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ホーム 市民の方へ 学ぶ・楽しむ 歴史・文化 1 山城の特徴

1 山城の特徴

 城とは、一定の区画を囲んだ防御施設のことを言います。
 防御を最優先して、山の上や川、湖、海に沿った土地などの要害地形を選ぶか、将来の発展を狙い、町や道、港などの政治・経済や交通・流通の要衝・要地を選ぶか。戦乱の時代か太平の時代か、時代に応じて城の位置づけが変わりますので、城の立地する場所は変わっていきます。
 山城はほとんどが戦乱の時代の戦国時代に使われていたものですので、敵に攻められにくい、攻められても撃退しやすい、防御を主に考えた城になります。

 城を築こうとすると、まずどこに造るか選びます。一番重要なのは水の手があることです。どれほど険しい地形でも水が無ければ何もなりません。
 選ばれた土地で、どのような城にするか、設計プランを練ります。
 築城する土地の地形を観察し、どこが弱点になって、どこをうまく利用できるかを考え、曲輪(くるわ:郭、丸(近世城郭)とも言う)の配置はこのようにして、本曲輪はここにする、虎口(こぐち:出入口)はここに造る、堀はここに造る、櫓はここに建てる等々の設計プランのことを「縄張(なわばり)」と言います。

 山城では、縄張に基づいて、尾根を伝っての侵入を防ぐために「堀切(ほりきり)」を入れる、土を盛って「土塁(どるい)」を作る、斜面の横移動を防ぐために「竪堀(たてぼり)」を入れる、侵入路を狭めるために「土橋(どばし)」を作る、斜面を削って(「切岸(きりぎし)」)登れないようにする、地面を平らにして(削平:さくへい)曲輪を作る等の土木工事(普請:ふしん)が行われます。(建物の建築工事は「作事:さくじ」と言います。)

山城の構造

曲輪(くるわ)

 土地の表面を削ったり、削った土を盛ったりして造られた一定の平坦な区画(平場:ひらば)。兵がこもる空間で、城の基本となります。
 山城は地形的な制約から大きな曲輪はあまり存在しないことがほとんどですが、木舟城の山上部の広大な平坦地は、削平の甘い部分も多々ありますが、全国的にも大変珍しいものです。

 
曲輪(木舟城おてんじょう最下段)        曲輪(木舟城おてんじょう上部)

 
曲輪(木舟城城の平南側)            曲輪(木舟城城の平北側)

土塁(どるい)

 城=土+成:城は「土」から「成」る
 土を掘って堀を造り、内側に盛ると土塁ができます。曲輪の内側に設置した土の防御壁。
 木舟城の「おてんじょう」周辺のように、尾根の内側を削ることにより、外側を削り残した(削り出した)土塁もあります。削った土は内側に盛って、広げて曲輪にします。

 
土塁(木舟城)                 土塁・虎口・堀切・切岸(西山城)

堀切(ほりきり)

 尾根を伝っての侵入を防ぐために、尾根を断ち切った堀。
 一重だけでなく、いくつも連なったものもあります。
 堀切により、一旦下りてから登ることになるので、敵の侵入速度が遅くなるとともに、上からの攻撃ができることから、防御がしやすくなります。
 山城は、山の頂上だけでなく、尾根の中央部付近に造られることも多いため、城より高い位置になる尾根続きの搦手(裏側、正面は大手(追手)と言う)部分には重点的に堀切が設けられ、山側からの侵入を防いでいます。

 
堀切(木舟城主郭背後)             堀切(木舟城南城)
 
堀切(木舟城北城)               二重堀切(西山城)

竪堀(たてぼり)

 山や尾根の斜面を伝っての横移動を防ぐ、あるいはその部分に敵兵を集めさせて効率的に叩くために、斜面の傾斜に沿って垂直に掘られた堀。
 尾根の堀切りから繋がって、尾根の両側の斜面に伸びたものが山城の定番。
 なお、竪堀は現地ではそれなりにはっきりと確認できても、写真で見ると良く分からないことが多い遺構です。

  
竪堀(木舟城南城)               竪堀(塩尻市妙義山城)             竪堀(上田市笹洞城)  

横堀(よこぼり)

 曲輪の外側に水平に設けられる堀。平城、平山城では空堀、水堀ともによく見られますが、山城では地形が険しく、大きな面積の曲輪が確保できないため、あまり見られません。山城は横堀で遮断するのではなく、堀切と切岸で遮断するのが基本となります。
 なお、木舟城は曲輪が広大ですので、曲輪の分断のために設置されている個所があります。

 
横堀(木舟城①)                横堀(木舟城②)

畝状空堀(竪堀)(うねじょうからぼり(たてぼり))

 曲輪の側面の斜面の横移動を防ぐために、傾斜に沿って垂直に、複数、畝状に掘られた堀を畝状竪堀と呼んでいますが、斜面ではなく、小さい曲輪の平場部分に畝状に横堀が設けられていることもありますので、全体的には畝状空堀が正式な名称です。
 丹生子城のものは、斜面というよりは平面に設けられていますので、竪堀というよりは横堀に近いことから畝状空堀と考えられます。

  
畝状空堀(丹生子城)                 畝状竪堀(新潟県南魚沼市樺野沢城)       畝状竪堀(愛知県豊田市市場城)

土橋(どばし)

 尾根の両側を削り、侵入路を狭め、多くの人数が一度に侵入できないようにした橋状の構造物。
 堀切と同様に、削った両側の側面部分が竪堀につながったものが定番です。
 また、大堀切の底の部分の一部を土橋状にしているものもあります。

 
土橋(木舟城・青木城境)             土橋(木舟城通常ルート外)

切岸(きりぎし)

  曲輪などへの侵入を防ぐために、側面の斜面を削り、急な崖状にしたもの。なかなか上ることができないため、土造りであっても決して防御力が低いというものではありません。


切岸(木舟城南城)

虎口(こぐち)

 城、曲輪の出入り口のこと。通路ですので、敵の攻撃が集中しやすくなります。
 なお、虎口内部の通路を曲げて正面だけでなく側面や背後からも攻撃できるようにしたものを桝形虎口(ますがたこぐち)と言います。近世城郭ではほぼ全ての虎口がこの桝形虎口になり、厳重に防備されていています。
 市内の山城では、明確な虎口遺構はそれほど多くありません。


虎口(木舟城)

石塁(せきるい)

 大町市内には、松本方面や東北信の山城に見られる、曲輪の全周を囲っていたり、曲輪の側面の一部を防御したりしている、信州特有の平らな石を積んだ石積み遺構は確認できていません。
 木舟城の南城の曲輪に石塁と思われる遺構が残っています。

 
石塁(木舟城)                    石積(筑北村青柳城)

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大町市文化財センター  住所:大町市大町4700
TEL: 0261-23-4760
FAX: 0261-23-4773
E-mail: bunkazai@city.omachi.nagano.jp

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