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ホーム 市長の部屋 議会での市長あいさつ 令和7年3月定例会市長あいさつ

令和7年3月定例会市長あいさつ

 本日ここに、令和7年大町市議会3月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 
 はじめに、今月4日に閣議決定されました、令和7年度地方財政計画におきまして、地方一般財源総額は、前年度比1.7パーセント、1兆535億円増の、63兆7,714億円が確保されました。このうち、地方税は、45兆4,493億円で、2兆7,164億円の増収を見込み、地方交付税も、2,904億円増の、18兆9,574億円となりました。
 一方で、本年度、定額減税による減収への対応として、全額が国費で補填された地方特例交付金等は、9,384億円減の1,936億円、臨時財政対策債は、平成13年度の制度創設以来初めてとなる、発行額なしの4,544億円皆減となりましたが、令和6年度を上回る地方財源の確保に、十分配慮された内容となっております。
 
 市の新年度の一般会計予算は、歳入歳出ともに総額195億1,300万円で、前年度予算に対し5.3パーセントの増となっており、これは平成28年度当初予算を9年ぶりに上回る過去最大の規模となりました。
 また、水道・病院・国民健康保険など、企業会計及び特別会計8会計の予算規模は、総額で125億4,705万円余、前年度比1.6パーセントの減となり、一般会計と合わせ全会計では、320億6,005万円余となりました。
 新年度予算の全体的な特徴としましては、第5次総合計画における市の将来像「未来を育む ひとが輝く 信濃おおまち」の実現に向けたソフト施策に、引き続き厚く予算を配分し、ひとを育む施策の推進や小学校の再編に係る環境整備など、少子化・人口減少社会への対応と、持続可能な地域社会の実現及び地域活力の向上に努めました。また、後期計画の4年目となりますことから、事業の進捗度合いを考慮し、効率的かつ効果的な財源の配分を行い、次の世代に引き継ぐ新たな大町市の創造を目指す予算編成に、全力を尽したところでございます。
 
 まち・ひと・しごと創生総合戦略につきましては、令和2年3月、第2期総合戦略の策定により、人口減少を克服し将来に亘り魅力と活力あふれる大町市を実現するため、本年度までを計画期間とし様々な取組みを進め、昨年度より、庁内においてこれまでの取組みに対する内部評価を行うとともに、更に、総合戦略推進委員会における外部評価等を重ねてまいりました。
 今回、第5次総合計画の計画期間と終期を一致させることにより、相互の関連性を明確にするとともに、検証や進行管理においても一体性を保持するため、必要な見直しと数値目標の再設定を行い、総合計画期間の満了に合わせて2年間延長することとし、地方創生施策のいっそうの充実強化に向け、取組みを進めてまいります。
 なお、総合戦略の期間延長に伴う変更につきましては、本定例会全員協議会でご報告申し上げることとしております。
 
 八坂及び美麻両地域におきましては、過疎対策について、これまで、令和3年4月に施行されました、過疎地域持続的発展支援特別措置法において、過疎地域の指定が従来の八坂、美麻地域から市全域に拡大されたことに伴い、もう一つの有利な財源措置である辺地対策事業債を活用し、地域活性化の充実強化を図る各種施策を、積極的に展開しております。
 新年度におきましても、両地域の公共的な施設整備をいっそう推進することとし、辺地での公共的施設の総合的、計画的な整備を図るための財政上の特別措置を受けるため、辺地法に基づく市辺地総合整備計画の変更について、本定例会に議案を上程いたしております。
 
 次に、本年度の主な事業の進捗状況及び、新年度の主要な施策につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
 
 1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。
 
 小学校再編に向けた準備状況につきましては、再編準備委員会におきまして、通学方法について協議を続けており、来月、児童及び保護者の皆様を対象に、検討中の新たな路線のスクールバス試乗会を開催した上で、引き続き検討を進めることとしております。
 また、新校の環境整備につきましては、大町北部小学校となります、旧第一中学校の大規模改修工事が、今年に入り本格的に始まり、年内竣工に向け促進を図っており、また、現大町南小学校を活用する大町南部小学校につきましては、本年度中に施設の劣化度調査を完了し、新年度から、トイレの洋式化、体育館の照明LED化と床の改修工事に着手いたします。
 令和8年度の新小学校の開校に向け、引き続き所要の準備を進めるとともに、保護者等に対し、進捗状況等について丁寧な情報提供に努めてまいります。
 
 放課後児童クラブにつきましては、小学校の再編に伴い、北部小児童クラブと南部小児童クラブの2つに再編することとしております。このうち北部小の児童が利用する北部小児童クラブについては、旧第一中学校の改修工事に併せ、現在の小アリーナの一部をクラブ室に改修し活用するとともに、児童センター内にある現在の西小児童クラブの部屋につきましても、再編後の分室として継続利用することとしております。
 また、南部小の児童が利用する南部小児童クラブにつきましては、現在、南小児童クラブが置かれております、ふれあいプラザ内での継続を予定しております。
 両児童クラブの再編後のスムーズな運営に向け、新年度におきましては、児童クラブ支援員が、それぞれ他のクラブの児童の状況を把握できるよう、相互に交替して勤務するほか、児童の安全確保や支援員の負担軽減を図るため、入退出管理システムの導入を計画しております。
 
 山村留学につきましては、昭和51年に旧八坂村における拠点施設、育てる村八坂学園として開設され、本年、50年の大きな節目を迎えます。修園生は延べ1,500人に達し、地域との積極的な交流により地域活性化にも大きく寄与しており、市といたしまして、今後も引き続き山村留学の支援に努めてまいります。
 
 市立大町山岳博物館では、来月9日から5月10日まで、企画展「学校の生きもの探索記」を開催いたします。市内小学校の校内には、林や水路、池や花壇があり、また、周囲にも水田や果樹園などが広がり、様々な生きものが生息し自然観察に適しており、こうした身近な自然について、学芸員の調査結果を基に、学校で観察できる生物について企画展示を行います。
 また、これに関連して、「さんぱくゼミナール」として、大町西小学校を会場に自然観察会を予定しております。
 なお、本年度設計を進めております、博物館内の空調設備の改修につきましては、新年度早期に着工できますよう努めてまいります。
 
 文化、芸術の振興につきましては、市文化会館の天井照明のLED化工事の落札候補者が、プロポーザル方式により決定しましたので、工事請負契約について、本定例会に議案の追加上程を予定しております。
 工事に伴い大ホール及びホワイエ部分は、年内の休館を見込んでおり、ご不便をおかけすることとなりますが、早期の再開に努めますとともに、市民の皆様のご理解をお願いいたします。
 
 北アルプス国際芸術祭2024につきましては、今回の開催を通じて、コロナ禍により疲弊した地域経済に、一定の効果をもたらしたと考えており、また、全国各地のほか海外からも来訪いただき、SNSやWebのアクセス数やグッズの売り上げなどを見ましても、回を重ねるごとに着実にファンが増え、北アルプス国際芸術祭のブランディングは、一歩ずつ進んでいることを実感しております。
 現在、実行委員会では、ボランティアサポーターはじめ、関係者からのアンケート調査の結果を取りまとめ、評価・分析、収支見込みや最終報告書の作成を進めております。このうち決算につきましては、事業収入等の財源確保や支出の節減等に努め、市から新たな負担を求めることなく、決算できる見込みとなっております。
 なお、今月7日に開催しました企画運営会議及び、実行委員会総会において審議されました、新年度事業計画や予算、中間報告につきまして、本定例会全員協議会でご説明申し上げることとしております。
 議員各位をはじめ、支えていただきました多くの皆様に、改めて深く感謝申し上げます。
 
 スポーツの振興につきましては、天候に恵まれ、先月に市民スケート大会、一昨日はスキー・スノーボード大会が無事開催され、多くの選手に参加いただきました。準備運営に当たられました競技団体はじめ、関係の皆様のご尽力に感謝申し上げますとともに、今後も大町ならではの冬の自然環境を活かした、スポーツの振興に努めてまいります。
 新年度におきましても、恒例の市民スポーツ祭や大町アルプスマラソン、大北スポーツ競技会などの大会のほか、各種スポーツ教室等の開催を予定しており、こうした機会を通じ市民の健康増進と競技力の向上を図ることといたします。
 また、スポーツ施設につきましては、照明のLED化を含め、補修や改修など計画的な整備を進めておりますが、一方で、施設管理に要する経費が増大する収支状況を踏まえ、利用料と減免規定の見直しを図るため、昨年12月にスポーツ振興審議会に諮問し、本年度末までに答申をいただくこととしております。この答申に基づき見直し案を策定し、議会全員協議会においてご意見をいただくとともに、利用者への周知期間を設けたうえで、進めてまいります。
 令和10年に開催されます第82回国民スポーツ大会、第27回全国障害者スポーツ大会につきましては、サッカー競技の会場となります、サッカー場と陸上競技場の、管理棟の建替えに係る解体工事を進めております。積雪の影響はありますものの、新年度における新たな管理棟の設置工事に、大きな支障はないものと考えております。
 また、スポーツクライミングの競技会場につきましては、競技用の壁、ウォールの設置方法や場所、各種ブースの配置や来場者駐車場のあり方など、中央競技団体の日本スポーツクライミング協会の支援を得て、検討を進めております。これらの検討を踏まえ、県準備委員会の常任委員会、総会での審議を経て、本年夏頃には、現在検討中の旧大町北高校跡地が、正式な競技会場地として決定される見込みであります。
 また、昨年10月に創設した市の準備委員会は、本年、長野県での開催が正式決定されるに伴い、実行委員会に移行することとしており、これに併せ、常任委員会や専門委員会等の体制づくりを進めてまいります。
 
 2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
 
 地域の労働、雇用環境につきましては、ハローワーク大町が発表した大北管内の12月の有効求人倍率は1.29倍で、前年同月と比較し0.29ポイント低下しており、新規求人数は318人で、前年同月と比較して34.2パーセント減少しております。産業別では、インバウンドの好調を背景として、観光関連業種において人手不足が続いており、一方で、製造業におきましては、自動車製造が再開されたものの、依然として中国など海外の動向や物価高騰の影響を受け、求人を手控える動きが見られております。
 なお、物価高騰の影響を受けております、市民や市内事業者への支援として、国の物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、来月からプレミアム付の地域商品券を販売することとし、購入引換券の発送準備を進めております。
 今月5日、本年度2回目となる経済対策連絡会議を開催し、関係機関・団体から、市内の労働・雇用、経済状況の把握に努めており、こうした状況を踏まえ、引き続き物価高騰への支援に力を尽してまいります。
 
 米の生産対策につきましては、生産者や集荷業者等関係団体の取組みにより、令和6年産米は、生産調整の目標を達成することができました。
 令和7年産米につきましては、先月28日に開催された市地域農業再生協議会において、生産調整の目安値として、前年に比べ279トン増の8,367トンと決定され、面積換算では、前年に比べ約46ヘクタール増の1,365ヘクタールとなりました。
 全国的な米の需給バランスにつきましては、米の価格の相対的な値頃感やインバウンド等の増加により、主食用米の需要が堅調に推移し、本年6月末の民間在庫量は、適正水準の範囲である180万トンから200万トンを下回る、162万トンと見込まれ、昨年産と同規模の作付け転換を図った場合には、来年6月末には適正水準の範囲内となる182万トンまで回復する見通しとなっております。
 これらを踏まえ、昨年10月の相対の取引価格が、前年同月比151パーセントとなるなど、米価は大きく上昇しておりますが、生産コストが増加する中で、インバウンドを含め今後の需要動向を注視していく必要があり、稲作経営は依然として先行きに不透明感が残っております。
 このような状況の中、稲作中心の営農形態にあります当市におきましては、生産者の所得維持、確保のため、地域農業再生協議会を中心に生産者や集荷業者等関係団体が一体となり、よりいっそう需要に応じた米づくりを推進してまいります。
 
 また、米の輸出事業につきましては、令和3年1月、市農産物等輸出協議会を設立し、信濃大町産米や日本酒を中心に取り組み、同年10月には、当市産の米や日本酒を輸出している事業者と包括連携協定を締結し、香港や台湾で事業を展開してまいりました。こうした中、この事業者が、このたびロンドンに新たな拠点を開設することとなり、これに併せて、輸出協議会の米の生産者と市では、ヨーロッパでの新たな販路の開拓、確保を目指し、今月23日から28日までの日程でロンドンに渡航しており、新年度におきましては、当地での事業展開を含め、市農産物の販路拡大に取り組んでまいります。
 
 農業経営基盤強化促進法の改正により、策定が義務付けられました「地域計画」につきましては、これまで、農地所有者へのアンケートや地区別懇談会、関係機関との検討会などを、農業委員会と連携し進めてまいりました。今般、計画を策定する地域を6地区と定め、それぞれの地区の現況と課題、目標達成に向けた取組み等を取りまとめ、守るべき農地と将来の耕作予定者及び地域農業の担い手と、これらを図示した目標地図により大町市地域計画(案)を策定し、来月14日まで公告、縦覧を実施しております。
 内容につきましては、本定例会全員協議会でご説明申し上げることとしております。
 
 観光振興につきましては、市内2カ所のスキー場は、12月にまとまった降雪に恵まれ順調な滑り出しとなり、年末年始の来場者数は前年比約3倍となりました。東南アジアを中心とするインバウンド客が好調で、市内スキー場が進めております、スキー客以外の来場者も遊べる環境づくりが、雪に触れる楽しみを求めて来訪する、外国人のニーズに合致したことが、好結果に結び付いているものと考えております。
 大町温泉郷の年末年始の入込状況につきましては、宿泊者数が前年比1.2倍となり、台湾を中心に中国や香港、オーストラリアからの来訪が顕著で、韓国、タイからの来訪者も前年を大きく上回っております。
 また、昨シーズンより白馬村で課題となっております「オーバーツーリズム」につきましては、宿泊や夕食時の混雑分散につながるよう、観光庁の補助金を活用し、白馬村内のスキー場と市内の宿泊施設や飲食店をつなぐ、「ぐるっとBUS」を運行しております。このバスの2つの路線のうち、大町温泉郷の宿泊者向けの白馬行きバスには、12月21日から先月31日までの42日間で延べ705人に利用いただき、約7割がインバウンド客となっており、一方、白馬村内の宿泊客を市内飲食店に運ぶ夕食利用者向けのバスについては、利用状況が当初の想定を下回っており、こうした運行結果を検証し来季の施策に反映してまいります。
 グリーンシーズンの幕開けを告げる立山黒部アルペンルートは、4月中旬の開通を控え、現在準備作業が進められており、来月からは大都市圏を中心に、現地に出向き誘客キャンペーンを実施することとしております。
 特に今年は、関西圏からの誘客にも力点を置き、来月18日から23日までの6日間、兵庫県西宮市の「ららぽーと甲子園」において「信濃大町フェア」を開催いたします。このフェアでは、大町産ヒノキを使った箸づくり体験や特産品の販売、宿泊券などが当たる抽選会のほか、おおまぴょんが登場するステージイベントなど、多彩な企画を通して当市の魅力を総合的に発信することとしております。
 
 本年度策定を進めております次期観光振興計画につきましては、市総合計画の個別計画として位置付けており、市の観光の将来像を見据え観光振興策の具体的な指針を示す実行計画として、行政や観光団体、観光事業者、市民がともに連携し、相互に役割を分担して推進に取り組むことといたします。
 計画の詳細につきましては、本定例会全員協議会においてご説明申し上げることとしております。
 
 特産品の振興につきましては、おおまちカフェ事業として、新たな商品の掘り起こしを進めており、今月1日から来月まで「信濃大町あったかフェア」を開催しております。市内飲食店等の皆様に協力いただき、大町中学校で開発したマチスコを使ったメニューをはじめ、「辛い」「温かい」メニューを提供し、多くの皆さんに体験していただき、その体験をインスタグラムで情報発信いただくよう呼び掛けております。これまで季節ごとにおおまちカフェを展開し、市内外の来訪者や事業者から高い評価をいただいておりますことから、新年度におきましても継続的に進めてまいります。
 また、市内本通りで、これまで市の特産品を取り扱っておりました「い~ずら大町特産館」が先月7日に閉館し、観光誘客や地域振興等、様々な面に影響が生じており、市としましても、影響が長期間に及ぶことのないよう、市内事業者や関係団体と連携し、必要な対策を検討しております。
 
 移住、定住の促進につきまして、先月末時点の移住者受入数は58世帯85人と、ここ数年の高い水準を維持しており、移住前に当市を訪れ体験したい方や、移住に向け仕事や住まいを探す方等に対し、現在、まちなかの宿泊施設に宿泊いただき、「お試し暮らし」を実施しております。新年度におきましても、更に多くの希望者を受入れるため、協力いただく宿泊施設を拡大し、暮らし体験の要望に応えられますよう、事業の充実を図ることといたします。
 また、移住を検討する方にとりましては、移住後の住まいの確保が課題となっており、空き家のいっそうの活用など、関係団体等と連携し移住定住の推進に努めてまいります。
 
 3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
 
 市立大町総合病院におきましては、昨年末から流行しておりますインフルエンザや、新型コロナウイルスなどの感染症患者を多く受け入れてまいりました。先月3日には当番医としての診療で、発熱外来に約140人の患者が受診し、そのうち約80人がインフルエンザ、約20人が新型コロナの陽性と診断され、当日は、一時的に検査待ちの車列が病院敷地の外にまでつながり、周辺の通行に支障を来たす状況となり、ご迷惑をお掛けしましたことにお詫び申し上げます。
 なお、現在の感染状況は、落ち着きを取り戻しておりますが、北アルプス圏域唯一の感染症指定医療機関として、引き続き各種感染症に対する診療体制の維持に努めてまいります。
 病院の運営につきましては、昨年度より「市立大町総合病院経営強化プラン」に基づき、経営改善に継続的に取り組んでおり、本年度第3四半期までの経営状況は、医業収益が昨年度同期より約1,200万円の増となっておりますものの、抗悪性腫瘍薬をはじめとする高額医薬品や光熱費、燃料費などの高騰に加え、給与改定や最低賃金の引き上げに伴う人件費の増により、支出が大幅に増加したことにより、経常損益では約1億9,000万円の赤字となっております。こうしたことから、収益増に向けた取組みを進めておりますが、本年度の決算では、平成30年度以来の赤字決算になる見込みであります。
 引き続き、いっそう積極的な入院患者の受け入れと、適切なベッドコントロールなどにより、入院収益や健診受診者等の医療相談収益の確保に努め、市民の皆様が安心して診療を受けることができる医療体制の維持と、経営の強化に取り組んでまいります。
 
 八坂診療所につきましては、昨年10月末に竣工した新たな診療所で、美麻診療所の協力と大町総合病院の支援をいただき、11月より診療を再開いたしました。新年度におきましても、八坂地区における医療の拠点として切れ目のない診療の継続を図るため、引き続き大町総合病院からの支援により、週3日の診療体制を維持してまいります。今後も地域住民の皆様の命と健康を守るため、送迎や訪問診療など、移動が困難な方への医療機会の提供を含め、中山間地域における地域医療の推進に努めてまいります。
 
 帯状疱疹ワクチンにつきましては、新年度より、年度内に65歳を迎える方と、特に発症リスクの高い免疫不全のある60歳から64歳の方を対象として、一定の費用負担による定期予防接種に位置づけられました。また、65歳を超える方につきましては、高齢者肺炎球菌ワクチンと同様に、5年間の経過措置として、5歳年齢ごとに100歳までの方が対象となり、また、新年度に限り100歳以上の方は全員が対象となります。
 現在、接種の開始に向け、大北医師会等関係機関と協議を進めており、内容が決定次第、市民への情報提供に努めてまいります。
 
 最大震度7を観測し、甚大な被害をもたらした能登半島地震の発生から1年が経ち、更に、復興の途上で発生した奥能登豪雨からは約5カ月が経過しました。二度に亘り甚大な被害に遭われた皆様に、改めて心からお見舞い申し上げますとともに、被災地の1日も早い復旧、復興を願うところでございます。
 こうした中、先月12日には、消防出初式を開催し、今年一年の無災害を祈念し、地域の安心安全と災害に強いまちづくりや、日頃からの備への心構えを新たにしました。
 文化会館での式典に先立ち、中央通りでは分列行進を実施し、拍子木を打ち「火の用心」と呼び掛け行進する園児を先頭に、自主防災会や日赤奉仕団、市消防団等の総勢500人による行進と、消防署のはしご車など、消防車両19台によるパレードを行い、防火・防災意識の高揚と啓発を図りました。
 また、阪神淡路大震災の発生から30年を迎え、過去の災害の記憶をつないでいくことが重要となる中、昨年8月には、宮崎県日向灘沖を震源とする地震が発生し、南海トラフ地震臨時情報が初めて発表されました。
 南海トラフ地震と同様に、大規模の地震が発生する確率が高いとされる、糸魚川―静岡構造線上に位置する当市におきましては、本年度、能登半島地震を踏まえた防災訓練や防災講習会等が、地域の自主防災会が中心となり開催されており、市民の防災意識も高まっているものと考えております。
 過去の災害の記憶を風化させることなく、啓発に工夫を凝らすとともに、今回見直しを行いました市の地域防災計画に基づき、引き続き、防災対策の強化を図ってまいります。
 
 4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
 
 ニホンライチョウの飼育、研究につきましては、新年度におきましても、環境省及び日本動物園水族館協会との連携の下で、事業に取り組むこととしております。
 また、ニホンライチョウと近縁種の、スバールバルライチョウにつきましては、現在、国内の動物園における飼育個体数が減少傾向にあり、山岳博物館におきましても昨年6月以降、飼育展示個体がない状況にありましたが、動物園水族館協会との調整により、先月30日、東京都恩賜上野動物園から、昨年7月に生まれたオス1羽を譲り受け、来月展示を再開いたします。
 
 市では、令和5年度より、魅力ある景観を守り育て、磨き、そして活かし、未来に継承していくことを目的に、景観計画の策定に取り組んでまいりました。これまでに、有識者による検討委員会を6回、検討の段階ごとに住民懇談会を8回開催するとともに、市民を対象としたアンケート調査や、パブリックコメントによる意見を踏まえ、景観計画の素案を作成いたしました。
 この内容につきましては、本定例会全員協議会においてご説明申し上げることとしており、引き続き、景観法に定義される景観行政団体への移行に向けて、景観条例の制定に向けた準備を進めてまいります。
 
 課題となっております中心市街地の活性化につきましては、中心市街地における良好な住環境や、賑わいのあるまちづくりに向けたハード面の整備を、官民連携により進めるため、平成10年に策定した「街なみ環境整備事業」の整備方針や事業計画を、新年度におきまして改定することといたします。
 
 良好な住宅、居住環境の形成につきましては、持続可能な地域内循環に寄与する脱炭素社会の実現と、健康で快適かつ災害に強い住まいづくりを目指し、家庭部門における二酸化炭素排出量の削減を図るため、新年度におきましても、ゼロカーボン住宅推進リフォーム支援事業に、継続的に取り組むこととしております。
 市営住宅の整備につきましては、公営住宅等長寿命化計画に基づき、大新田団地において、給湯器、ユニットバス等の水回りのリフォーム工事を実施し、住環境の改善を図ってまいります。
 
 今シーズンは、昨年12月上旬以降、特に年末年始に到来した寒波の影響から、市内北部地域ではまとまった降雪となり、今月15日時点の市内の降雪量は、過去5年平均の約2倍となっております。こうした中、市道の除雪につきましては、除雪事業者及び各地区の自治会の皆様と連携を図り、市内全域で除雪作業や凍結剤散布を実施し、安全な道路交通の確保に努めております。
 なお、先月末時点における雪害対策費の総額は2億円を超え、この経費につきましては専決により補正予算に追加計上いたしましたので、本定例会にご報告申し上げます。
 今月に入り、10年に一度クラスの寒波が襲来しており、未だ春の気配は遠く、今後も引き続き、安全な道路環境の維持確保に努めてまいります。
 また、今月11日、市内で除雪作業中に、屋根からの落雪が原因と思われる死亡事故が発生しました。お亡くなりになりました方のご冥福をお祈りいたしますとともに、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。
 今後は、気温の上昇や降雨などにより、なだれや建物の屋根等からの落雪にいっそうの注意が必要となります。市民の皆様には、除雪作業のほか、外出時には、周囲の積雪や路面の凍結にじゅうぶん注意を払い、安全な日常生活を送っていただきますようお願いいたします。
 
 下水道事業につきましては、日頃から施設の持続的な機能の維持確保に努めておりますが、先月、埼玉県八潮市で発生した下水道管の破損による大規模な陥没事故は、今なお、広範な地域の住民生活や経済活動に多大な影響を及ぼしており、下水道管路の安全性確保の重要性を、改めて深く認識するところであります。今後、日常的な管路の点検、管理をはじめ、ストックマネジメント計画に基づく適切な施設の更新を進め、下水道管路の安全確保に努めてまいります。
 なお、下水道事業を安定的、継続的に運営するため市下水道事業経営戦略について、新年度において所要の見直しを行うこととしております。
 また、市民の皆様に、予め市内の浸水リスクについて理解いただき、日頃から浸水に備えていただくよう、大雨等により住宅地等で排水が困難になった場合に発生する、内水氾濫を想定したハザードマップを作成しましたので、本定例会全員協議会においてご説明申し上げることとしております。
 
 5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
 
 北アルプス連携自立圏の取組みにつきましては、平成28年3月に、北アルプス圏域の5市町村が、地方自治法に基づく連携協約を締結して北アルプス連携自立圏を形成し、4分野13事業でスタートして、現在、10分野17事業を実施しております。
 本年度をもって第2期連携ビジョンの計画期間が終了しますことから、圏域5市町村の協議により、新年度からの5年間を第3期として、引き続き連携事業に取り組むこととし、分野ごとに事業内容を精査し、検討を進めてまいりましたところ、新年度では、6分野9事業に見直し実施することといたしました。
 今後も、市町村がそれぞれ主体性と独自性を保つことを前提として、地域活力の創出に連携して取り組むことが、より効果的、効率的と考えられる事業について、引き続き、圏域共通の課題として円滑な連携の推進に努めてまいります。
 なお、連携自立圏の取組みにつきましては、本定例会全員協議会においてご報告することとしており、また、新たな連携協約の一部を変更する議案につきまして、本定例会に上程しております。
 
 以上、第5次総合計画で定めました各施策の進捗状況と、新年度予算を含め今後の執行方針についてご説明申し上げました。年度最終盤に向け、本年度計画しましたそれぞれの事業が円滑に推進できますよう、今後も全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
 本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件4件、人事案件1件、事件案件6件、条例案件10件、予算案件15件の合計36件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

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