が海外から日本にきた時点で混じっている、腐ったり発酵したり、虫が食っている豆、欠点豆を丁寧に取り除くことです。食べたからと言って体に悪影響が出るってことはまずないんですけど、味には間違いなく影響があります。本当に良いコーヒーを飲もうとすると、こういった手間は惜しめないです。
いろいろなライフスタイルに合わせてのコーヒーがあると思うので、もちろんインスタントコーヒーなんかも悪くないと思いますし、僕も時々飲みます。ただ間違いなく丁寧なハンドピックなんかはしてないですし、抽出までした後フリーズドライしたものなので当然味は変わってしまっていて、まったく別ものと考えています。
――今頂いているコーヒーも本当においしいです。そしてこうして瓶が並んでいるのをみると本当にすごい種類の豆ですね。
松浦さん 松本平中を探してもこれだけの豆の数を置いているのはうち以外には兄弟子のカフェだけじゃないかと思います。これがバッハコーヒーのスタイルなんです。
――やっぱりもともとコーヒーがお好きだったのですか?
松浦さん 実は昔はコーヒーを特別好きというわけではなかったんです。でも今考えるとそれが良かったと思っています。うちではお客さんと話しながら、その人にあった、その人が今飲みたいであろうコーヒー豆を選んでいきます。その時にもともと自分にこだわりが無かったので、自分の好みを押し付けるようなことはしないで豆を選ぶことがし易かったと思います。一応「今日のコーヒー」というのはあるけれども、基本はそれです。
――お客さんはどんな方が多いのですか?
松浦さん やっぱり一番は地元の方ですね。若い方から、ご年配の方まで来てくれています。中には全国で140軒ぐらいあるバッハグループのお店をまわっているコーヒー好きの方たちなんかもいまして、良いプレッシャーになっています。
豆の小売もやってますので、それを買いにいらっしゃる方も多いですね。あと何軒かの美容院やホテル、カフェさんにも豆をお分けしています。南は安曇野から、大町、白馬にも何店舗かあります。
――大町に来て良かったと思うことはどんなことですか?
松浦さん やっぱり水が本当においしいですね。イベントで男清水、女清水でコーヒーを淹れたこともあります。大町の水は超軟水なんですよね。そうすると、とてもまろやかなコーヒーになります。
プライベートで感じる大町の良さは、都会では持てないライフスタイルを持てることですね。生活の規模が小さいからこそ出来るものがあって。たとえばスノーボードだと大阪・東京の人からすれば、何日か前から予定をたててみんなで乗り合わせて、みたいなちょっとした旅行じゃないですか。でも僕らがスノーボードに行くのは、言うならばカラオケに行こうぐらいの気楽さ。僕らはスノーボードが生活だったんで。今日は天気がいいからスノボ行こうかみたいな、思い付きで。公園行くような感覚ですから。そういうのは都会じゃまずできない生活ですよね。
――今後お店としてやっていきたいこと、展望などはありますか?
松浦さん お店としては今の豆、今の味を大事に品質を保っていきたいですね。あとは自分のできる範囲で弟子をとってですね、豆の品種や味、焙煎の方法などを教えて独立させていきたいと思っています。一年半ほど前から教えて先日一人上田で独立しました。自分の考えるバッハのコーヒーの考えを基にした、このユナイトのコーヒーの考えを広げていきたいですね。ただ僕一人がやることなんで、基本的に何人も教えられることじゃなく、一年に一人か二人ぐらいですけど。
学びたいという方が飛び込んできたときは、最初はどうしようか迷ったんです。でも自分の考えをまとめるにも良い機会だなと思って。僕は教えるのも好きなタイプだから、苦ではなかったです。
――それはもう地域貢献であると同時に社会貢献ですね。
松浦さん 実はカフェをやる意味っていうのはまさに地域に根差した社会貢献だと、バッハの研修でも一番最初に教わります。歴史的に見てもカフェはトルコで発祥した時から文化交流の場であって、情報収集の場だったんですね。アフリカからトルコを通じてヨーロッパへコーヒーを飲む文化が広がっていくのと一緒に、社交場としてのカフェが急速に広がっていきました。いろんな人や考えが繋がって、もっとよいものが生まれる、そういう場を提供するのがカフェの大きな役割と考えてます。
あそこにかけてある絵は夫婦で付き合いのある友人のイラストレーターに描いてもらったものなんですが、一応店名のユナイトも「繋がる」、っていう意味なんで、離れた二つの絵の人物の髪の毛が繋がっていたり、体の長い犬が繋がっていたりしていて。そんなメッセージを込めて描いてくれたものなんですよ。
――素敵なお話しをありがとうございました。最後に、市民の皆様へのメッセージをお願いいたします。
松浦さん コーヒーの世界もどんどん状況が変わっていくので、僕も今でもバッハにも年何回か勉強しに行くし、常にコーヒーについての勉強は継続しています。東京で店を出してももちろんこの味でやっていける自信はありますし、日本でも最高峰レベルのコーヒーを出しているという自負はあります。良ければユナイトにあなたのお気に入りのコーヒーを見つけに来て下さい。
企業情報
- 名 称
- 自家焙煎珈琲屋 UNITE COFFEE
- 代表者
- 松浦 周平
- 創 業
- 2009年
- 郵便番号
- 〒398-0002
- 住 所
- 長野県大町市大町 4098-4
- 電話番号
- 0261-85-0180
- ファックス
- 0261-85-0180
- Eメール
- fresh@unitecoffee.com
- ウェブサイト
- http://unitecoffee.com
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