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ホーム 市長の部屋 議会での市長あいさつ 令和3年3月定例会市長あいさつ

令和3年3月定例会市長あいさつ

 本日ここに、令和3年大町市議会3月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 
 はじめに、新型コロナウイルス感染症につきましては、昨年11月以降、第3の波として全国的に急激に拡大し、この深刻な情況に対し、国では先月7日に1都3県に、更に13日には7府県を追加して、11都府県に緊急事態宣言を発令するに至りました。その後、先月中旬をピークに減少傾向に転じておりますものの、なお収束は見えず、予断を許さない状勢が続いております。
 こうした中、県では、感染拡大圏域や市町村ごとに、感染警戒レベルを細分化し段階的に警報を発令するとともに、特に感染が拡大している地域には、飲食店への営業時間短縮等の要請を行い、更に、医療への負荷の増大に伴い、先月14日から今月3日まで医療非常事態宣言を発出し、感染リスクを減らすための行動を呼びかけました。
 その後、県内では、新たな感染が確認されない日が続くなど、落ち着きが見られるようになったことを受け、先週12日、県は感染拡大の第3波が収束しつつあるとして、当圏域を含め県内の警戒レベルを一斉に2の注意報に引き下げました。
 当市におきましては、年末を控えた昨年12月21日に、私から第10弾となりますメッセージを発出し、年末年始の慎重な行動を呼び掛け、年明けの先月13日には11弾のメッセージにより、基本的な感染防止対策を決して緩めることなく取り組んでいただくことを改めてお願いいたしました。しかし、残念ながら先月15日、市立大町総合病院では、医療従事者や入院患者など6名の感染が確認され、その後の検査の結果、今月3日までに更に10名の感染が判明しました。病院開設者の立場から、市民の皆様に多大なご心配をおかけしましたことに深くお詫び申し上げます。
 また、病院以外でも、先月16日以降、7名の感染が判明し、今月3日には、12弾となります市長メッセージを発出し、基本的な感染防止対策をいっそう徹底するとともに、感染者への差別や偏見、誹謗中傷などを絶対しないよう呼びかけたところでございます。
 これまでも、感染は増減を繰り返し、その都度、大規模な波となってまいりました。引き続き、市民の皆様には感染防止に取り組んでいただきますとともに、疲弊しております市民の皆様の暮しと、地域経済、広範な産業の支援に努めてまいります。
 新型コロナウイルスワクチンにつきましては、一昨日、ファイザー社製のワクチンの有効性と安全性が確認されたとして国において正式に承認され、これに先立つ12日には、ワクチンの第1便が国内に到着いたしました。
 市におきましては、昨日、中央保健センター内に新型コロナウイルスワクチン接種準備チームを発足させ、今後は、4月からを目途とする高齢者からの優先接種を目指すとともに、県及び医療機関等との緊密な連携のもと、引き続き市民の皆様に対する円滑な接種の実施に力を尽してまいります。
 なお、これらの概要につきましては、本定例会全員協議会において、ご説明申し上げることとしております。
 
 このたび政府が発表した令和3年度地方財政計画では、一般財源総額は、前年度比0.5パーセント、2,886億円減の63兆1,432億円とされましたが、水準超経費を除く交付団体ベースでは、0.4パーセント、2,414億円増の61兆9,932億円が確保されました。
 このうち、地方税は38兆802億円で、2兆8,564億円の減収を見込みましたが、地方交付税は8,503億円増の17兆4,385億円、臨時財政対策債を2兆3,399億円増の5兆4,796億円とし、地方財源の確保に配慮された内容となっております。
 市の令和3年度一般会計予算は、総額170億3,300万円で、前年度予算に対し2.1パーセントの増となっております。これに、水道・病院事業など8つの企業会計、特別会計を合わせた全会計の合計では、総額291億2,844万円余で、前年度比0.8パーセント増の予算規模となりました。
 新年度予算は、第5次総合計画の前期基本計画の最終年度を迎え、市の将来像「未来を育む ひとが輝く 信濃おおまち」の実現に向けた施策に、厚く予算を配分するとともに、喫緊の課題であります新型コロナ対策として、ポストコロナを見据えた持続可能なまちづくりに資する事業に意を配しました。
 具体的には、中小企業支援策として、市制度資金の融資枠を拡充し預託金、利子補給金の増額を図るほか、国の施策に対応して固定資産税の特例的な軽減措置を実施いたします。
 また、感染防止対策として、保育園、小中学校及び公共施設における衛生用資機材や、備蓄品の購入経費を増額計上するとともに、緊急情報や防災情報を配信する緊急メールシステムを更新し、SNSを通じた情報発信をいっそう強化いたします。
 更に、持続可能なまちづくりにつきましては、コンパクトシティの形成に向けた立地適正化計画及び緑の基本計画の策定を進めるほか、新規事業として、ワーキングホリデーや短期宿泊によるテレワーク体験などを計画的に推進いたします。
 
 こうした施策の充実に努める一方、歳出を支える歳入におきましては、コロナ禍により、個人、法人市民税ともに減収となりますほか、固定資産税では、評価替えの影響等により大きく減少する見込みとなり、市税の総額は、前年度比5.3パーセント減の39億6,235万円余を計上いたしました。
 なお、本年度の法人市民税につきましても、多くの事業所において業績が落ち込んでおり、税収が減少することが見込まれ、減額の補正予算を本定例会に上程いたしております。
 
 北アルプス国際芸術祭につきましては、8月21日から10月10日までの51日間を新たな会期として、現在、鋭意準備を進めております。
 開催に当たりましては、市民の皆様や来場者、受入れスタッフ等、全ての皆様の安全・安心を最優先に位置づけ、実行委員会に、新たに「新型コロナウイルス感染症対策特別部会」を立ち上げ、大町保健福祉事務所や医療機関等の専門家からのご助言をいただきながら、リスクを抑え、徹底した感染防止対策に取り組んでまいります。
 展示作品につきましては、昨年秋以降、国内アーティストを中心に順次制作を進めており、5月の開幕100日前に合わせて10作品程度を先行公開することとしております。
 また、「食」の取組みにつきましては、食部会を中心に、コロナ禍での実施方策について検討、調整を進めており、市内事業者の皆様からご協力いただき、テイクアウトの積極的な活用やキッチンカー、オープンカフェなど、新しい生活様式の視点を取り入れ、食を楽しんでいただくよう工夫をこらしてまいります。
 当市におきましては、コロナ禍により観光産業をはじめ地域経済に大きな影響が生じており、また、様々なイベントや行事、地域活動などが延期、中止されたことにより、人と人とのつながりや触れあいが希薄となり、今しか経験できない貴重な交流の機会が数多く失われております。こうした状況下で、市の再生を目指す「新型コロナ克服戦略おおまち再生プラン」におきまして、北アルプス国際芸術祭を戦略の一つに位置づけており、多くの皆様の知恵と工夫をいただき、元気な大町市を取り戻す手掛りとなりますよう、引き続き準備に取り組んでまいります。議員各位並びに市民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 次に、本年度の主な事業の進捗状況及び新年度の主要な施策につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
 
 1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。

 旧市内の小中学校の通学区域の再編につきましては、昨年6月に第1回学校通学区域再編審議会を開催して以降、これまでに6回の審議会において、既存の校地を活用することを基本に、現状の通学区における児童・生徒数の状況や今後の推移、各学校施設の位置や施設の状況など、様々な視点から比較評価を行い、活用する校地の検討を進めております。
 具体的には、現在までの審議の中で、中学校につきましては、校舎の規模や通学の利便性などの点から、仁科台中学校の校地を活用することが適切との方針がまとまり、小学校につきましては、通学区域と行政区域の整合を図り、大町・平地区と常盤・社地区の2通学区とする方向で論議が進んでおります。今後、更に踏み込んだ議論を深め、来月には、答申をいただく予定となっております。
 答申後には、これを基に教育委員会及び総合教育会議において再編計画案を策定し、パブリックコメント等により幅広い意見を求め更に検討を加え、具体的な計画を取りまとめてまいります。
 今後も、関係団体や市民への審議内容などについて情報発信に努め、丁寧な説明と意見交換を重ね、市民の皆様との情報共有を図りながら慎重に調整を進めてまいります。
 
 児童・生徒一人1台の情報端末(ノートパソコン)と、高速大容量の通信ネットワークの整備を行うGIGAスクール構想につきましては、昨年10月末までに端末及び端末用充電保管庫が各学校に配備され、校内の通信ネットワークも先月末に整備を完了いたしました。
 児童・生徒は、ICT機器への適応性に富んでおり、各教科への活用が円滑に進められており、本年度の姉妹都市立川市との中学生サミット及び小学3年生の交流におきましても、整備されたICT環境を活用した、オンライン交流を春休みに行うこととしております。
 今後更に、先進的な実践例等を参考に教職員への研修を行い、指導スキルの向上を図るとともに、災害や感染症による臨時休業など、想定外の緊急時におきましても、子ども達の学びが停滞することのないよう努めてまいります。
 
 学校施設や設備の改善につきましては、国の第3次補正による補助金を活用して、新年度に予定しておりました八坂小学校及び美麻小中学校のトイレの洋式化を、前倒して本年度実施することとし、本定例会に補正予算を上程いたしました。
 
 生涯学習につきましては、第4次生涯学習推進プランが改定時期を迎え、高度情報化による社会構造の変化や価値観の多様化に対応して、新たな計画を策定することとし、市民が生きがいを持ち、心豊かな人生を歩む生涯学習社会の具現化を図るとともに、新たにSDGsの視点を取り入れ策定を進めてまいります。
 また、生涯学習の場となります公民館などの施設につきましては、建設から30年以上が経過しており、新年度では、熱中症対策として常盤公民館の空調設備を整備することとし、引き続き、施設機能の適切な維持を図り、安全で快適な学習環境の向上に向け、計画的な整備に努めてまいります。
 
 芸術文化の振興につきましては、昭和61年5月に開館した文化会館が本年、35周年を迎えますことから、記念事業を実施し優れた芸術の鑑賞機会を提供するとともに、市民の皆様の自主的な文化活動を支援し、引き続き多彩な地域文化発信の拠点としての役割を果たしてまいります。
 また、延期しておりました「第2回美術展ベストセレクションin信濃大町」は、北アルプス国際芸術祭の会期中での開催を計画しております。市民自らが改めて郷土に目を向け、地域の文化資源を見つめ直し、光を当てる重要な機会として、当地の優れた美術作品を広く紹介するとともに、市民の皆様が美術への関心を深めることにより、芸術、文化によるまちづくりを推進してまいります。
 
 昭和26年11月に創立した大町山岳博物館は、本年、創立70周年を迎え、記念式典を11月に開催し、これまで山岳博物館を支えていただいた皆様とともに、喜びを分かち合う機会とするとともに、博物館の将来について多くの提言をいただき、改めて山岳文化都市創造の節目といたします。
 今後も、北アルプスを巡る自然や文化の調査研究を基礎として、資料の収集・整理・保存を通じて、積極的に教育普及活動を推進するとともに、当地域の優れた自然、文化を紹介する観光拠点としての機能を発揮し、市民の皆様をはじめ、学術や観光のために訪れる皆様に、いっそう親しまれる施設となりますよう努めてまいります。
 
 スポーツの振興につきましては、国民の祝日「体育の日」が「スポーツの日」に、また、「国体」との愛称が定着しております「国民体育大会」も、今後、「国民スポーツ大会」に変更されるなど、「体育」の呼称は、教育現場を除き、「スポーツ」に変わる流れとなっており、当市におきましても、新年度から「体育課」を「スポーツ課」に改称することといたしました。
 これを契機に、昨年度中間見直しを行いました大町市スポーツ推進計画に掲げる、「市民の皆さんが、生涯を通じて、する、みる、ささえるスポーツに親しみ、健康で活力ある暮らし」が実現できますよう、いっそうスポーツの推進に取り組んでまいります。
 また、ウイルス感染症の拡大により延期されておりました、東京オリンピックの聖火リレーは、当市では、4月2日に信濃大町駅前から文化会館までの約3キロメートルの区間で行われます。運営方法につきましては、大会組織委員会及び県実行委員会と十分調整を図り、感染予防対策などを含め、万全の準備を進めてまいります。
 
 2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
 
 昨年9月に策定しました、SDGs未来都市計画「SDGs共創パートナーシップにより育む『水が生まれる信濃おおまち』サステナブル・タウン構想」につきましては、具体的な取組みとして、昨年12月に産学官金連携パートナーシップ「みずのわプロジェクト」を立ち上げ、現在、核となるマネジメントパートナーの皆様から提案をいただき、具体的なアクションプランの策定を進めております。
 また、市民の皆様には、アクションプランに基づく様々な取組みに参画いただきますよう、SDGsに対する理解を深めていただくための広報・啓発やシンポジウム、ワークショップなどの開催に努めてまいります。
 また、市民の参画と協働によるまちづくりを推進するため、市民活動団体や自治会が行うまちづくり活動を支援する、ひとが輝くまちづくり事業におきまして、新年度新たにSDGsの推進に取り組む市民活動を支援することとしております。
 市民をはじめ事業者の皆様など、まちづくりを進める様々な立場の皆様との幅広い「共創」により、新しい価値を共に創り上げ、「みずのわプロジェクト」の取組みがいっそう大きな輪となって拡がり、協働の輪が育まれることを期待しております。
 
 国土交通省の補助を受けて取り組む「官民連携まちなか再生推進事業」におきましては、民間主体のまちづくり活動の中心となります「エリアプラットホーム」の構築を進めており、今月13日には「信濃おおまち100人衆会議」を大町岳陽高校で開催し、生徒が中心となり、地域のまちづくり活動の関係者に対して行った取材活動の報告などが行われました。
 引き続き、新年度も、将来のまちづくりに向けた具体的なビジョンを策定するため、エリアプラットホームの構築を進め、多様な人材が集うコミュニティの活性化と、公民学連携による持続可能なまちづくりを進めてまいります。
 
 地域の労働・雇用環境につきましては、大町公共職業安定所管内の12月の有効求人倍率は1.27倍で、前月の1.47倍から0.2ポイント減少したものの、4カ月連続して1倍台を維持することとなりました。
 また、10人以上の大規模な人員整理は、昨年5月以降、発生しておらず、更に、事業主の都合による離職件数は、6月以降1桁台に止まっており、市内事業所では、厳しい状況の中、雇用調整助成金や市の制度融資資金等を活用いただき、雇用の維持に努めていただいております。
 加えて、幸い本年は、雪に恵まれたこともあり、冬季の観光の柱となりますスキー場や宿泊施設等における季節雇用は増加し、雇用の改善が続いております。一方、国では、これまで延長しておりました雇用調整助成金の特例措置の期限を、来月末としておりますことから、市といたしましては、地域の雇用状況を注視するとともに、経済対策連絡会議等において情報共有を図り、引き続き労働・雇用環境の維持に向け適切に対応してまいります。
 
 市内の経済状況、とりわけ宿泊事業、飲食事業につきましては、昨年末からの急激な全国的な新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、GoToトラベル事業が全国的に一時停止されたことにより、当市への観光客など来訪者が減少したことに加えて、地域や職場の忘新年会などの会食機会も自粛傾向が続いており、大変厳しい状況となっております。
 このため、県が行うテイクアウト・デリバリー応援事業を活用し、事業の実施窓口となります大町商工会議所と連携して、飲食業者のテイクアウト商品の販売促進を図るため、市内大型店の一画に販売ブースを設置し支援に努めることといたします。
 
 地域商品券「がんばろう!大町応援券」の第2弾につきましては、先月8日に販売を終了し、販売実績は2万2,788冊と、多くの市民の皆様にご購入いただき深く感謝申し上げます。
 換金の状況につきましては、今月10日現在で、99.6パーセントとなっており、第1弾を合わせて約4億4,600万円余が、地域の消費拡大に活用され、市内事業者の支援につながる結果となりました。
 
 昨年4月、市制度資金に創設しました新型コロナウイルス感染症対策特別資金につきましては、今月2日現在の融資件数が244件、融資総額は31億7,000万円余となりました。今後も引き続きウイルス感染症による事業経営への影響が懸念されますことから、融資窓口の金融機関と連携を密にして事業者の経営の維持安定に努めてまいります。
 
 米の生産対策につきましては、令和2年産米は、生産者や集荷業者等関係団体の取組みにより目標を達成することができました。令和3年産米につきましては、先月27日に開催された市地域農業再生協議会におきまして、生産調整の目安値が前年に比べ215トン減の8,561トンと決定され、面積換算では、前年に比べ約44ヘクタール減の1,392ヘクタール余となりました。
 米の需給バランスにつきましては、食の多様化や少子高齢化による人口減少などに加え、コロナ禍により米価の下落と過剰在庫の発生が危惧されますことから、例年にも増して需給に応じた適正生産の推進が大変重要となっております。
 このような状況の中、稲作中心の営農形態であります当市におきましては、生産者所得の維持、確保のため、地域農業再生協議会を中心に生産者や集荷業者等、関係団体が一体となり、よりいっそう需要に応じた米作りの推進に努めてまいります。
 また、日本産米の海外需要の高まりなどを追い風に市場の拡大を図るため、市では、先月26日に、輸出事業に取り組む意欲ある法人等により構成する、「大町市農産物等輸出協議会」を設立し、今後も引き続き、海外輸出に向けた取組みを強化してまいります。
 
 林業振興につきましては、本年度、県が策定する地域森林計画に対応して、大町市森林整備計画の改定を進めており、具体的な計画案の概要につきましては、本定例会全員協議会においてご説明申し上げます。
 また、新たな森林経営管理制度の推進につきましては、本年度、北アルプス連携自立圏事業として、大北5市町村が共同で実施いたしました森林基本情報のデータ整備が完了しますことから、現在、市では、森林整備の具体的な事業の早期導入に向けた準備に取り組むとともに、連携自立圏の枠組みによる実施に向け、県北アルプス地域振興局の支援をいただき、圏域での推進体制等について検討を進めております。
 
 観光振興につきましては、昨シーズンは記録的な雪不足などからスキー場は厳しい運営を余儀なくされましたが、今シーズンは12月にまとまった降雪に恵まれ、市内2カ所のスキー場は12月中旬に営業を開始いたしました。
 一方、大町温泉郷など市内宿泊施設におきましては、市独自の信濃おおまち冬季満喫宿泊キャンペーンなどを利用した、スキーヤーなどの入込みが期待されましたものの、GoToトラベルの一時停止や、国の緊急事態宣言などによる往来自粛により宿泊キャンセルが相次ぎ、温泉郷の一部の宿泊施設では先月から計画的に休業するなど、一段と厳しい状況が続いております。
 こうした中、今月1日より始まりました第19回おおまち雪まつりでは、例年実施しておりますオープニングイベントや打ち上げ花火等を中止するなど、規模を縮小し感染対策を徹底したうえで開催しており、引き続き、市観光協会等と連携して残り少ないスキーシーズンの誘客に取り組んでまいります。
 春の観光シーズンの幕開けとなります立山黒部アルペンルートは、4月15日の全線開通を見込み、現在、準備を進めております。昨年の入込みは、延べ24万人と、ウイルス感染症の影響により、開業以来、最も厳しい結果となりましたが、本年は6月1日に全線開業50周年の節目を迎えますことから、関係機関・団体と連携を図り、今できる最善の誘客対策に取り組んでまいります。
 
 移住・定住の促進につきましては、移住セミナーや相談会をリモートに切り替え対応するなど、きめ細かな移住促進施策を積み重ねたことにより、相談窓口を通じた移住実績は、先月末で68人と順調に増加しており、年度末には前年度を上回るものと期待しております。
 移住された皆様が長く定住していただくためには、地域に馴染み、地域に溶け込むための受入体制、環境づくりが重要であり、本年度実施しました、移住された方と地域住民の皆様が、野沢菜漬けの講習を通じ交流を深める移住者交流会「おしゃべりTIME」や、積雪地で暮らすうえで不安な雪道での運転を克服するための、雪道路上講習「信濃大町雪国デビュタント」は、参加者から大変好評をいただきました。
 新年度では、これまでのオンラインによる移住相談会や移住セミナーに加え、新たに、都市部から参加者を募集し、一定期間市内に滞在して働き、収入を得ながら、地域住民との交流を楽しむ「大町版ふるさとワーキングホリデー」を予定しております。こうした取組みにより、将来の移住者掘り起こしを図るとともに、市内事業所の労働力不足などの課題改善や、地域の活力向上にも効果をもたらすことを期待するところであります。
 また、新年度は、第2期定住促進ビジョンの最終年に当たりますことから、基本目標や基本方針、施策の検証を行い、人口減少に歯止めをかけるに止まらず、地域全体の課題解決につなげるための新たなビジョンの策定に向け、全庁的な体制で取り組んでまいります。
 
 3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
 
 市立大町総合病院につきましては、先月、院内において、患者や医療従事者に新型コロナウイルスの感染が確認されたことを受け、県のクラスター対策チームや大町保健福祉事務所の指導のもと、陽性患者が確認された病棟からの入退院及び他の病棟への転棟の停止や、陽性者が確認された病棟及び関係個所の消毒の実施、濃厚接触者となった職員の自宅待機などの措置を講じました。更には、接触者の調査や検査等に加え、感染が確認された病棟の患者や医療従事者をはじめ、全ての入院患者及び病院職員と、病院に出入りする委託業者にも検査を拡大して実施するなど、感染のさらなる拡大を防止するための対策を徹底いたしました。
 これまでも、大町病院におきましては、新型コロナウイルスに対して、院内感染が起きないよう細心の注意が払われ、業務を遂行してまいりましたが、今回、院内から陽性者が発生しましたことは誠に残念でなりません。しかし、病院職員の皆さんは、感染予防の意識をいっそう高め業務に従事されており、今後も感染症指定医療機関としての重要な責務を全うしていただくことを、心より期待いたしますとともに、必要な支援に積極的に取り組んでまいります。
 病院事業の経営状況につきましては、令和元年度決算では、2億8,500万円の純利益を計上し、大幅な収支改善を図ることができましたが、本年度第3四半期までの医業収益は、コロナ禍の影響による受診控えや、定期受診の間隔の延長などにより、約1億3,000万円の収益減となり、昨年同期を大きく下回っております。
 しかし、国の新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業補助金により、コロナ患者受入れに対応する空床の確保などに係る経費の補てんなどもあり、本年度決算見込みにおける経常損益は、前年度と同程度の利益が見込まれ、資金不足額は、本年度末には大幅な改善が図られるものと考えております。
 新年度予算におきましては、医業収益について1億円の減額を見込み、経常損益及び純損益は、7、8千万円程度の利益を見込んでおり、経営の安定化を図るとともに、流動負債であります一時借入金の縮減をいっそう進めてまいります。
 ウイルス感染症の収束は、なお不透明であり、新たな生活様式による医療機関への受診動向の変化も予想されますが、今後も引き続き、経営健全化計画に基づき、収益確保と経費縮減を柱とした収支の適正化にいっそう努めてまいります。なお、病院事業会計の本年度第3四半期までの経営状況等につきましては、本定例会全員協議会におきましてご説明申し上げることとしております。
 
 福祉分野におきましては、高齢者福祉施策の基本となります、第8期大町市老人福祉計画並びに、障がい者福祉施策の基本となる、第6期障がい福祉計画及び第2期障がい児福祉計画の改定に加え、意思決定に支援が必要な方が安心して暮らせるまちを目指すための、新たな大町市成年後見制度利用促進計画の策定を進めております。これらの計画の概要につきましては、本定例会全員協議会においてご説明申し上げます。
 
 消費生活センターにつきましては、平成28年度から、北アルプス連携自立圏事業として、圏域5市町村の消費生活に係る相談への対応を広域的に実施しており、昨年末時点の相談件数は172件で、前年同期に比べ31件減少しております。複雑多様化する消費生活相談に対し、引き続き、警察署や県消費生活センター等と緊密に連携し、特殊詐欺被害の防止などの啓発活動の強化を図るほか、県の消費者行政活性化事業補助金を活用し、相談体制のいっそうの充実に努めてまいります。
 
 交通安全の推進につきましては、昨年の交通事故の発生件数は、死亡事故1件を含め61件と、前年を4件上回り、特に高齢者が関わる事故の発生が目立っております。
 現在、高齢ドライバーによる交通事故の減少を目的として、65歳以上の運転免許を自主返納された方を対象に、市民バスふれあい号の回数乗車券を交付する、運転免許自主返納支援事業を実施しておりますが、新年度から新たに、タクシーの回数乗車券を、希望により選択できるよう支援策を拡充することとし、所要の経費を新年度予算に計上いたしました。
 引き続き、運転免許を返納しやすい環境の整備を進め、高齢ドライバーによる事故の抑止に努めてまいります。
 
 4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
 
 ニホンライチョウの飼育につきましては、先月、環境省が進めるライチョウ保護増殖事業の一環として、大町山岳博物館が飼育するオス1羽を長野市茶臼山動物園に移送し、将来の野生復帰を見据えた人工飼育に取り組むこととなりました。これにより山岳博物館で飼育しているニホンライチョウはオス4羽、メス3羽となりました。
 現在、ニホンライチョウは、体全体が純白の冬羽に衣替えしており、自然の中では見ることが難しい冬のライチョウの姿を、間近にご覧いただくことができますので多くの皆様の来場を期待しております。
 
 水道事業につきましては、給水人口が減少傾向に推移しておりますものの、使用水量は市が進める企業誘致や定住促進等の実績により、安定した経営が図られております。
 新年度におきましても、引き続き、送配水管の耐震化を図るとともに、本年度着手した南平配水池の更新工事や、老朽化した送配水管路等の計画的な更新を進め、安心安全な水道水の供給に努めてまいります。
 
 また、温泉引湯及び供給事業につきましては、基本湯量の確保や安定供給の継続を図るとともに、引き続き機械設備や配湯管の計画的な更新を進めます。
 
 下水道事業につきましては、処理施設全般に亘る包括的維持管理方式により、経費の削減効果が表れており、引き続き、効率的な施設の管理と最適化を図るストックマネジメント計画を策定し、施設の機能維持と水洗化の促進に努めます。
 
 道路の除雪につきましては、今シーズンは12月中旬から年末年始にかけての断続的な降雪により、先月末時点における除・排雪委託費は、1億7,600万円に上りました。これに凍結防止剤散布委託費等を加えた、雪害対策費の総額は、2億1,300万円となり、記録的な暖冬少雪でありました昨年同期と比べ、およそ3.4倍の増加となりますことから、これらの経費について専決により補正予算に計上いたしましたので、本定例会にご報告申し上げます。
 引き続き、大雪により市民生活に支障が生ずることのないよう体制の維持に努めてまいります。
 
 近年、頻発する大地震により、多くの被害が盛土による造成地で発生していることを背景に、国の主導により大規模な盛土による造成地を抽出し、令和4年度を目途に各自治体が現地踏査に基づく危険度判定等を行い、具体的な対策について調査、検討を進めることとなりました。これに伴い、当市では、該当する造成地13カ所のうち、県が所管する場所を除く7カ所について、新年度において国の補助金を活用し必要な調査を実施することといたしました。
 また、住宅、建築物の耐震改修の促進につきましては、市民の皆様が安全で安心して暮らせるまちづくりを進めるため、新年度におきましても国の制度を活用し、引き続き住宅の耐震診断及び耐震改修を積極的に実施し、災害に強いまちづくりを推進してまいります。
 
 良好な住宅居住環境の形成につきましては、「新型コロナ克服戦略おおまち再生プラン」における地域活力の再生に向けた取組みとして、市民の居住環境の向上を図り、安心して暮らすことのできる、安全で良質な住宅ストックの形成に資するため、新年度におきましても安心・安全住宅リフォーム支援事業を継続することとし、所要の経費を新年度予算に計上いたしました。
 市営住宅の整備につきましては、市営住宅等整備計画に基づき、借馬団地において、給湯器、ユニットバスの設置などの水回りのリフォーム工事を実施し、住環境の改善を図ります。
 
 北アルプス広域連合が進めておりますごみ処理広域化につきましては、白馬リサイクルセンターの建設工事が順調に進んでおり、当初の計画どおり4月の供用開始を予定しております。また、新年度に着手予定の白馬山麓清掃センターの解体に向けた準備も、順次進んでおります。
 
 常盤泉地区における臭気対策につきましては、事業者により新たな焼却方式による脱臭設備導入に向けた調査、検討が進められ、より具体的な計画が提案される見通しとなっております。引き続き地元地区の皆様のご意見や県の見解などを伺い、導入の効果について慎重に検証するとともに、事業者に対しては、臭気測定などの監視業務を継続して実施し、実効性のある臭気対策を強く求めてまいります。
 
 5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
 
 市民活動の促進につきましては、昨年12月12日、市民活動団体の主催による「ぼくらの市民活動フォーラム」が開催され、約90人の皆様にご参加いただきました。
 また、本年度のひとが輝くまちづくり事業につきましては、8団体の事業を採択し、コロナ禍の中、各団体が取り組まれた活動の成果報告会を、来月20日、文化会館において開催いたします。議員各位におかれましては、市民の皆様の活動の成果をご覧いただく機会に、ぜひご参加いただきますようお願いいたします。
 
 人権政策につきましては、新型コロナウイルス感染者やそのご家族、医療従事者等に対する誹謗中傷が全国で重大な問題となっておりますことから、市長メッセージを逐次発出し、市民の皆様に良識に基づく冷静な行動をお願いしてきたところであります。今後も引き続き、コロナ禍における差別、偏見を解消するため、「シトラスリボンプロジェクト」の取組みを推進し、誰もが温かく受け入れられる地域社会を目指し、人権擁護委員はじめ関係機関、団体と連携を図り、人権教育や人権意識啓発に努めてまいります。
 なお、市の人権擁護委員9名のうち、6月末に任期を迎える3名の委員について候補者を法務大臣へ推薦するに当たり、法の規定により、議会の意見を求めることとされておりますので、よろしくご協議いただきますようお願い申し上げます。

 以上、第5次総合計画で定めました各施策の進捗状況と、新年度を含め、今後の執行方針についてご説明申し上げました。年度最終盤に向けて、新年度での展開を視野に入れ、計画いたしましたそれぞれの事業が円滑に推進できますよう、全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
 本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件2件、人事案件19件、事件案件1件、条例案件4件、予算案件16件の合計42件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
 
 

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