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令和6年12月定例会市長あいさつ
本日ここに、令和6年大町市議会12月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
はじめに、9月13日から今月4日までを会期として開催しました、北アルプス国際芸術祭2024につきましては、参加アーティストやボランティアサポーターの皆様をはじめ、多くの市民や実行委員会の皆様のお力添えにより、無事閉幕を迎えることができました。心より感謝申し上げます。
来場者につきましても、速報値でありますが、受付を設置し運営した22サイトにおいて、延べ18万人余と、多くの皆様に観賞いただきました。
これまでも申し上げてまいりましたように、単に芸術祭を開催することが目的ではなく、芸術が持つ人を惹きつける強い力と情報発信力を最大限に活用して、大町市の魅力とブランド力の向上を目指すとともに、大町への人々の流動を呼び起こすことが重要であると考えており、観光誘客の拡大により地域の活性化を図り、人口減少に歯止めを掛け、若い世代の皆さんに元気な大町を引き継ぎ、持続可能な地域社会を形成するための、手段の一つとするものでございます。
今回、県内外、更には、海外からも多くの皆様に訪れていただいたことに加え、全国各地からの数多くのボランティアサポーターが、制作や運営に携わり、大町のファンになっていただきました。
また市民の皆様にとりましても、芸術祭の様々な場面で、来場者やボランティアサポーターとの、新たな交流を持つ機会となりましたことは大変嬉しく思います。
今後は、今回の芸術祭について、様々な視点から検証を進めますとともに、この貴重な経験をかけがえのない地域の財産として、将来の市の発展に結び付けてまいりたいと考えております。改めて、芸術祭を支えていただきました多くの皆様に、深く感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
国内の経済状況につきましては、政府が先月29日に発表した、月例経済報告によりますと、景気はこのところ足踏みがみられるものの、緩やかに回復しており、消費者物価は緩やかに上昇する一方で、個人消費は持ち直しに足踏みがみられる、としております。
また、先行きにつきましては、雇用、所得環境が改善する下で、政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されるが、欧米の高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞に伴う影響など、海外景気の下振れが、我が国経済を下押しするリスクとなっており、物価の上昇や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある、としております。
また、長野財務事務所が、今月7日に公表した県内の経済情勢は、個人消費は緩やかに回復しており、生産活動も持ち直しつつあるものの、雇用情勢は足踏み状況にあるとしております。
現在、政府は、本年度補正予算に関し、総合経済対策について、具体的な内容の検討に着手し、調整が進められております。
こうした中、先週22日、政府は物価高への対応などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定し、低所得世帯への給付や光熱費等への助成とともに、新しい地方経済と生活環境への交付金を盛り込むほか、今後の取組みの中で、いわゆる「103万円の壁」について、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げることを明記しております。
この取組みは、人手不足が社会的な課題となる中、「働き控え」の解消など様々な議論を行うことには一定の理解ができますものの、一方で、地方自治体にとりましては、住民の身近な行政サービスの基盤となる、地方財源に直接関わる重要な事柄であります。仮に、非課税枠を現行の年収103万円から178万円に引き上げるとした場合には、地方自治体の基幹税であります住民税について、約4兆円もの減収が見込まれると試算されております。また、所得税もその33.1パーセントが地方交付税の原資となっており、地方交付税においても、1兆円強の甚大な影響が見込まれ、住民に身近な社会福祉や子ども子育て支援、学校教育やごみ処理など、多岐に亘る行政サービスの提供に重大な支障をきたす惧れがあり、多くの自治体から強い懸念の声が上がっております。
こうした情勢を受け全国市長会では、地方税財源に影響を及ぼすことのないよう、慎重な議論を行うよう強く求めており、当市といたしましても、特に、今後の動きに注意を払ってまいります。
市におきましては、現在、来年度予算の編成に向け、本年度のこれまでの事業の評価、検討に加え、衆議院総選挙後の、国、県等の政策動向を把握するなど、所要の準備を進めており、持続可能なまちづくりに向け、最小の経費で最大の効果を生み出すことができますよう、引き続き情報の収集に努めてまいります。
次に、本年度の主な事業の進捗状況につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。
まず、令和8年度に開校する新たな2校の小学校の校章デザインにつきましては、一般公募した作品の中から、小学校再編準備委員会において選考いただき、大町北部小学校6点、大町南部小学校5点に絞り込みました。
その後、児童や保護者等へのアンケート結果等を踏まえ、教育委員会において審議のうえ、両校それぞれの校章デザインを決定いたしました。決定した内容につきましては、本定例会全員協議会でご報告することとしております。
大町北部小学校となります、旧第一中学校の大規模改修工事につきましては、建築、機械設備及び電気設備の3つの工事を、一般競争入札により、それぞれ仮契約を締結いたしました。契約の締結に当たりましては、本定例会において議案の追加上程を予定しております。
また、現大町南小学校を活用する大町南部小学校につきましては、既存施設の有効活用を図るため、施設の劣化度調査を来月から着手することとしております。
新小学校のスタートに向け、今後も、引き続き所要の準備を進めるとともに、保護者等に対し、準備の進捗状況について周知、広報を図り、丁寧な情報提供に努めてまいります。
スポーツの振興につきましては、スポーツの秋を迎え、9月には市民登山や大北駅伝、大北スポーツ競技会が、多くの市民の参加により行われ、このうち先月開催された第41回となります大町アルプスマラソンには、2,600人を超えるランナーがエントリーし、北アルプスの山麓の紅葉に染まる日本陸連公認コースを疾走しました。
これからウィンタースポーツの季節を迎える中、1月には小学生のスキー体験会などを予定しており、引き続き市民の健康増進と競技力の向上を図るため、大町市スポーツ協会との連携の下、各種スポーツ教室の開催と各競技団体の支援に努めてまいります。
令和10年に開催を迎える、第82回国民スポーツ大会、並びに第27回全国障がい者スポーツ大会に向けた準備状況につきましては、まず、その運営母体となる大町市の準備委員会を先月立ち上げたところであり、来年の6月以降に本県の開催が正式に決定された後、実行委員会へ移行することとしております。
また、これに併せ、各常任委員会や専門委員会等の体制づくりとともに、事務局体制につきましても、段階的に整備を進めてまいります。
各競技施設の準備状況につきまして、まず、サッカー競技の会場となります、運動公園のサッカー場と陸上競技場におきましては、老朽化した管理棟の建替えに向け、今月からそれぞれの解体工事に着手し、本年度内に解体、整地を完了させることとしております。その後、来年度に入り、新たな管理棟の整備に着手し、来年の大町アルプスマラソンの開催時期に間に合うよう、工事の進捗を図ってまいります。
なおこの間、両施設の使用停止により、利用者の皆様にはご不便をお掛けしますが、ご理解をお願い申し上げます。
スポーツクライミングの競技会場につきましては、6月定例会全員協議会においてご説明しましたとおり、旧北高跡地を競技会場として使用することについて、県の内諾を得ましたことから、先月、この候補地について、中央競技団体である日本スポーツクライミング協会の正規視察が行われました。
その際、競技団体からは、設置する壁の向きや一般観覧者の駐車場対策などについて指摘があり、今後、これらについて検討を行い、理解を得たうえで、県準備委員会の常任委員会及び総会の審議を経て、来年夏頃には、正式に競技会場として決定される見込みであります。
なお、具体的な施設の整備につきましては、日本スポーツクライミング協会及び県山岳協会とも協議を行い、具体的な計画を詰めていくこととしております。
2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
地域の労働、雇用環境につきましては、ハローワーク大町が発表した、大北管内の9月の有効求人倍率は1.64倍となり、前年同月と比較すると0.04ポイント下回り、また、新規求人数は452人で、前年同月と比較し21.7パーセント減少しております。
依然として、観光に関連した業種では人手不足が続き、一方、製造業におきましては、海外情勢の中長期的な動向により、求人を手控える動きが続いております。
こうした中、県内の最低賃金につきましては、先月1日、過去最大の引き上げ幅となる、時給948円から998円に改正されました。この改正は、地域経済や企業活動に大きな影響を与える可能性がありますことから、労使双方の動向を見守り、引き続き良好な労働環境が維持されることを期待いたします。
農業分野につきましては、本年の水稲の作柄は、農林水産省が発表した先月末時点の作況指数によりますと、県内においては101の「平年並み」となりました。令和5年産米は猛暑の影響で流通量が減り、一方で、インバウンドの回復に伴う外食需要の高まりにより、需給が逼迫しました。
本年産米の米価につきましては、こうした需給の影響に加え、資材や燃料などの生産コストが上昇したことから、JAから農家に支払われる概算金は3年連続で引き上げられ、コシヒカリ60キログラム当たりの価格は、令和5年産米に比べ3,840円上昇しました。
国では、来年6月末の民間在庫量について、引き続き減少することが見込まれる一方で、令和7年産米の作付動向等によっては、需給が緩和する可能性もあり、米価を維持し生産者の経営安定を図るため、今後も需要に見合った適正生産を進めるとともに、麦や大豆、園芸品目等への転作を強化することとしております。
市としましても、国、県の動向を注視し、県北アルプス農業農村支援センターをはじめ、JA大北や市地域農業再生協議会等の関係機関、団体との連携を密にし、適切な対応を図ることといたします。
観光振興につきましては、立山黒部アルペンルートの今月20日現在の入込み数は、累計で約86万人となり、昨年同期に比べ12万6,000人、17.2パーセントの増となっております。これは、インバウンドの回復や国内旅行の需要の高まりとともに、関電トンネル「バス60周年」のキャンペーンや、北アルプス国際芸術祭の誘客宣伝の効果があったものと分析しております。
また、市内への観光誘客につきましては、若一王子神社において先月12日から3日間、また、紅葉の名所霊松寺では、先月26日から7日間に亘り開催しましたライトアップイベントに、2,600人余に来場いただきました。今後も引き続き、観光スポットの魅力向上と、効果的な活用に取り組んでまいります。
山岳観光につきましては、七倉から高瀬ダムをつなぐ新高瀬川発電所管理用道路において、本年3月に発生した大規模な落石の影響により、タクシーの通行を一部区間で制限しておりましたが、先月11日より全区間で運行が再開され、紅葉シーズンに間に合う形となりました。このような状況下におきましても、昨年度から運行しております裏銀座登山バスは、登山人気の高まりにより、74日間の運行で1,700人余に乗車いただき、昨年を上回る利用状況となりました。今後も引き続き、山岳観光の利便性向上を図るとともに、効果的な誘客宣伝に努めてまいります。
冬期の観光につきましては、今シーズンも、市内のスキー場では年内のオープンに向けて準備が進められております。近年、白馬村等では、飲食店が混雑し利用が困難になるなど、いわゆるオーバーツーリズムによる影響が顕著となっており、こうした課題に対応するため、当市では、本年度、観光庁の補助制度「オーバーツーリズムの未然防止、抑制による持続可能な観光推進事業」を活用して、当市と白馬村をバスで結ぶ二次交通を運行し、当地域の飲食店や宿泊施設への誘客を図ることとしました。また併せて、来年2月の毎週土曜日に開催が予定されております、大町温泉郷「夢花火と音の祭典」など、冬の大町ならではの魅力を発信するとともに、引き続き白馬村、小谷村のスキー場と一体となり、白馬バレーのブランド力とスケールメリットを活かした、誘客宣伝に努めてまいります。
移住、定住の促進につきましては、リピーターとして、繰り返し当市に足を運んでいただく契機とするため、北アルプス国際芸術祭に合わせ、移住プロモーションを実施いたしました。窓口に相談に来た方や移住ツアーに参加された方々、42組55人に対し鑑賞パスポートを配付し、自然や景観とともに芸術を通して当市の魅力を体感いただき、大変好評をいただきました。引き続き、当市の様々な魅力の周知に努め、移住の促進に力を尽してまいります。
3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
市立大町総合病院では、昨年度より市立大町総合病院経営強化プランに基づき、持続可能な地域医療の提供体制を確保するため取り組んでまいりました。
本年度9月までの上半期の状況につきましては、大北管内の救急搬送患者の50パーセント以上を受け入れるなど、積極的な入院患者の受け入れや、適切なベッドコントロールに努めておりますが、新型コロナに係る診療報酬上の特例措置の廃止に伴う診療単価の低下に加え、外来では、発熱外来の受診者減少などにより、医業収益は昨年同期と比較して約2,300万円の減収となっております。また、人件費の上昇や物価の高騰、新型コロナ関連の補助金の廃止などにより、経営状況は非常に厳しいものとなっておりますが、現在、職員が一丸となり収支の改善に取り組んでおります。
感染症対策につきましては、冬季は空気の乾燥による免疫力の低下や、暖房の使用による換気頻度の減少に伴い、感染症のリスクが高まることから、大町病院としましては、大北圏域唯一の感染症指定医療機関として、新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチン接種をはじめ、引き続き市民の皆様が安心して医療が受けられる診療体制の維持、向上に努めてまいります。
老朽化に伴い、建て替え工事を進めてまいりました八坂診療所につきましては、先月29日に完成式を行い、今月14日から診療を開始いたしました。
新たな診療所は、周囲の自然と環境に調和した、明るく温もりのある施設を基本とし、バリアフリー化を図り、コンパクトかつ効率的で省エネ性能に優れ、八坂地域における、地域住民の皆様の命と健康を守る拠点として、送迎や訪問診療など移動が困難な方への対応を含め、適切な医療の機会を提供し、中山間地域における地域医療の推進に貢献してまいります。
消防防災体制の充実につきましては、今月3日、市文化祭に合わせ、文化会館周辺を会場として、市消防団主催による「消防フェスタ2024おおまち」が、約2,500人の来場者を迎え、盛況のうちに開催されました。
この催しは、ポンプ操法、ラッパ吹奏大会に次ぐ消防団の大きなイベントとして、市民の皆様に直接消防団活動への理解を呼び掛けるとともに、防災意識の向上と次代を担う消防団員の確保を図るもので、本年で12回目の開催となります。今回は、国土交通省千曲川河川事務所による降雨体験をはじめ、糸魚川市消防団による放水体験や、ARゴーグルと呼ばれる特殊な眼鏡を装着し、浸水被害の様子を実際の風景映像に重ねた仮想空間での疑似体験のほか、日本防災士会による楽しみながら防災を学ぶブースや、子ども達に人気の消防車や救急車、パトカーなどを展示し、会場を盛り上げました。
また、今月10日の消防訓練では、秋季全国火災予防運動に合わせ、大町消防署と市消防団による中継送水及び放水訓練を、大町ダム緑地公園等を会場に実施いたしました。訓練では、水利の確保が困難な現場を想定し、8月に協定を締結した、大北生コン事業協同組合のミキサー車が運搬した水を、消防署及び消防団のポンプ車をつなぐ長距離の中継送水を行い、相互の連携を再確認いたしました。
こうした、より実地に即した訓練の積み重ねが、火災時の延焼等による被害を最小限に抑え、大切な命や環境を守ることに直接、結び付くものと考えております。
防犯対策につきましては、9月、八坂地区の公共施設等で、屋内の水道の蛇口や配管のほか、道路沿いに配備した熊よけの鈴や消防ホースの筒先等、金属類を狙った窃盗被害が発生しました。6月にも美麻地区内の公園で蛇口が盗難に遭っており、市では、所管する部所に点検と管理の徹底を指示するとともに、市民への注意喚起を図るため、緊急情報メールや防災無線により、周知、広報に努めたところであります。
こうした侵入窃盗は全国各地で発生しており、特に連日、報道されている「闇バイト」により集められた、犯罪グループによる強盗や窃盗の増加は、治安を著しく悪化させる重大な社会問題となっております。また、電子メールやマッチングアプリなどにより、交信を繰り返して信用させ、指定した銀行等の口座へ振込ませる、SNS型の投資詐欺等の被害も急増しております。
市としましても、引き続き警察署や防犯協会、県消費生活センター等と緊密に連携し、被害の防止について情報提供に努めるとともに、啓発活動の強化を図ってまいります。
4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
ニホンライチョウの飼育研究につきましては、環境省及び日本動物園水族館協会のライチョウ保護事業と連携し、山岳博物館で繁殖させたニホンライチョウを野生に戻す事業に取り組んでおります。
本年は、人工繁殖でふ化した雛に、えさとなる高山植物を体内で消化する腸内細菌を獲得させるなど、高山の自然の中で生活できるよう飼育し、9月23日、オス1羽、メス4羽の計5羽を、中央アルプスへ放鳥することに成功しました。山岳博物館において、昭和38年からニホンライチョウの飼育研究に取り組んでまいりました歴史の中で、低地で人の手で成育した個体を、元の生息域の高山に復帰させたことは、今回、栃木県の那須どうぶつ王国とともに全国で初めての快挙であります。
今後、人工繁殖によるライチョウが、順調に高山での生活に順応して無事冬を越し、自然繁殖することを期待するところでございます。
水道事業につきましては、給水開始から100周年という大きな節目の年を記念して、7月の記念式典に続き先月26日、27日には、居谷里水源や三日町配水池などを巡る「水源地見学ツアー」を、信濃大町みずのわプロジェクトと共催して開催いたしました。
このツアーには、市外からの参加者もあり、水道をはじめ、大町の水の魅力について、市内外の皆さんにあらためて伝えることができました。
なお、上水道料金につきましては、本年3月より水道事業等経営審議会において、ご審議いただきましたが、今月20日、来年度から3カ年、現状の料金水準に据え置くことを内容とする答申をいただきました。
また、附帯意見として、今後、水道施設の大規模更新や耐震化が見込まれることから、次回の料金改定に当たっては、より長期的な経営状況を見据え検討するよう提言されました。
今後も引き続き、市民が安心して利用できる水道水の安定的な確保、供給を図るとともに、水道事業の健全な経営に努めてまいります。
地域高規格道路松本糸魚川連絡道路につきましては、1月に、市街地区間における最適ルート帯として、Cルート帯が決定され、このルート帯からルート線を決定するための「事業準備段階」へ移行いたしました。
現在、県では、ルート線と概ねの道路構造を検討し設計を進めるため、ルート帯沿線住民の皆様を対象とした、測量作業に係る地区説明会が終了し、来月末には作業を完了する予定であります。
また、市におきましては、市街地ルート沿線に必要となる「道の駅」の設置について、8月の第1回道の駅懇話会の開催後、先月には、地域の特長を活かした賑わいの場を創出している、県内の先進的な道の駅の視察を行い、委員の皆様から多くのご意見をいただいており、更に幅広く検討を進めてまいります。
市としましては、引き続き、県とともに沿線住民の皆様を中心に丁寧な説明に努め、早期に計画が進められますよう、力を尽くしてまいります。
ごみ処理広域化につきまして、旧大町市環境プラント焼却棟の跡地に建設する、大町リサイクルパークストックヤード棟は、9月2日に着工し、現在、建屋の基礎部分の地盤安定化を図る、コンクリートの打設などの基礎工事を進めております。工事に当たりましては、大町リサイクルパークを利用する皆さんに、ご迷惑を掛けることのないよう十分配慮するとともに、万全の対策を講じ、令和7年3月の竣工を目指し安全な工事の推進に努めてまいります。
常盤泉地区における臭気対策につきましては、6月に地元自治会に対して、事業者から1日当たりの搬入量を増量したいとの協議があり、検討の結果、8月から3カ月間、搬入量の上限を日量42トン以下から52トン以下に、試行的に増量する覚書が締結されました。先月末までの間の試行の結果は、搬入量が42トンを超過した日数は8日、最大搬入量は46.53トンで、期間中に市が実施した臭気測定や臭気パトロールにおいて、臭気の度合いが増加することはありませんでした。今回の試行期間が先月末で終了したことから、今月21日に開催された泉地区公害対策委員会におきまして、今後の対応について、事業者や県及び市を交えた協議が行われ、地区としては、搬入量42トンを超過した日数が少なく、また、最大搬入量も52トンより少なかったため、臭気変化などについて評価することは難しいとして、来年7月末まで試行期間を延長し、その結果により判断することが決定されました。
この決定を受け、市としましては、試行継続に伴い、引き続き期間中の臭気測定の回数を増やして監視を行うなど、今後も地元地区の意向を踏まえ、より良好な環境の構築に向け取り組んでまいります。
5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
地域の防災対策につきましては、先月29日、市連合自治会と自主防災会連絡会による先進地視察研修が、富山県広域消防防災センター内の体験型学習施設「四季防災館」及び、防災危機管理センターで実施されました。四季防災館では、振動装置で再現した東日本大震災や阪神淡路大震災の揺れを体験し、改めて災害の恐ろしさや避難行動について学習するとともに、防災危機管理センターでは、ヘリポートなどの施設見学の後、能登半島地震を教訓とした震災への対応ついて講義を受講し、自助、共助、公助による地域防災の重要性について理解を深めました。
市連合自治会広報部会の取材を基に製作しました、「おらほのまち」第8号は、市内全戸のほか、市内に移住を検討している皆さんに配付され、各地区で実施しております環境整備や美化活動、地域の交流を深める行事など、特色ある活動を紹介するとともに、能登半島地震被災地の教訓に基づき、災害への備えや避難所運営のあり方など、地区での共助の取組みを紹介しております。
市としましては、自治会活動の活性化により、お互いの顔が見える安心安全な地域の再生が図られ、自治会への加入が促進されることを期待するとともに、市民の地域づくり活動が、いっそう活発になりますよう支援に努め、引き続き、市民の参画と協働のまちづくりを推進してまいります。
以上、第5次総合計画に定めました各施策の進捗状況と、今後の執行方針について申し上げましたが、年度終盤に向け、来年度での展開を視野に入れ、計画いたしましたそれぞれの施策が、予定どおり円滑に推進できますよう、全力を挙げて取り組んでまいりますので、今後も市政の運営に対し、いっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件1件、人事案件1件、事件案件4件、条例案件7件、予算案件7件の合計20件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
はじめに、9月13日から今月4日までを会期として開催しました、北アルプス国際芸術祭2024につきましては、参加アーティストやボランティアサポーターの皆様をはじめ、多くの市民や実行委員会の皆様のお力添えにより、無事閉幕を迎えることができました。心より感謝申し上げます。
来場者につきましても、速報値でありますが、受付を設置し運営した22サイトにおいて、延べ18万人余と、多くの皆様に観賞いただきました。
これまでも申し上げてまいりましたように、単に芸術祭を開催することが目的ではなく、芸術が持つ人を惹きつける強い力と情報発信力を最大限に活用して、大町市の魅力とブランド力の向上を目指すとともに、大町への人々の流動を呼び起こすことが重要であると考えており、観光誘客の拡大により地域の活性化を図り、人口減少に歯止めを掛け、若い世代の皆さんに元気な大町を引き継ぎ、持続可能な地域社会を形成するための、手段の一つとするものでございます。
今回、県内外、更には、海外からも多くの皆様に訪れていただいたことに加え、全国各地からの数多くのボランティアサポーターが、制作や運営に携わり、大町のファンになっていただきました。
また市民の皆様にとりましても、芸術祭の様々な場面で、来場者やボランティアサポーターとの、新たな交流を持つ機会となりましたことは大変嬉しく思います。
今後は、今回の芸術祭について、様々な視点から検証を進めますとともに、この貴重な経験をかけがえのない地域の財産として、将来の市の発展に結び付けてまいりたいと考えております。改めて、芸術祭を支えていただきました多くの皆様に、深く感謝申し上げます。誠にありがとうございました。
国内の経済状況につきましては、政府が先月29日に発表した、月例経済報告によりますと、景気はこのところ足踏みがみられるものの、緩やかに回復しており、消費者物価は緩やかに上昇する一方で、個人消費は持ち直しに足踏みがみられる、としております。
また、先行きにつきましては、雇用、所得環境が改善する下で、政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されるが、欧米の高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞に伴う影響など、海外景気の下振れが、我が国経済を下押しするリスクとなっており、物価の上昇や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある、としております。
また、長野財務事務所が、今月7日に公表した県内の経済情勢は、個人消費は緩やかに回復しており、生産活動も持ち直しつつあるものの、雇用情勢は足踏み状況にあるとしております。
現在、政府は、本年度補正予算に関し、総合経済対策について、具体的な内容の検討に着手し、調整が進められております。
こうした中、先週22日、政府は物価高への対応などを盛り込んだ総合経済対策を閣議決定し、低所得世帯への給付や光熱費等への助成とともに、新しい地方経済と生活環境への交付金を盛り込むほか、今後の取組みの中で、いわゆる「103万円の壁」について、令和7年度税制改正の中で議論し引き上げることを明記しております。
この取組みは、人手不足が社会的な課題となる中、「働き控え」の解消など様々な議論を行うことには一定の理解ができますものの、一方で、地方自治体にとりましては、住民の身近な行政サービスの基盤となる、地方財源に直接関わる重要な事柄であります。仮に、非課税枠を現行の年収103万円から178万円に引き上げるとした場合には、地方自治体の基幹税であります住民税について、約4兆円もの減収が見込まれると試算されております。また、所得税もその33.1パーセントが地方交付税の原資となっており、地方交付税においても、1兆円強の甚大な影響が見込まれ、住民に身近な社会福祉や子ども子育て支援、学校教育やごみ処理など、多岐に亘る行政サービスの提供に重大な支障をきたす惧れがあり、多くの自治体から強い懸念の声が上がっております。
こうした情勢を受け全国市長会では、地方税財源に影響を及ぼすことのないよう、慎重な議論を行うよう強く求めており、当市といたしましても、特に、今後の動きに注意を払ってまいります。
市におきましては、現在、来年度予算の編成に向け、本年度のこれまでの事業の評価、検討に加え、衆議院総選挙後の、国、県等の政策動向を把握するなど、所要の準備を進めており、持続可能なまちづくりに向け、最小の経費で最大の効果を生み出すことができますよう、引き続き情報の収集に努めてまいります。
次に、本年度の主な事業の進捗状況につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。
まず、令和8年度に開校する新たな2校の小学校の校章デザインにつきましては、一般公募した作品の中から、小学校再編準備委員会において選考いただき、大町北部小学校6点、大町南部小学校5点に絞り込みました。
その後、児童や保護者等へのアンケート結果等を踏まえ、教育委員会において審議のうえ、両校それぞれの校章デザインを決定いたしました。決定した内容につきましては、本定例会全員協議会でご報告することとしております。
大町北部小学校となります、旧第一中学校の大規模改修工事につきましては、建築、機械設備及び電気設備の3つの工事を、一般競争入札により、それぞれ仮契約を締結いたしました。契約の締結に当たりましては、本定例会において議案の追加上程を予定しております。
また、現大町南小学校を活用する大町南部小学校につきましては、既存施設の有効活用を図るため、施設の劣化度調査を来月から着手することとしております。
新小学校のスタートに向け、今後も、引き続き所要の準備を進めるとともに、保護者等に対し、準備の進捗状況について周知、広報を図り、丁寧な情報提供に努めてまいります。
スポーツの振興につきましては、スポーツの秋を迎え、9月には市民登山や大北駅伝、大北スポーツ競技会が、多くの市民の参加により行われ、このうち先月開催された第41回となります大町アルプスマラソンには、2,600人を超えるランナーがエントリーし、北アルプスの山麓の紅葉に染まる日本陸連公認コースを疾走しました。
これからウィンタースポーツの季節を迎える中、1月には小学生のスキー体験会などを予定しており、引き続き市民の健康増進と競技力の向上を図るため、大町市スポーツ協会との連携の下、各種スポーツ教室の開催と各競技団体の支援に努めてまいります。
令和10年に開催を迎える、第82回国民スポーツ大会、並びに第27回全国障がい者スポーツ大会に向けた準備状況につきましては、まず、その運営母体となる大町市の準備委員会を先月立ち上げたところであり、来年の6月以降に本県の開催が正式に決定された後、実行委員会へ移行することとしております。
また、これに併せ、各常任委員会や専門委員会等の体制づくりとともに、事務局体制につきましても、段階的に整備を進めてまいります。
各競技施設の準備状況につきまして、まず、サッカー競技の会場となります、運動公園のサッカー場と陸上競技場におきましては、老朽化した管理棟の建替えに向け、今月からそれぞれの解体工事に着手し、本年度内に解体、整地を完了させることとしております。その後、来年度に入り、新たな管理棟の整備に着手し、来年の大町アルプスマラソンの開催時期に間に合うよう、工事の進捗を図ってまいります。
なおこの間、両施設の使用停止により、利用者の皆様にはご不便をお掛けしますが、ご理解をお願い申し上げます。
スポーツクライミングの競技会場につきましては、6月定例会全員協議会においてご説明しましたとおり、旧北高跡地を競技会場として使用することについて、県の内諾を得ましたことから、先月、この候補地について、中央競技団体である日本スポーツクライミング協会の正規視察が行われました。
その際、競技団体からは、設置する壁の向きや一般観覧者の駐車場対策などについて指摘があり、今後、これらについて検討を行い、理解を得たうえで、県準備委員会の常任委員会及び総会の審議を経て、来年夏頃には、正式に競技会場として決定される見込みであります。
なお、具体的な施設の整備につきましては、日本スポーツクライミング協会及び県山岳協会とも協議を行い、具体的な計画を詰めていくこととしております。
2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
地域の労働、雇用環境につきましては、ハローワーク大町が発表した、大北管内の9月の有効求人倍率は1.64倍となり、前年同月と比較すると0.04ポイント下回り、また、新規求人数は452人で、前年同月と比較し21.7パーセント減少しております。
依然として、観光に関連した業種では人手不足が続き、一方、製造業におきましては、海外情勢の中長期的な動向により、求人を手控える動きが続いております。
こうした中、県内の最低賃金につきましては、先月1日、過去最大の引き上げ幅となる、時給948円から998円に改正されました。この改正は、地域経済や企業活動に大きな影響を与える可能性がありますことから、労使双方の動向を見守り、引き続き良好な労働環境が維持されることを期待いたします。
農業分野につきましては、本年の水稲の作柄は、農林水産省が発表した先月末時点の作況指数によりますと、県内においては101の「平年並み」となりました。令和5年産米は猛暑の影響で流通量が減り、一方で、インバウンドの回復に伴う外食需要の高まりにより、需給が逼迫しました。
本年産米の米価につきましては、こうした需給の影響に加え、資材や燃料などの生産コストが上昇したことから、JAから農家に支払われる概算金は3年連続で引き上げられ、コシヒカリ60キログラム当たりの価格は、令和5年産米に比べ3,840円上昇しました。
国では、来年6月末の民間在庫量について、引き続き減少することが見込まれる一方で、令和7年産米の作付動向等によっては、需給が緩和する可能性もあり、米価を維持し生産者の経営安定を図るため、今後も需要に見合った適正生産を進めるとともに、麦や大豆、園芸品目等への転作を強化することとしております。
市としましても、国、県の動向を注視し、県北アルプス農業農村支援センターをはじめ、JA大北や市地域農業再生協議会等の関係機関、団体との連携を密にし、適切な対応を図ることといたします。
観光振興につきましては、立山黒部アルペンルートの今月20日現在の入込み数は、累計で約86万人となり、昨年同期に比べ12万6,000人、17.2パーセントの増となっております。これは、インバウンドの回復や国内旅行の需要の高まりとともに、関電トンネル「バス60周年」のキャンペーンや、北アルプス国際芸術祭の誘客宣伝の効果があったものと分析しております。
また、市内への観光誘客につきましては、若一王子神社において先月12日から3日間、また、紅葉の名所霊松寺では、先月26日から7日間に亘り開催しましたライトアップイベントに、2,600人余に来場いただきました。今後も引き続き、観光スポットの魅力向上と、効果的な活用に取り組んでまいります。
山岳観光につきましては、七倉から高瀬ダムをつなぐ新高瀬川発電所管理用道路において、本年3月に発生した大規模な落石の影響により、タクシーの通行を一部区間で制限しておりましたが、先月11日より全区間で運行が再開され、紅葉シーズンに間に合う形となりました。このような状況下におきましても、昨年度から運行しております裏銀座登山バスは、登山人気の高まりにより、74日間の運行で1,700人余に乗車いただき、昨年を上回る利用状況となりました。今後も引き続き、山岳観光の利便性向上を図るとともに、効果的な誘客宣伝に努めてまいります。
冬期の観光につきましては、今シーズンも、市内のスキー場では年内のオープンに向けて準備が進められております。近年、白馬村等では、飲食店が混雑し利用が困難になるなど、いわゆるオーバーツーリズムによる影響が顕著となっており、こうした課題に対応するため、当市では、本年度、観光庁の補助制度「オーバーツーリズムの未然防止、抑制による持続可能な観光推進事業」を活用して、当市と白馬村をバスで結ぶ二次交通を運行し、当地域の飲食店や宿泊施設への誘客を図ることとしました。また併せて、来年2月の毎週土曜日に開催が予定されております、大町温泉郷「夢花火と音の祭典」など、冬の大町ならではの魅力を発信するとともに、引き続き白馬村、小谷村のスキー場と一体となり、白馬バレーのブランド力とスケールメリットを活かした、誘客宣伝に努めてまいります。
移住、定住の促進につきましては、リピーターとして、繰り返し当市に足を運んでいただく契機とするため、北アルプス国際芸術祭に合わせ、移住プロモーションを実施いたしました。窓口に相談に来た方や移住ツアーに参加された方々、42組55人に対し鑑賞パスポートを配付し、自然や景観とともに芸術を通して当市の魅力を体感いただき、大変好評をいただきました。引き続き、当市の様々な魅力の周知に努め、移住の促進に力を尽してまいります。
3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
市立大町総合病院では、昨年度より市立大町総合病院経営強化プランに基づき、持続可能な地域医療の提供体制を確保するため取り組んでまいりました。
本年度9月までの上半期の状況につきましては、大北管内の救急搬送患者の50パーセント以上を受け入れるなど、積極的な入院患者の受け入れや、適切なベッドコントロールに努めておりますが、新型コロナに係る診療報酬上の特例措置の廃止に伴う診療単価の低下に加え、外来では、発熱外来の受診者減少などにより、医業収益は昨年同期と比較して約2,300万円の減収となっております。また、人件費の上昇や物価の高騰、新型コロナ関連の補助金の廃止などにより、経営状況は非常に厳しいものとなっておりますが、現在、職員が一丸となり収支の改善に取り組んでおります。
感染症対策につきましては、冬季は空気の乾燥による免疫力の低下や、暖房の使用による換気頻度の減少に伴い、感染症のリスクが高まることから、大町病院としましては、大北圏域唯一の感染症指定医療機関として、新型コロナウイルスやインフルエンザのワクチン接種をはじめ、引き続き市民の皆様が安心して医療が受けられる診療体制の維持、向上に努めてまいります。
老朽化に伴い、建て替え工事を進めてまいりました八坂診療所につきましては、先月29日に完成式を行い、今月14日から診療を開始いたしました。
新たな診療所は、周囲の自然と環境に調和した、明るく温もりのある施設を基本とし、バリアフリー化を図り、コンパクトかつ効率的で省エネ性能に優れ、八坂地域における、地域住民の皆様の命と健康を守る拠点として、送迎や訪問診療など移動が困難な方への対応を含め、適切な医療の機会を提供し、中山間地域における地域医療の推進に貢献してまいります。
消防防災体制の充実につきましては、今月3日、市文化祭に合わせ、文化会館周辺を会場として、市消防団主催による「消防フェスタ2024おおまち」が、約2,500人の来場者を迎え、盛況のうちに開催されました。
この催しは、ポンプ操法、ラッパ吹奏大会に次ぐ消防団の大きなイベントとして、市民の皆様に直接消防団活動への理解を呼び掛けるとともに、防災意識の向上と次代を担う消防団員の確保を図るもので、本年で12回目の開催となります。今回は、国土交通省千曲川河川事務所による降雨体験をはじめ、糸魚川市消防団による放水体験や、ARゴーグルと呼ばれる特殊な眼鏡を装着し、浸水被害の様子を実際の風景映像に重ねた仮想空間での疑似体験のほか、日本防災士会による楽しみながら防災を学ぶブースや、子ども達に人気の消防車や救急車、パトカーなどを展示し、会場を盛り上げました。
また、今月10日の消防訓練では、秋季全国火災予防運動に合わせ、大町消防署と市消防団による中継送水及び放水訓練を、大町ダム緑地公園等を会場に実施いたしました。訓練では、水利の確保が困難な現場を想定し、8月に協定を締結した、大北生コン事業協同組合のミキサー車が運搬した水を、消防署及び消防団のポンプ車をつなぐ長距離の中継送水を行い、相互の連携を再確認いたしました。
こうした、より実地に即した訓練の積み重ねが、火災時の延焼等による被害を最小限に抑え、大切な命や環境を守ることに直接、結び付くものと考えております。
防犯対策につきましては、9月、八坂地区の公共施設等で、屋内の水道の蛇口や配管のほか、道路沿いに配備した熊よけの鈴や消防ホースの筒先等、金属類を狙った窃盗被害が発生しました。6月にも美麻地区内の公園で蛇口が盗難に遭っており、市では、所管する部所に点検と管理の徹底を指示するとともに、市民への注意喚起を図るため、緊急情報メールや防災無線により、周知、広報に努めたところであります。
こうした侵入窃盗は全国各地で発生しており、特に連日、報道されている「闇バイト」により集められた、犯罪グループによる強盗や窃盗の増加は、治安を著しく悪化させる重大な社会問題となっております。また、電子メールやマッチングアプリなどにより、交信を繰り返して信用させ、指定した銀行等の口座へ振込ませる、SNS型の投資詐欺等の被害も急増しております。
市としましても、引き続き警察署や防犯協会、県消費生活センター等と緊密に連携し、被害の防止について情報提供に努めるとともに、啓発活動の強化を図ってまいります。
4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
ニホンライチョウの飼育研究につきましては、環境省及び日本動物園水族館協会のライチョウ保護事業と連携し、山岳博物館で繁殖させたニホンライチョウを野生に戻す事業に取り組んでおります。
本年は、人工繁殖でふ化した雛に、えさとなる高山植物を体内で消化する腸内細菌を獲得させるなど、高山の自然の中で生活できるよう飼育し、9月23日、オス1羽、メス4羽の計5羽を、中央アルプスへ放鳥することに成功しました。山岳博物館において、昭和38年からニホンライチョウの飼育研究に取り組んでまいりました歴史の中で、低地で人の手で成育した個体を、元の生息域の高山に復帰させたことは、今回、栃木県の那須どうぶつ王国とともに全国で初めての快挙であります。
今後、人工繁殖によるライチョウが、順調に高山での生活に順応して無事冬を越し、自然繁殖することを期待するところでございます。
水道事業につきましては、給水開始から100周年という大きな節目の年を記念して、7月の記念式典に続き先月26日、27日には、居谷里水源や三日町配水池などを巡る「水源地見学ツアー」を、信濃大町みずのわプロジェクトと共催して開催いたしました。
このツアーには、市外からの参加者もあり、水道をはじめ、大町の水の魅力について、市内外の皆さんにあらためて伝えることができました。
なお、上水道料金につきましては、本年3月より水道事業等経営審議会において、ご審議いただきましたが、今月20日、来年度から3カ年、現状の料金水準に据え置くことを内容とする答申をいただきました。
また、附帯意見として、今後、水道施設の大規模更新や耐震化が見込まれることから、次回の料金改定に当たっては、より長期的な経営状況を見据え検討するよう提言されました。
今後も引き続き、市民が安心して利用できる水道水の安定的な確保、供給を図るとともに、水道事業の健全な経営に努めてまいります。
地域高規格道路松本糸魚川連絡道路につきましては、1月に、市街地区間における最適ルート帯として、Cルート帯が決定され、このルート帯からルート線を決定するための「事業準備段階」へ移行いたしました。
現在、県では、ルート線と概ねの道路構造を検討し設計を進めるため、ルート帯沿線住民の皆様を対象とした、測量作業に係る地区説明会が終了し、来月末には作業を完了する予定であります。
また、市におきましては、市街地ルート沿線に必要となる「道の駅」の設置について、8月の第1回道の駅懇話会の開催後、先月には、地域の特長を活かした賑わいの場を創出している、県内の先進的な道の駅の視察を行い、委員の皆様から多くのご意見をいただいており、更に幅広く検討を進めてまいります。
市としましては、引き続き、県とともに沿線住民の皆様を中心に丁寧な説明に努め、早期に計画が進められますよう、力を尽くしてまいります。
ごみ処理広域化につきまして、旧大町市環境プラント焼却棟の跡地に建設する、大町リサイクルパークストックヤード棟は、9月2日に着工し、現在、建屋の基礎部分の地盤安定化を図る、コンクリートの打設などの基礎工事を進めております。工事に当たりましては、大町リサイクルパークを利用する皆さんに、ご迷惑を掛けることのないよう十分配慮するとともに、万全の対策を講じ、令和7年3月の竣工を目指し安全な工事の推進に努めてまいります。
常盤泉地区における臭気対策につきましては、6月に地元自治会に対して、事業者から1日当たりの搬入量を増量したいとの協議があり、検討の結果、8月から3カ月間、搬入量の上限を日量42トン以下から52トン以下に、試行的に増量する覚書が締結されました。先月末までの間の試行の結果は、搬入量が42トンを超過した日数は8日、最大搬入量は46.53トンで、期間中に市が実施した臭気測定や臭気パトロールにおいて、臭気の度合いが増加することはありませんでした。今回の試行期間が先月末で終了したことから、今月21日に開催された泉地区公害対策委員会におきまして、今後の対応について、事業者や県及び市を交えた協議が行われ、地区としては、搬入量42トンを超過した日数が少なく、また、最大搬入量も52トンより少なかったため、臭気変化などについて評価することは難しいとして、来年7月末まで試行期間を延長し、その結果により判断することが決定されました。
この決定を受け、市としましては、試行継続に伴い、引き続き期間中の臭気測定の回数を増やして監視を行うなど、今後も地元地区の意向を踏まえ、より良好な環境の構築に向け取り組んでまいります。
5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
地域の防災対策につきましては、先月29日、市連合自治会と自主防災会連絡会による先進地視察研修が、富山県広域消防防災センター内の体験型学習施設「四季防災館」及び、防災危機管理センターで実施されました。四季防災館では、振動装置で再現した東日本大震災や阪神淡路大震災の揺れを体験し、改めて災害の恐ろしさや避難行動について学習するとともに、防災危機管理センターでは、ヘリポートなどの施設見学の後、能登半島地震を教訓とした震災への対応ついて講義を受講し、自助、共助、公助による地域防災の重要性について理解を深めました。
市連合自治会広報部会の取材を基に製作しました、「おらほのまち」第8号は、市内全戸のほか、市内に移住を検討している皆さんに配付され、各地区で実施しております環境整備や美化活動、地域の交流を深める行事など、特色ある活動を紹介するとともに、能登半島地震被災地の教訓に基づき、災害への備えや避難所運営のあり方など、地区での共助の取組みを紹介しております。
市としましては、自治会活動の活性化により、お互いの顔が見える安心安全な地域の再生が図られ、自治会への加入が促進されることを期待するとともに、市民の地域づくり活動が、いっそう活発になりますよう支援に努め、引き続き、市民の参画と協働のまちづくりを推進してまいります。
以上、第5次総合計画に定めました各施策の進捗状況と、今後の執行方針について申し上げましたが、年度終盤に向け、来年度での展開を視野に入れ、計画いたしましたそれぞれの施策が、予定どおり円滑に推進できますよう、全力を挙げて取り組んでまいりますので、今後も市政の運営に対し、いっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件1件、人事案件1件、事件案件4件、条例案件7件、予算案件7件の合計20件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
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