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令和6年9月定例会市長あいさつ
本日ここに、令和6年大町市議会9月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
はじめに、開幕まで2週間余りに迫ってまいりました、北アルプス国際芸術祭につきましては、今月初めに、信濃大町駅前での懸垂幕や本通りを中心にフラッグを掲揚するとともに、「信濃大町駅前インフォメーションセンター」をオープンいたしました。市の玄関口から商店街にかけて芸術祭カラーに染まり、いよいよ開催への機運が高まってまいりました。これまで、実行委員をはじめ大勢の地域の皆様、更にはサポーターの皆様の多大なお力添えをいただき、現在、殆どのアートサイトにおいて、制作は大詰めを迎えており、来訪者をお迎えする準備も最終段階に入っております。
このうち、今回の芸術祭の目玉プロジェクトでもあります「子どものためのアートスタデイツアー」では、市内小中学校等の5校、22クラスの340人を超える児童、生徒の皆さんに参加いただくことになりました。このプロジェクトは、それぞれの学年に応じ、作品や素材とともに、アートエリアの特色、歴史などについて事前学習を行った後、アート会場を訪れ、作品に間近に接し自由な発想で意見を交わす、対話型学習に取り組むこととしております。
また、この地域の豊かな自然や文化、風土などをモチーフとして、アート作品を制作されたアーティストの深い思いを、より多くの皆様に伝えるとともに、来訪者の満足度の向上につながりますよう、大町ならではの「食」の提供や、二次交通などの充実にも取り組んでおります。
なお、先月初めから、子ども達の鑑賞のための「キッズパスポート」と「キッズガイド」の、製作に要する財源の確保に向け取り組んでおります、クラウドファンディングにつきましては、目標額100万円の達成に向け、引き続きSNS等を活用し、幅広い呼びかけに努めてまいります。
議員各位をはじめ市民の皆様には、当市にお越しいただく来訪者の皆様と、街なかやアートサイトなど様々な場面であいさつを交わし、また、道などを尋ねられた折には気軽に応じていただき、オール大町の「おもてなし」の気持ちで接していただくとともに、アート会場を巡り作品を大いに楽しんでいただきますようお願い申し上げます。
なお、先月31日の実行委員会臨時総会での審議状況等につきましては、本定例会全員協議会においてご報告申し上げることとしております。
本定例会では、本年度の歳入歳出等の補正予算案のほか、令和5年度一般会計及び特別会計、企業会計の決算のご報告を申し上げることとしております。
決算状況につきましては、いずれの会計におきましても収支の均衡が維持できる見通しであり、財政全体の健全性を判断する各種指標は、暫定値ではありますが、実質公債比率8.3パーセント、将来負担比率31.9パーセントとなり、概ね健全性が確保されることとなりました。
また、新型コロナが第5類に移行され、市民生活は平穏な日常を取り戻しつつあり、地域経済も一定程度回復する中で、市税の収納率は98.37パーセントと前年度を0.44ポイント上回りました。
引き続き歳入の確保を図り、計画的な事業の執行と経費の節減に努め、健全で安定的な財政運営に力を尽してまいります。
次に、本年度の主な事業の進捗状況につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。
令和8年度に開校する新たな2校の小学校につきましては、新小学校の校章デザインを一般公募いたしました。その結果、大町北部小学校は65件、大町南部小学校では46件の応募をいただき、今月20日に開催した小学校再編準備委員会において、募集作品を選考いただいたほか、通学方法につきましてもご協議いただいたところであります。
校歌につきましては、大町中学校での選考方法に倣い、校歌検討有識者会議を設置して協議を重ねた結果、大町北部小学校は横山潤子氏、大町南部小学校は三宅悠太氏に作曲を依頼することに決定しました。
また、大町南部小学校の施設整備につきましては、令和8年度以降に長寿命化工事を行うこととしておりますが、児童の校内生活環境の改善を図るため、開校前の来年度に国庫補助制度を活用し、トイレ設備の全面改修を先行して実施することとし、設計に要する経費を補正予算に計上し、本定例会に上程しております。
開校まで残り1年半余りとなりましたが、引き続き所要の準備を進めるとともに、各校の保護者等に対し、準備の進捗状況について周知、広報を図り、丁寧な情報提供に努めてまいります。
市立大町山岳博物館では、市制施行70周年記念事業として、今月10日から、企画展「大町の少年が世界を駆ける 山岳ランナー上田瑠偉10年の軌跡」を、10月14日まで開催しております。当市出身の山岳ランナー上田瑠偉選手の、トレイルランニングの装備やレース中の写真などの展示を通じ、上田選手が世界で活躍する姿を伝えるほか、トレラン体験会や鷹狩山トレッキングなど関連イベントの開催を計画しております。
また、先月末には、市子ども会育成会の主催により、ジュニアリーダー研修の一環として、2日間に亘り木崎湖畔でキャンプが開催されました。市内の小中学生約30名が参加し、学校も年代も異なる子ども達が湖でカヌーやサップを体験し、夕食には協働してかまどで薪を使って調理したカレーなどの料理を楽しんだほか、ここ数年、新型コロナと悪天候により見送っていたテントでの宿泊を、4年ぶりに実施し、夏休みの貴重な思い出を作ることができました。
スポーツの振興につきましては、6月から7月にかけ例年どおりに市民スポーツ祭が開催されましたほか、来月には大北スポーツ競技会、10月には大町アルプスマラソンの開催を予定しております。
一方、体育施設につきましては、施設の老朽化が徐々に進む中、計画的な改修や補修などに努めますほか、スポーツ振興審議会を開催し、施設の維持管理に要する経費の収支状況を踏まえ、利用料の改定と減免規定の見直しについて検討を進めることといたします。
令和10年に開催されます、第82回国民スポーツ大会及び、第27回全国障害者スポーツ大会の準備状況につきましては、サッカー競技の会場となります運動公園のサッカー場と、陸上競技場の管理棟の建て替え工事の施工業者を、プロポ―ザルにより選定することとしており、契約の締結に当たり議案の追加上程を予定しております。
また、スポーツクライミング競技の会場につきましては、現在、旧北高跡地を利用する方向で検討しており、中央競技団体の正規視察を本年秋以降に行い、来年に予定される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会県準備委員会におきまして、会場地の変更が決定されますよう準備を進めてまいります。
2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
経済状況につきましては、政府が先月25日に発表した月例経済報告では、景気はこのところ足踏みもみられるものの、緩やかに回復しており、消費者物価は緩やかに上昇する一方で、個人消費は持ち直しに足踏みがみられる、としております。
先行きについては、雇用、所得環境が改善する下で、政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されるが、欧米における高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価の上昇や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある、としております。
また、政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2024」等に基づき、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や、官民連携投資による社会的課題の解決と生産性向上に取り組むとともに、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び、その裏付けとなる令和5年度補正予算、並びに本年度予算を迅速かつ着実に執行しつつ、物価の動向が年金生活世帯や中小企業にとり、厳しい状況が続く中で、まず、早急に着手可能で即効性のある対策を講じるなど、二段構えの対応をとることとしております。
地域の労働、雇用環境につきましては、ハローワーク大町が発表した大北管内の6月の有効求人倍率は1.28倍で、前年同月と比較すると0.04ポイント下回っており、新規求人数は344人で、前年同月と比較すると0.9パーセント減少しております。
観光客の増加等インバウンド需要が好調なことから、観光関連の業種で人手不足が続く一方、製造業におきましては、自動車関連産業や海外情勢の中長期的な動向により、求人を手控える動きが続いております。
こうした中、今月5日、長野地方最低賃金審議会は、物価高を背景に、本年度の県内の最低賃金を50円引き上げ、時給998円とするよう長野労働局長に答申し、実現すれば過去最大の上げ幅となりますことから、労使双方の動向を見守り、円滑な労働環境が維持されますことを期待いたします。
米の生産対策につきましては、当市の2024年産米の生産目標数量として、前年より約13トン多い8,375トンと設定しております。24年産主食用米等の生産量の見通しについて、国では、本年6月末の民間在庫量を前年から41万トン少ない156万トンと推計しており、統計を取り始めた1999年以降で最少となっております。これは、昨年夏の猛暑により高温障害が発生し、23年産米の流通量が減少する一方で、インバウンドの回復等を背景とする消費拡大に伴う需要の増加により、在庫量が減少したものであります。
こうしたことから、24年産米に向けましても、需給の逼迫感が強くなり、相対取引価格は、19年産米以来の高値となっており、今後の取引価格への影響が注視されるところであります。
農業振興につきましては、農業経営基盤強化促進法の一部が改正され、来年3月末までに地域の農業、農地の将来像を描く、地域計画の策定が義務付けられることになりました。市ではこれに伴い、市農業委員会と連携し市全域を30地区に分け、地域で守りたい農地1筆ごとに、10年後の予定耕作者を示す目標地図の素案を作成いたしました。
これを基に現在、各地区に入り、農家の皆様との懇談会を実施しており、意見交換を通じて地域の実情や課題を共有し、ご意見やご提案をいただくほか、大北農協、農業法人はじめ関係団体等と連携を図り、地域農業の将来の方向性を地域計画として策定してまいります。
観光振興につきましては、立山黒部アルペンルートの入込みは4月15日の開通以来、今月20日まで累計で51万4,900人余となり、前年同期に比べ約4万6,600人増加し、約1.1倍となっております。
本年度は、トロリーバスが営業運転を開始してから60年という節目の年を迎え、今月1日から3日にかけて、「トロバースデー」と題し、扇沢総合案内センターでの記念イベントをはじめ、黒部ダムで特別ツアーを開催するとともに、大町やまびこまつりでは特別ブースを設け、懐かしいトロリーバスの展示を行い、大勢の皆様に来場いただきました。
また、七倉駐車場から高瀬ダムをつなぐ、新高瀬川発電所管理用道路において、3月に発生した大規模な落石の影響により、タクシーの通行が規制されておりましたが、先月12日より落石のあった箇所を除く区間について、タクシーの運行が再開されました。翌13日からは、七倉までの裏銀座登山バスの運行を開始し、湯俣方面や北アルプス裏銀座縦走コースへの送客確保に努めております。
今後は、秋の紅葉シーズンに向け、来月12日から若一王子神社で、10月26日からは霊松寺におきまして、恒例のライトアップイベントを開催し、立山黒部アルペンルートの来訪者を、市街地や他の市内観光スポットへ誘導する取組みを進めてまいります。
持続可能なまちづくりにつきましては、市のかけがえのない至高の地域資源であります、「水」を起点とした「みずのわプロジェクト」によるまちづくりを進めており、本年度は、北アルプス国際芸術祭の会期を「みずのわ月間」と位置付けることといたしました。
みずのわ月間では、音を立てて流れる「大町の水」の魅力を体感し、水の流れを楽しんでいただくため、緻密に巡らされた水路網や、水とともに発展した宿場町としての歴史を紹介するマップを作成するとともに、マップを活用したスタンプラリーや街なか水源ツアーを開催いたします。芸術祭との連携による相乗効果を期待し、多くの来訪者に、水にまつわる歴史が残るスポットや文化財を探訪いただくとともに、芸術祭のアートサイトを楽しんでいただくよう準備を進めてまいります。
当市の豊富で清らかな水を活かし、新たな特産品の開発を目指すおおまちカフェ事業につきましては、今月3日から10月18日まで、「信濃大町ひんやりスイーツフェア」を開催しております。参加店舗おすすめの「ひんやりスイーツ」を、多くの来訪者に楽しんでいただき、残暑を乗り切り、当市の特産品や商品の魅力を再発見していただくことを期待するところであります。
今後も、おおまちカフェの振興に資する様々なフェアの展開に努めてまいります。
移住、定住の促進につきましては、先月13日に東京で開催されました長野県フェアや、先月20日、大阪で開催された西日本最大級の移住定住マッチングイベントの際には、移住者の先輩であります定住促進アドバイザーに同行いただき、具体的な相談に応じ実体験を基に適切なアドバイスをされ、来場者に大変好評をいただきました。
先月末時点における窓口を通して移住された方は、20世帯27人で、過去最高となりました昨年同期の29世帯46人には及ばないものの、いずれのフェアにおきましても相談件数は30組を超え、昨年を大きく上回っており、都市部における移住の情報発信は順調に広がっているものと受止めております。
今後につきましては、要望が多い住まいに関する情報の集積が重要でありますことから、空き家バンクの充実を図るほか、具体的な就職情報なども集約し、移住希望者一人ひとりの要望に寄り添い、幅広い相談に対応できますよう、体制の充実強化に努めてまいります。
本年は、市制施行70周年の記念の年であり、市内各地において、市民の皆様による様々な記念事業が開催されております。
10月5日には、大町市文化会館において、市の主催による市制施行70周年記念式典を開催するとともに、式典の第2部では、長野県警音楽隊による演奏を計画しております。
音楽隊が奏でる迫力ある演奏により、70周年を祝う式典に華を添えていただく中、市制施行以来の70年を振り返り、今日まで先人達が築き上げてこられた歴史や文化に深く感謝し、さらなる郷土愛を育む機会とするとともに、四季折々の変化に富んだ美しく豊かな自然など、天与の恵みを後世に引き継ぐための契機となりますよう準備を進めております。
3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
市立大町総合病院につきましては、令和5年度より、市立大町総合病院経営強化プランに基づき、経営改善に向け継続的に取り組んでまいりました。令和5年度の決算は、人事院勧告に基づく給与改定やコロナ対応に伴う超過勤務手当の増などにより、人件費が増加したほか、高額な薬品や衛生材料の使用増により医薬材料費が増加し、その結果、医業収益は約4億6,000万円の赤字となりました。
一方、新型コロナ対応などの国、県補助金や、経費の削減などの経営改善の取組みなどにより、最終的な純利益は約9,000万円の黒字となりました。
また、本年度4月から6月までの第1四半期の状況につきましては、4月に産婦人科医師が増員となり、婦人科の手術を再開するなど、積極的な入院患者の受け入れと、適切なベッドコントロールなどに努めましたが、新型コロナに係る診療報酬上の特例措置廃止による単価の減に加え、外来では、発熱外来受診者の減少などにより、医業収益が昨年と比較し約6,400万円の減収となり、経常損益では約9,000万円の赤字となっております。
新型コロナ感染症につきましては、気温の上昇に伴う冷房の使用に伴い、換気の頻度が減少することにより感染リスクが高まっており、県全体での定点把握感染症の届出状況では、6月以降、増加しておりましたが、8月のお盆以降は減少傾向にあります。
大町病院の受診状況は、昨年と比較し発熱外来受診者及び陽性者ともに増加傾向にあり、中でも高齢者が多く、症状の悪化等により入院される方も増えております。
大町病院は、大北圏域唯一の感染症指定医療機関として、5類移行前とほぼ同等の受け入れ体制を維持するとともに、10月からのワクチン接種や各種新興感染症に対する備えを継続するなど、市民の皆様が安心して診療を受けられる体制の堅持に努めてまいります。
なお、新型コロナのワクチン接種につきましては、中央保健センターにおいて、定期接種に向け準備を進めており、接種対象者となる65歳以上と、60歳から64歳で重症化リスクの高い方には、接種を検討いただきますよう啓発を図ってまいります。
熊の対策につきましては、本年4月、環境省は、昨年度過去最多の人的被害をもたらした熊を指定管理鳥獣に追加し、また、県におきましても、3月に、「第2種特定鳥獣管理計画」において、ツキノワグマの保護管理規定の一部を変更し、注意報や警報の発令基準を計画に明記することとなりました。更に先月17日、新たな熊対策として、警報時の「学習放獣」の一時休止や、熊の目撃情報を地図上に表示する「ツキノワグマ出没(目撃)マップ」を、県のホームページで公開し、県民や県内を訪れる観光客等への注意喚起を強化しました。
また県は、5月の目撃件数が平年比の1.8倍に当たる106件に達し、人的被害も発生したことを受け、6月5日、初の「ツキノワグマ出没注意報」を今月末までを期間として全県に発令しました。
当市におきましても、先月23日、登山道において、県外からの来訪者の人身被害が発生したことを受け、29日まで、クマ出没警戒警報を発令し、防災行政無線や緊急メール、ホームページ等による注意喚起を図るとともに、登山道入口に注意看板を設置し、観光協会等を通じて情報提供を行うなど、市民や観光客の安全確保に努めてまいりました。
本年度、昨日時点での熊目撃件数は、121件となっており、6月下旬以降は減少傾向にありますものの、今後、例年熊の出没が多くなる秋の収穫期を控え、また、市民、観光客の野外での活動も増えてまいります。市では、朝夕の外出時には単独行動を避け、農作物の残渣など熊の餌となるものを放置しないよう、周知、啓発を徹底するほか、万が一、熊に遭遇した場合などの身を守るための情報提供に努め、地域振興局や警察、猟友会の皆様等との連携をいっそう強化し、市民の安全、安心が確保できますよう力を尽してまいります。
消防防災につきましては、今月31日、市役所を主会場に大町地区を重点地域として、市民や関係機関、団体が参加する、地震総合防災訓練を実施いたします。
今回は、能登半島地震の被災を教訓として、避難所開設訓練を新たに訓練種目に加えるほか、消防団による倒壊家屋からの救出訓練をはじめ、参加機関が連携して住民参加型の救助や搬送、トリアージ訓練を実施するほか、大町消防署による要救助者降下訓練や、ドローンを活用した空撮による被災地の情報収集訓練を計画しております。
なお、防災訓練当日には、議員各位にもご参加いただきますようお願い申し上げます。
4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
ニホンライチョウの飼育、研究につきましては、環境省及び日本動物園水族館協会のライチョウ保護事業と連携し、山岳博物館で繁殖させたニホンライチョウを野生に戻す事業に取り組んでおります。現在、人工繁殖でふ化した雛12羽のうち、8羽が順調に育っており、来月に予定される中央アルプスでの放鳥に向け、引き続き、細心の注意を払い飼育管理に努めてまいります。
地域高規格道路松本糸魚川連絡道路につきましては、本年1月に、大町市街地区間における最適ルート帯について、Cルート帯に決定することが県より発表され、3月の説明会以降Cルート帯の範囲の中から、実際に必要となる道路幅を検討し「ルート線」を決める、事業準備段階へ移行したところであります。
本年度は、県におきまして、「ルート線」と「概ねの道路構造」を検討し設計を進めるため、来月中旬から、ルート帯沿線住民の皆様を対象に、現地測量についての地区説明会を開催し、10月以降、測量に入る予定と伺っております。市としましても、早期に概略設計が進み、早期に道路の構造が示されますよう、県とともに力を尽してまいります。
また、道路計画の進捗に併せ検討を進める「道の駅」につきましては、検討の場として「大町市道の駅懇話会」を設け、今月5日に第1回の懇話会を開催いたしました。今後、各方面の皆様から幅広くご意見を伺い、「地域と共につくる個性豊かな賑わいの場」としての「道の駅」設置の検討を、鋭意進めてまいります。
令和5年度における水道事業の決算につきましては、近年の給水人口の減少や節水意識の広がりなどから、有収水量は減少傾向にありますものの、給水収益の一端を担う、原水供給事業による約3,000万円の収益を含め、8,400万円余の純利益を計上いたしました。
公営簡易水道事業につきましては、歳出総額2億1,690万円余の決算となりました。また、本年度からは、市が公営企業として運営する他の事業と同様に、地方公営企業法の規定を全部適用することとし、これにより、経営状況をより的確に把握し、経営の更なる健全化につながるよう努めてまいります。
温泉引湯事業につきましては、年間を通じて湯量の確保と安定した温泉供給に努めた結果、令和5年度決算において、840万円余の純利益を計上いたしました。
また、温泉施設関係では、施設に異常が発生した際に迅速な対応ができますよう、遠隔監視装置を導入したほか、温泉供給事業におきましては、老朽配湯管の更新工事を計画的に進めており、引き続き、温泉の長期に亘る安定供給に努めてまいります。
公共下水道事業及び農業集落排水事業につきましては、令和5年度も引き続き、施設の適切な運転管理に努めたところ、公共下水道事業におきましては、1億2,040万円余、また、農業集落排水事業では、2,090万円余の純利益を計上いたしました。
建設改良関係では、大町浄水センターのストックマネジメント計画に基づく、終末処理場改築等の実施設計業務のほか、宅地化に伴う管渠整備等を実施し、施設の包括的な維持管理の下で、水洗化の促進に取り組むとともに、引き続き事業の安定経営に努めてまいります。
常盤泉地区における臭気につきましては、一昨年実施した事業者による施設改善などによる対策の効果もあり、臭気の測定数値は現在、規制基準値を下回っております。また、市が実施しております臭気パトロールにおきましても、臭気の確認頻度や臭気の濃度は、従前に比べ低い水準に押えられております。
このような中、事業者から、今般の働き方改革に伴う物流への影響により、現状のままでは原材料の安定的な受け入れが困難になるとして、1日当たりの搬入量を増量したいとの意向が泉地区に示され、地区公害対策委員会における協議の結果、今月から10月末までの3カ月間を期間として試行的に実施し、その結果を踏まえ、増量受入れを検討することとなりました。
市といたしましては、試行期間中の臭気測定の回数を増やすなど監視を強化し、この動向を注視してまいります。
5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
市民の参画と協働によるまちづくりにつきましては、市民活動の活発化を促し、いきいきとした元気なまちを創出することを目標に、来月7日、「つながるマルシェ」を開催いたします。このイベントは、地域のまちづくり活動を支援するため、例年、実行委員会を中心に企画、運営しており、昨年度は、より市民に親しみ易く参加し易い環境を創出するため、屋外でのブース出店と参加団体の範囲を北アルプス圏域全体に広げ、規模を拡大して開催したところ、約1,000人もの方にご来場いただきました。
市民団体や学生による活動の発表や、展示、体験、物販などの催しにより、様々なまちづくり活動に取り組む皆様相互の交流が生まれ、市民参加と協働のまちづくりがいっそう促進されますよう、より多くの市民の皆様が参加しやすい体制づくりに努めてまいります。
地域の防災対策につきましては、市連合自治会と自主防災会連絡会主催による防災研修が、6月8日開催され、各自治会から50人を超える皆様にご参加いただきました。研修会では、能登半島地震の被災者支援に携わり活動された、日本防災士会長野県支部の大久保支部長より、グループワークを交えたご講演をいただき、災害発生時に起こる具体的な事態に備え、地域で取り組むべきことなどについて相互に確認し合い、防災意識の向上に資する機会となりました。
また、10月29日には、体験学習と講義を通じ、「自分たちのまちは自分たちで守る」という、自らの防災意識の向上を図るため、富山県防災危機管理センターへの視察研修を実施することとしております。
人権政策の推進につきましては、近年、凶悪犯罪が頻発し、これに伴う直接的な被害だけでなく、SNS等による2次被害を含めいっそう多様化しており、犯罪被害者への支援の重要性が高まっております。こうした中、県内でも多くの市町村において支援体制の整備が進められており、当市におきましても、犯罪被害者等への支援体制の構築に向けて、昨年より検討を進め、本年5月に人権擁護審議会に諮問を行い、今月1日に、犯罪被害者等への支援について答申をいただきました。
本定例会におきましては、この答申に基づく大町市犯罪被害者等支援条例案を上程することとしており、今後も、誰もが安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指し、犯罪被害者等への支援に努めてまいります。
以上、第5次総合計画で定めました各事業の進捗状況に加え、新たに取り組む施策を含め、今後の執行方針等について申し上げましたが、年度後半に向け、それぞれの事業の計画的な執行に努めますとともに、各分野の施策を積極的に推進し、所期の成果が達成できますよう、全力を挙げて取り組んでまいりますので、議員各位のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件1件、事件案件2件、条例案件6件、予算案件8件、決算案件9件の合計26件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、ご説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
はじめに、開幕まで2週間余りに迫ってまいりました、北アルプス国際芸術祭につきましては、今月初めに、信濃大町駅前での懸垂幕や本通りを中心にフラッグを掲揚するとともに、「信濃大町駅前インフォメーションセンター」をオープンいたしました。市の玄関口から商店街にかけて芸術祭カラーに染まり、いよいよ開催への機運が高まってまいりました。これまで、実行委員をはじめ大勢の地域の皆様、更にはサポーターの皆様の多大なお力添えをいただき、現在、殆どのアートサイトにおいて、制作は大詰めを迎えており、来訪者をお迎えする準備も最終段階に入っております。
このうち、今回の芸術祭の目玉プロジェクトでもあります「子どものためのアートスタデイツアー」では、市内小中学校等の5校、22クラスの340人を超える児童、生徒の皆さんに参加いただくことになりました。このプロジェクトは、それぞれの学年に応じ、作品や素材とともに、アートエリアの特色、歴史などについて事前学習を行った後、アート会場を訪れ、作品に間近に接し自由な発想で意見を交わす、対話型学習に取り組むこととしております。
また、この地域の豊かな自然や文化、風土などをモチーフとして、アート作品を制作されたアーティストの深い思いを、より多くの皆様に伝えるとともに、来訪者の満足度の向上につながりますよう、大町ならではの「食」の提供や、二次交通などの充実にも取り組んでおります。
なお、先月初めから、子ども達の鑑賞のための「キッズパスポート」と「キッズガイド」の、製作に要する財源の確保に向け取り組んでおります、クラウドファンディングにつきましては、目標額100万円の達成に向け、引き続きSNS等を活用し、幅広い呼びかけに努めてまいります。
議員各位をはじめ市民の皆様には、当市にお越しいただく来訪者の皆様と、街なかやアートサイトなど様々な場面であいさつを交わし、また、道などを尋ねられた折には気軽に応じていただき、オール大町の「おもてなし」の気持ちで接していただくとともに、アート会場を巡り作品を大いに楽しんでいただきますようお願い申し上げます。
なお、先月31日の実行委員会臨時総会での審議状況等につきましては、本定例会全員協議会においてご報告申し上げることとしております。
本定例会では、本年度の歳入歳出等の補正予算案のほか、令和5年度一般会計及び特別会計、企業会計の決算のご報告を申し上げることとしております。
決算状況につきましては、いずれの会計におきましても収支の均衡が維持できる見通しであり、財政全体の健全性を判断する各種指標は、暫定値ではありますが、実質公債比率8.3パーセント、将来負担比率31.9パーセントとなり、概ね健全性が確保されることとなりました。
また、新型コロナが第5類に移行され、市民生活は平穏な日常を取り戻しつつあり、地域経済も一定程度回復する中で、市税の収納率は98.37パーセントと前年度を0.44ポイント上回りました。
引き続き歳入の確保を図り、計画的な事業の執行と経費の節減に努め、健全で安定的な財政運営に力を尽してまいります。
次に、本年度の主な事業の進捗状況につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。
令和8年度に開校する新たな2校の小学校につきましては、新小学校の校章デザインを一般公募いたしました。その結果、大町北部小学校は65件、大町南部小学校では46件の応募をいただき、今月20日に開催した小学校再編準備委員会において、募集作品を選考いただいたほか、通学方法につきましてもご協議いただいたところであります。
校歌につきましては、大町中学校での選考方法に倣い、校歌検討有識者会議を設置して協議を重ねた結果、大町北部小学校は横山潤子氏、大町南部小学校は三宅悠太氏に作曲を依頼することに決定しました。
また、大町南部小学校の施設整備につきましては、令和8年度以降に長寿命化工事を行うこととしておりますが、児童の校内生活環境の改善を図るため、開校前の来年度に国庫補助制度を活用し、トイレ設備の全面改修を先行して実施することとし、設計に要する経費を補正予算に計上し、本定例会に上程しております。
開校まで残り1年半余りとなりましたが、引き続き所要の準備を進めるとともに、各校の保護者等に対し、準備の進捗状況について周知、広報を図り、丁寧な情報提供に努めてまいります。
市立大町山岳博物館では、市制施行70周年記念事業として、今月10日から、企画展「大町の少年が世界を駆ける 山岳ランナー上田瑠偉10年の軌跡」を、10月14日まで開催しております。当市出身の山岳ランナー上田瑠偉選手の、トレイルランニングの装備やレース中の写真などの展示を通じ、上田選手が世界で活躍する姿を伝えるほか、トレラン体験会や鷹狩山トレッキングなど関連イベントの開催を計画しております。
また、先月末には、市子ども会育成会の主催により、ジュニアリーダー研修の一環として、2日間に亘り木崎湖畔でキャンプが開催されました。市内の小中学生約30名が参加し、学校も年代も異なる子ども達が湖でカヌーやサップを体験し、夕食には協働してかまどで薪を使って調理したカレーなどの料理を楽しんだほか、ここ数年、新型コロナと悪天候により見送っていたテントでの宿泊を、4年ぶりに実施し、夏休みの貴重な思い出を作ることができました。
スポーツの振興につきましては、6月から7月にかけ例年どおりに市民スポーツ祭が開催されましたほか、来月には大北スポーツ競技会、10月には大町アルプスマラソンの開催を予定しております。
一方、体育施設につきましては、施設の老朽化が徐々に進む中、計画的な改修や補修などに努めますほか、スポーツ振興審議会を開催し、施設の維持管理に要する経費の収支状況を踏まえ、利用料の改定と減免規定の見直しについて検討を進めることといたします。
令和10年に開催されます、第82回国民スポーツ大会及び、第27回全国障害者スポーツ大会の準備状況につきましては、サッカー競技の会場となります運動公園のサッカー場と、陸上競技場の管理棟の建て替え工事の施工業者を、プロポ―ザルにより選定することとしており、契約の締結に当たり議案の追加上程を予定しております。
また、スポーツクライミング競技の会場につきましては、現在、旧北高跡地を利用する方向で検討しており、中央競技団体の正規視察を本年秋以降に行い、来年に予定される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会県準備委員会におきまして、会場地の変更が決定されますよう準備を進めてまいります。
2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
経済状況につきましては、政府が先月25日に発表した月例経済報告では、景気はこのところ足踏みもみられるものの、緩やかに回復しており、消費者物価は緩やかに上昇する一方で、個人消費は持ち直しに足踏みがみられる、としております。
先行きについては、雇用、所得環境が改善する下で、政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されるが、欧米における高い金利水準の継続や、中国における不動産市場の停滞に伴う影響など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価の上昇や中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある、としております。
また、政府は、「経済財政運営と改革の基本方針2024」等に基づき、物価上昇を上回る賃金上昇の実現や、官民連携投資による社会的課題の解決と生産性向上に取り組むとともに、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」及び、その裏付けとなる令和5年度補正予算、並びに本年度予算を迅速かつ着実に執行しつつ、物価の動向が年金生活世帯や中小企業にとり、厳しい状況が続く中で、まず、早急に着手可能で即効性のある対策を講じるなど、二段構えの対応をとることとしております。
地域の労働、雇用環境につきましては、ハローワーク大町が発表した大北管内の6月の有効求人倍率は1.28倍で、前年同月と比較すると0.04ポイント下回っており、新規求人数は344人で、前年同月と比較すると0.9パーセント減少しております。
観光客の増加等インバウンド需要が好調なことから、観光関連の業種で人手不足が続く一方、製造業におきましては、自動車関連産業や海外情勢の中長期的な動向により、求人を手控える動きが続いております。
こうした中、今月5日、長野地方最低賃金審議会は、物価高を背景に、本年度の県内の最低賃金を50円引き上げ、時給998円とするよう長野労働局長に答申し、実現すれば過去最大の上げ幅となりますことから、労使双方の動向を見守り、円滑な労働環境が維持されますことを期待いたします。
米の生産対策につきましては、当市の2024年産米の生産目標数量として、前年より約13トン多い8,375トンと設定しております。24年産主食用米等の生産量の見通しについて、国では、本年6月末の民間在庫量を前年から41万トン少ない156万トンと推計しており、統計を取り始めた1999年以降で最少となっております。これは、昨年夏の猛暑により高温障害が発生し、23年産米の流通量が減少する一方で、インバウンドの回復等を背景とする消費拡大に伴う需要の増加により、在庫量が減少したものであります。
こうしたことから、24年産米に向けましても、需給の逼迫感が強くなり、相対取引価格は、19年産米以来の高値となっており、今後の取引価格への影響が注視されるところであります。
農業振興につきましては、農業経営基盤強化促進法の一部が改正され、来年3月末までに地域の農業、農地の将来像を描く、地域計画の策定が義務付けられることになりました。市ではこれに伴い、市農業委員会と連携し市全域を30地区に分け、地域で守りたい農地1筆ごとに、10年後の予定耕作者を示す目標地図の素案を作成いたしました。
これを基に現在、各地区に入り、農家の皆様との懇談会を実施しており、意見交換を通じて地域の実情や課題を共有し、ご意見やご提案をいただくほか、大北農協、農業法人はじめ関係団体等と連携を図り、地域農業の将来の方向性を地域計画として策定してまいります。
観光振興につきましては、立山黒部アルペンルートの入込みは4月15日の開通以来、今月20日まで累計で51万4,900人余となり、前年同期に比べ約4万6,600人増加し、約1.1倍となっております。
本年度は、トロリーバスが営業運転を開始してから60年という節目の年を迎え、今月1日から3日にかけて、「トロバースデー」と題し、扇沢総合案内センターでの記念イベントをはじめ、黒部ダムで特別ツアーを開催するとともに、大町やまびこまつりでは特別ブースを設け、懐かしいトロリーバスの展示を行い、大勢の皆様に来場いただきました。
また、七倉駐車場から高瀬ダムをつなぐ、新高瀬川発電所管理用道路において、3月に発生した大規模な落石の影響により、タクシーの通行が規制されておりましたが、先月12日より落石のあった箇所を除く区間について、タクシーの運行が再開されました。翌13日からは、七倉までの裏銀座登山バスの運行を開始し、湯俣方面や北アルプス裏銀座縦走コースへの送客確保に努めております。
今後は、秋の紅葉シーズンに向け、来月12日から若一王子神社で、10月26日からは霊松寺におきまして、恒例のライトアップイベントを開催し、立山黒部アルペンルートの来訪者を、市街地や他の市内観光スポットへ誘導する取組みを進めてまいります。
持続可能なまちづくりにつきましては、市のかけがえのない至高の地域資源であります、「水」を起点とした「みずのわプロジェクト」によるまちづくりを進めており、本年度は、北アルプス国際芸術祭の会期を「みずのわ月間」と位置付けることといたしました。
みずのわ月間では、音を立てて流れる「大町の水」の魅力を体感し、水の流れを楽しんでいただくため、緻密に巡らされた水路網や、水とともに発展した宿場町としての歴史を紹介するマップを作成するとともに、マップを活用したスタンプラリーや街なか水源ツアーを開催いたします。芸術祭との連携による相乗効果を期待し、多くの来訪者に、水にまつわる歴史が残るスポットや文化財を探訪いただくとともに、芸術祭のアートサイトを楽しんでいただくよう準備を進めてまいります。
当市の豊富で清らかな水を活かし、新たな特産品の開発を目指すおおまちカフェ事業につきましては、今月3日から10月18日まで、「信濃大町ひんやりスイーツフェア」を開催しております。参加店舗おすすめの「ひんやりスイーツ」を、多くの来訪者に楽しんでいただき、残暑を乗り切り、当市の特産品や商品の魅力を再発見していただくことを期待するところであります。
今後も、おおまちカフェの振興に資する様々なフェアの展開に努めてまいります。
移住、定住の促進につきましては、先月13日に東京で開催されました長野県フェアや、先月20日、大阪で開催された西日本最大級の移住定住マッチングイベントの際には、移住者の先輩であります定住促進アドバイザーに同行いただき、具体的な相談に応じ実体験を基に適切なアドバイスをされ、来場者に大変好評をいただきました。
先月末時点における窓口を通して移住された方は、20世帯27人で、過去最高となりました昨年同期の29世帯46人には及ばないものの、いずれのフェアにおきましても相談件数は30組を超え、昨年を大きく上回っており、都市部における移住の情報発信は順調に広がっているものと受止めております。
今後につきましては、要望が多い住まいに関する情報の集積が重要でありますことから、空き家バンクの充実を図るほか、具体的な就職情報なども集約し、移住希望者一人ひとりの要望に寄り添い、幅広い相談に対応できますよう、体制の充実強化に努めてまいります。
本年は、市制施行70周年の記念の年であり、市内各地において、市民の皆様による様々な記念事業が開催されております。
10月5日には、大町市文化会館において、市の主催による市制施行70周年記念式典を開催するとともに、式典の第2部では、長野県警音楽隊による演奏を計画しております。
音楽隊が奏でる迫力ある演奏により、70周年を祝う式典に華を添えていただく中、市制施行以来の70年を振り返り、今日まで先人達が築き上げてこられた歴史や文化に深く感謝し、さらなる郷土愛を育む機会とするとともに、四季折々の変化に富んだ美しく豊かな自然など、天与の恵みを後世に引き継ぐための契機となりますよう準備を進めております。
3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
市立大町総合病院につきましては、令和5年度より、市立大町総合病院経営強化プランに基づき、経営改善に向け継続的に取り組んでまいりました。令和5年度の決算は、人事院勧告に基づく給与改定やコロナ対応に伴う超過勤務手当の増などにより、人件費が増加したほか、高額な薬品や衛生材料の使用増により医薬材料費が増加し、その結果、医業収益は約4億6,000万円の赤字となりました。
一方、新型コロナ対応などの国、県補助金や、経費の削減などの経営改善の取組みなどにより、最終的な純利益は約9,000万円の黒字となりました。
また、本年度4月から6月までの第1四半期の状況につきましては、4月に産婦人科医師が増員となり、婦人科の手術を再開するなど、積極的な入院患者の受け入れと、適切なベッドコントロールなどに努めましたが、新型コロナに係る診療報酬上の特例措置廃止による単価の減に加え、外来では、発熱外来受診者の減少などにより、医業収益が昨年と比較し約6,400万円の減収となり、経常損益では約9,000万円の赤字となっております。
新型コロナ感染症につきましては、気温の上昇に伴う冷房の使用に伴い、換気の頻度が減少することにより感染リスクが高まっており、県全体での定点把握感染症の届出状況では、6月以降、増加しておりましたが、8月のお盆以降は減少傾向にあります。
大町病院の受診状況は、昨年と比較し発熱外来受診者及び陽性者ともに増加傾向にあり、中でも高齢者が多く、症状の悪化等により入院される方も増えております。
大町病院は、大北圏域唯一の感染症指定医療機関として、5類移行前とほぼ同等の受け入れ体制を維持するとともに、10月からのワクチン接種や各種新興感染症に対する備えを継続するなど、市民の皆様が安心して診療を受けられる体制の堅持に努めてまいります。
なお、新型コロナのワクチン接種につきましては、中央保健センターにおいて、定期接種に向け準備を進めており、接種対象者となる65歳以上と、60歳から64歳で重症化リスクの高い方には、接種を検討いただきますよう啓発を図ってまいります。
熊の対策につきましては、本年4月、環境省は、昨年度過去最多の人的被害をもたらした熊を指定管理鳥獣に追加し、また、県におきましても、3月に、「第2種特定鳥獣管理計画」において、ツキノワグマの保護管理規定の一部を変更し、注意報や警報の発令基準を計画に明記することとなりました。更に先月17日、新たな熊対策として、警報時の「学習放獣」の一時休止や、熊の目撃情報を地図上に表示する「ツキノワグマ出没(目撃)マップ」を、県のホームページで公開し、県民や県内を訪れる観光客等への注意喚起を強化しました。
また県は、5月の目撃件数が平年比の1.8倍に当たる106件に達し、人的被害も発生したことを受け、6月5日、初の「ツキノワグマ出没注意報」を今月末までを期間として全県に発令しました。
当市におきましても、先月23日、登山道において、県外からの来訪者の人身被害が発生したことを受け、29日まで、クマ出没警戒警報を発令し、防災行政無線や緊急メール、ホームページ等による注意喚起を図るとともに、登山道入口に注意看板を設置し、観光協会等を通じて情報提供を行うなど、市民や観光客の安全確保に努めてまいりました。
本年度、昨日時点での熊目撃件数は、121件となっており、6月下旬以降は減少傾向にありますものの、今後、例年熊の出没が多くなる秋の収穫期を控え、また、市民、観光客の野外での活動も増えてまいります。市では、朝夕の外出時には単独行動を避け、農作物の残渣など熊の餌となるものを放置しないよう、周知、啓発を徹底するほか、万が一、熊に遭遇した場合などの身を守るための情報提供に努め、地域振興局や警察、猟友会の皆様等との連携をいっそう強化し、市民の安全、安心が確保できますよう力を尽してまいります。
消防防災につきましては、今月31日、市役所を主会場に大町地区を重点地域として、市民や関係機関、団体が参加する、地震総合防災訓練を実施いたします。
今回は、能登半島地震の被災を教訓として、避難所開設訓練を新たに訓練種目に加えるほか、消防団による倒壊家屋からの救出訓練をはじめ、参加機関が連携して住民参加型の救助や搬送、トリアージ訓練を実施するほか、大町消防署による要救助者降下訓練や、ドローンを活用した空撮による被災地の情報収集訓練を計画しております。
なお、防災訓練当日には、議員各位にもご参加いただきますようお願い申し上げます。
4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
ニホンライチョウの飼育、研究につきましては、環境省及び日本動物園水族館協会のライチョウ保護事業と連携し、山岳博物館で繁殖させたニホンライチョウを野生に戻す事業に取り組んでおります。現在、人工繁殖でふ化した雛12羽のうち、8羽が順調に育っており、来月に予定される中央アルプスでの放鳥に向け、引き続き、細心の注意を払い飼育管理に努めてまいります。
地域高規格道路松本糸魚川連絡道路につきましては、本年1月に、大町市街地区間における最適ルート帯について、Cルート帯に決定することが県より発表され、3月の説明会以降Cルート帯の範囲の中から、実際に必要となる道路幅を検討し「ルート線」を決める、事業準備段階へ移行したところであります。
本年度は、県におきまして、「ルート線」と「概ねの道路構造」を検討し設計を進めるため、来月中旬から、ルート帯沿線住民の皆様を対象に、現地測量についての地区説明会を開催し、10月以降、測量に入る予定と伺っております。市としましても、早期に概略設計が進み、早期に道路の構造が示されますよう、県とともに力を尽してまいります。
また、道路計画の進捗に併せ検討を進める「道の駅」につきましては、検討の場として「大町市道の駅懇話会」を設け、今月5日に第1回の懇話会を開催いたしました。今後、各方面の皆様から幅広くご意見を伺い、「地域と共につくる個性豊かな賑わいの場」としての「道の駅」設置の検討を、鋭意進めてまいります。
令和5年度における水道事業の決算につきましては、近年の給水人口の減少や節水意識の広がりなどから、有収水量は減少傾向にありますものの、給水収益の一端を担う、原水供給事業による約3,000万円の収益を含め、8,400万円余の純利益を計上いたしました。
公営簡易水道事業につきましては、歳出総額2億1,690万円余の決算となりました。また、本年度からは、市が公営企業として運営する他の事業と同様に、地方公営企業法の規定を全部適用することとし、これにより、経営状況をより的確に把握し、経営の更なる健全化につながるよう努めてまいります。
温泉引湯事業につきましては、年間を通じて湯量の確保と安定した温泉供給に努めた結果、令和5年度決算において、840万円余の純利益を計上いたしました。
また、温泉施設関係では、施設に異常が発生した際に迅速な対応ができますよう、遠隔監視装置を導入したほか、温泉供給事業におきましては、老朽配湯管の更新工事を計画的に進めており、引き続き、温泉の長期に亘る安定供給に努めてまいります。
公共下水道事業及び農業集落排水事業につきましては、令和5年度も引き続き、施設の適切な運転管理に努めたところ、公共下水道事業におきましては、1億2,040万円余、また、農業集落排水事業では、2,090万円余の純利益を計上いたしました。
建設改良関係では、大町浄水センターのストックマネジメント計画に基づく、終末処理場改築等の実施設計業務のほか、宅地化に伴う管渠整備等を実施し、施設の包括的な維持管理の下で、水洗化の促進に取り組むとともに、引き続き事業の安定経営に努めてまいります。
常盤泉地区における臭気につきましては、一昨年実施した事業者による施設改善などによる対策の効果もあり、臭気の測定数値は現在、規制基準値を下回っております。また、市が実施しております臭気パトロールにおきましても、臭気の確認頻度や臭気の濃度は、従前に比べ低い水準に押えられております。
このような中、事業者から、今般の働き方改革に伴う物流への影響により、現状のままでは原材料の安定的な受け入れが困難になるとして、1日当たりの搬入量を増量したいとの意向が泉地区に示され、地区公害対策委員会における協議の結果、今月から10月末までの3カ月間を期間として試行的に実施し、その結果を踏まえ、増量受入れを検討することとなりました。
市といたしましては、試行期間中の臭気測定の回数を増やすなど監視を強化し、この動向を注視してまいります。
5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
市民の参画と協働によるまちづくりにつきましては、市民活動の活発化を促し、いきいきとした元気なまちを創出することを目標に、来月7日、「つながるマルシェ」を開催いたします。このイベントは、地域のまちづくり活動を支援するため、例年、実行委員会を中心に企画、運営しており、昨年度は、より市民に親しみ易く参加し易い環境を創出するため、屋外でのブース出店と参加団体の範囲を北アルプス圏域全体に広げ、規模を拡大して開催したところ、約1,000人もの方にご来場いただきました。
市民団体や学生による活動の発表や、展示、体験、物販などの催しにより、様々なまちづくり活動に取り組む皆様相互の交流が生まれ、市民参加と協働のまちづくりがいっそう促進されますよう、より多くの市民の皆様が参加しやすい体制づくりに努めてまいります。
地域の防災対策につきましては、市連合自治会と自主防災会連絡会主催による防災研修が、6月8日開催され、各自治会から50人を超える皆様にご参加いただきました。研修会では、能登半島地震の被災者支援に携わり活動された、日本防災士会長野県支部の大久保支部長より、グループワークを交えたご講演をいただき、災害発生時に起こる具体的な事態に備え、地域で取り組むべきことなどについて相互に確認し合い、防災意識の向上に資する機会となりました。
また、10月29日には、体験学習と講義を通じ、「自分たちのまちは自分たちで守る」という、自らの防災意識の向上を図るため、富山県防災危機管理センターへの視察研修を実施することとしております。
人権政策の推進につきましては、近年、凶悪犯罪が頻発し、これに伴う直接的な被害だけでなく、SNS等による2次被害を含めいっそう多様化しており、犯罪被害者への支援の重要性が高まっております。こうした中、県内でも多くの市町村において支援体制の整備が進められており、当市におきましても、犯罪被害者等への支援体制の構築に向けて、昨年より検討を進め、本年5月に人権擁護審議会に諮問を行い、今月1日に、犯罪被害者等への支援について答申をいただきました。
本定例会におきましては、この答申に基づく大町市犯罪被害者等支援条例案を上程することとしており、今後も、誰もが安心して暮らすことができる地域社会の実現を目指し、犯罪被害者等への支援に努めてまいります。
以上、第5次総合計画で定めました各事業の進捗状況に加え、新たに取り組む施策を含め、今後の執行方針等について申し上げましたが、年度後半に向け、それぞれの事業の計画的な執行に努めますとともに、各分野の施策を積極的に推進し、所期の成果が達成できますよう、全力を挙げて取り組んでまいりますので、議員各位のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件1件、事件案件2件、条例案件6件、予算案件8件、決算案件9件の合計26件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、ご説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
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