大町市の地域資源を活用したコミュニティビジネスを紹介します。

5月から11月までは駅前本通り「塩入家具店」と「わちがい」前の金曜朝市に出店しています。
農家の奥様たちが始めたベンチャービジネス。郷土の味としてイベントでは大人気。野菜の栽培からパッケージのデザインまで自分たちでこなしています。幾つもの仕事を掛け持ちしながら、さらに頑張る元気の秘密に迫ります。
「信濃大町のつけものや」代表の曽根原叶子さんにお話を伺いました。
――「信濃大町のつけものや」を始めるきっかけを教えてください。
曽根原さん 農業改良普及センターが全戸配布した「仕事おこしセミナー」のチラシを見て、出席したのがきっかけです。そこで、大町市で漬物施設が空いて利用者を探しているという話が出て、私たちが手を挙げたという訳です。
そこは、白馬錦の薄井商店さんの「蔵漬け」と「錦漬け」という2つの人気商品を作っていた施設でした。先代の奥様がご高齢となり、やむなく閉鎖となっていたのです。その場所をレシピも併せて引き継ぐことができたのはとても幸運でした。
――農家をしていながら、さらに別の仕事を始めようと思ったのはなぜですか?
曽根原さん 私たちは長野県が認定する農村生活マイスターを長く務めてきました。女性の視点から地域農業の振興や生活向上のための活動をしています。そこから始まった活動としては、凍り餅の会、味噌作りの会が大町市で頑張っています。ただ、漬物施設を借り受けた後、これが自分たちの仕事につながるか、仕事として回せるのかは不安でした。それでも、農業の活性化と大町市の特産品につなげたいという思いがあって、やると決めました。
――お聞きする限り、相当にお忙しい様子ですね。
曽根原さん 私たちは、農家でお米、野菜、花などを栽培しています。お漬物は空いた時間でやりますので、夜に作業なんてことも時にはあります。それにお漬物は、売れ筋や賞味期限があるので、在庫が少なくなったものから作るようにしています。添加物はできるだけ控えてますので、どうしても賞味期限は短くなってしまいます。幾つも種類があって、在庫状況はそれぞれですから、すぐに不足が出てきます。休んでいる暇はありませんね。
――お仕事にはどのようなこだわりがありますか?
曽根原さん エリンギ、酒粕、地元の野菜など原材料にこだわっています。野菜は自分たちで作ったもの。手作り、手仕事で、添加物を使わない昔ながらのお漬物を作っています。お店に置いてもらう関係で法律をクリアするために保存料を使っているものもありますが、必要最小限にとどめるようしています。
――大町市の地域資源の魅力はなんでしょうか?
曽根原さん 水と空気がきれいなことでしょうね。それがきっと、お漬物の味を良くしていると思います。また、寒暖の差が大きく、朝晩が涼しい気候なので、野菜がおいしく育ちます。仕事に直接関わる点について言えば、良い原材料がそろっていることが大きな魅力だと思います。
――今後の事業展開を教えてください。
曽根原さん 私たちは直営店は持っていませんので、イベントなどに出店して販売しています。消費者の皆さんから直接話しを聞けるのがうれしいです。「おいしかった」と言ってもらえると励みになります。5月から11月には毎週金曜日に駅前通りの「塩入家具店」と「わちがい」前で行われる朝市に出ています。9時半から11時半頃まで出店して、野菜や果物とともに販売しています。市内のいーずら大町特産館や農産物直売所などにも置いてもらっています。
実は目下の課題は労働力の確保にあるんです。お話した通り、私たちは仕事を掛け持ちしており多忙な上、メンバーの高齢化も進んできました。そんな中で、お漬物の仕事は不定期で集中して行わなければなりません。そういう急な作業でもパートさんとして対応してもらえる方の人材バンクみたいなものをとても必要としています。行政やNPOなどで対応してもらえるとありがたいんですが…
――最後に、市民の皆さんに伝えたいことをお聞かせください。
曽根原さん 漬物というのは原材料費の割合がすごく高いんですね。これからの少子高齢化の時代には、自分で作ると高くつきますし、手間も大変です。私たちは、皆さんが家庭で行っているお漬物づくりの代行をしていると思っているんです。材料から自分たちで育て、量をまとめて漬ける方が効率的ですし、味も良く仕上がります。昔からの方法で漬けた家庭の味ですので、多くの皆さんに安心して食べていただきたいです。
この地域のお漬物の代名詞である野沢菜を自宅で漬ける方も減りつつあるのではないでしょうか? 冬に冷たい水で独りで作業するのは重労働です。私たちは昨年から「信濃大町お葉漬け隊」という協議会を立ち上げ、温泉のお湯でお菜を洗って皆で漬けるイベントを、11月末に温泉郷で開催しています。材料の販売や漬け方の指導も行います。お気軽にご参加いただき、おしゃべりしながら楽しくお葉漬けしましょう。毎年楽しみに待っていてくださる方も増えてきました。こうして市民の皆さんや観光客の方が地元の食文化に興味を持ってくださるのは、本当にうれしいことですね。
企業情報
- 会社名
- 信濃大町のつけものや
- 代表者
- 代表 曽根原 叶子
- 創業
- 2004年4月
- 郵便番号
- 〒398-0001
- 住所
- 大町市平2904-4
- 電話番号
- 090-1869-9441
- ファックス
- 0261-22-3942
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次回は「千見おやき生産組合」を予定しています!
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