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ホーム 市長の部屋 議会での市長あいさつ 令和2年9月定例会市長あいさつ

令和2年9月定例会市長あいさつ

 本日ここに、令和2年大町市議会9月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 
 はじめに、5月25日の国の緊急事態宣言解除以降、社会経済活動の再開とともに全国で感染者の増加が止まらず、予断を許さない厳しい状況が続く、新型コロナウイルス感染症についてでございます。ウイルス感染症への対応は、今後、なお長期に及ぶことが懸念されるところであります。
 こうした中、県では、今月4日に、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数が1.2人を超えた、佐久圏域など3圏域の感染警戒レベルを3に引き上げ「新型コロナウイルス警報」を発令いたしました。
 当市におきましては、夏の帰省を前に今月5日、私から市民の皆様へのメッセージを発出して、基本的な感染防止対策の徹底や帰省時の注意等について呼び掛けてまいりましたが、9日、市内に居住する3人の方の感染が発表され、12日までに8人の感染が確認された段階で、県は北アルプス圏域につきましても、警戒レベルをレベル3とすることになりました。市では、市内居住者の方の感染が判明したこの日、私から市民の皆様へ第6弾となりますメッセージとして、人権への配慮や、症状がある方にはまず早目の相談を呼び掛けたところでございます。引き続き、県及び医療機関等と緊密な連携を図り、感染の拡大防止に更に力を尽して取り組んでまいります。
 市民の皆様には、今後も、日頃の感染防止策をいっそう徹底していただくとともに、感染された方やご家族等への差別や偏見に基づく誹謗中傷や、SNSなどへの根拠のない書込みは絶対しないようお願いします。更なる感染拡大を防ぐため、一人ひとりの「うつらない」、「うつさない」、「ひろげない」行動に、是非ご協力いただきますようお願いいたします。
 
 新型コロナウイルス感染症対策につきましては、これまで緊急対策として進めてまいりました、直接的な支援の給付金等に重点を置いた対策から、今後は、今ある制度の改善や拡充に加え、新たな制度の構築により、新しい生活様式を踏まえた地域経済の再生、更には、感染症等の非常事態にも負けない、持続可能な社会経済構造の構築に向けた戦略的な取組みが必要と考えております。
 市におきましては、ポストコロナの新たな時代に向けて、市民の皆様の命と健康を守り、持続可能な地域社会の実現を図るために、市民生活への支援と地域社会、経済の回復を目指して、戦略的に取り組む、具体的な施策を取りまとめたアクションプラン「新型コロナ克服戦略 おおまち再生プラン」を策定いたしました。
 なお、プランの詳細につきましては、本定例会全員協議会においてご説明申し上げることとしておりますが、今後も引き続き、新しい生活様式を踏まえた施策に適時適切に取り組んでまいります。
 
 内閣府が先月22日に発表しました月例経済報告によりますと、経済見通しについて、景気は新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられる、としております。
 先行きについては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを段階的に引き上げていく中で、各種政策の効果もあって、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要があるとし、引き続き、本年度第1次補正予算及び第2次補正予算を可能な限り速やかに実行するとともに、内外の感染症の状況や経済の動向、国民生活への影響を注意深く見極めつつ、必要に応じて、臨機応変に、かつ、時機を逸することなく対応することとしております。
 
 そのため、本定例会では、ウイルス感染症に伴う市内の経済状況を踏まえた新たな対策や、前回の補正予算以降に発生した事案に対する事業費の補正を行うとともに、令和元年度一般会計及び特別会計、企業会計の決算のご報告を申し上げることとしております。
 このうち、令和元年度の決算状況につきましては、いずれの会計も概ね健全性が維持できる見通しとなり、市全体の財政の健全化を判断する各種指標は、暫定値ではありますが、実質公債費比率7.1パーセント、将来負担比率48.8パーセントと前年度より好転しております。
 また、市税の収納率は、97.3パーセントと7年連続して前年度を上回り、現年課税分でも、過去最高でありました前年度と同率の99.36パーセントとなり、収入未済額も9年連続で縮減が図られております。また、水道事業や公共下水道事業など5つの公営企業会計につきましても、いずれも純利益を確保することができ、殊に、病院事業会計におきましては、資金不足比率が8.8パーセントに大きく改善いたしました。
 これらの事業は、市民の皆様が、健康で快適な生活を送るうえで不可欠な公営企業であり、引き続き、収益の向上を図り、計画的な維持管理と経費節減に努め、健全で安定的な経営に努めてまいります。
 
 本年3月、会期を延期いたしました北アルプス国際芸術祭につきましては、今月21日の実行委員会総会におきまして、来年8月21日から10月10日までの51日間を会期とすることが決定されました。
 全国的に新型コロナウイルス感染症の影響が広がる中、当市におきましても、観光産業をはじめ地域経済に大きな影響が生じており、更に、様々なイベントや行事、地域活動が延期や中止となるなど、人と人との絆やふれあいを創出する貴重な機会が失われております。そこで、ポストコロナの新しい時代の大町市の再生を目指す「新型コロナ克服戦略 おおまち再生プラン」におきまして、北アルプス国際芸術祭を再生プランの一つに位置づけ、停滞しているまちの活気を取り戻し地域の活力を再生するべく、開催に向け入念な計画、準備に取り組んでまいります。
 県では、ウイルス感染症の拡大防止の徹底を図りつつ、「新しい生活様式」の定着と、生活を支える経済活動の両立を重点に置いて対策と支援を進めており、芸術祭開催に向けましても、市民の皆様をはじめ、来場者や受け入れるスタッフ等の安心安全を確保するため、感染防止対策を徹底するとともに、健全な収支の実現と地域消費の拡大に向けた取組みや事業計画の再点検を行い、状況の変化に臨機応変に対応することを基本方針として準備を進めてまいります。市民の皆様には、いっそうのご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 次に、本年度の主な事業の進捗状況及び主要な施策につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
 
 1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、これまでの臨時休業による授業時間の不足への対応のため、市内小中学校では例年より1週間程度短い夏休みを予定しておりましたが、当圏域の警戒レベルが3に引き上げられ、警報が発令されたこと等を受け、教育委員会では、安心して2学期を迎えられるよう、休みの期間を市内全校において23日まで延長いたしました。
 今週からは、各学校で2学期がスタートしておりますが、引き続き徹底した感染症対策を行い、安心安全な学校生活が送れるよう努めるとともに、今後の年間指導計画を再度見直し、行事等を再検討しつつ、学習機会の確保と学力の定着を図ってまいります。
 なお、学校における集団感染リスク防止対策として、国の学校保健に係る補助金を活用し、教室の換気と蜂などの侵入防止を図るため、網戸の設置に係る経費を本定例会の補正予算に計上いたしております。
 
 通学区の再編につきましては、少子化社会における義務教育のあり方検討委員会から提言いただいた内容を基に、6月26日に開催いたしました第1回市立学校通学区域再編審議会において、諮問を行ったところであります。これを受け、審議会では先月27日に、議論を深めるため委員による市内小中学校の視察を行い、施設の現状や地理的な状況を確認していただきました。
 更に、今月20日には、第2回審議会を開催し、現在の学校施設を活用して再編を進めることを基本に、現状の通学区における児童生徒数の状況や今後の推移、各学校施設の位置や施設の状況等を考慮し、総合的な検討を進めております。
 また、市PTA連合会や保育園の保護者会などへは、各団体等の会合に合わせて、少子化の現状や検討委員会の提言内容とともに、審議会の検討経過を説明し、ご意見を伺う機会を設けるなど、市民の皆様との情報共有に努めております。
 
 学校と家庭、住民が一体となり進めるコミュニティ・スクールにつきましては、ウイルスの感染予防のため、開催を見合わせておりました学校運営協議会を、各学校とも1学期中に開催することができ、本年度の学校運営方針等が承認され、全小中学校が文科省型のコミュニティ・スクールへ移行しました。
 今後も多くの地域の皆様に参画いただき、学校と地域、保護者が教育目標を共有しつつ、組織的、継続的な地域に開かれた学校づくりを進めてまいります。
 
 児童生徒一人1台の情報端末整備と高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備を行うGIGAスクールの整備につきましては、夏期休業を利用して教職員のICT活用研修会を開催し、効果的に活用できますよう、ハード整備とともにソフト面の準備を進めております。
 今後、時代の要請に応じた情報化教育の充実を図るとともに、感染症や災害の発生等による学校の臨時休業などの緊急時におきましても、ICTを有効に活用し、全ての子ども達の学びが継続できる環境の整備に努めてまいります。
 
 生涯学習の推進につきましては、ウイルス感染予防のため、現在、多くのイベントや行事を中止しておりますが、文化・芸術の季節を迎え、各公民館では、新しい生活様式を実践しつつ、工夫をこらし文化祭など地域の特色を活かした催しを計画しております。
 また、延期しておりました親子教室をはじめ各種の講座、教室等は、参加者の募集を今月から再開し、マスクの着用や消毒の実施など感染防止対策を徹底して、生涯学習活動の機会の提供に努めてまいります。
なお、残暑の中で開催する今後の行事におきましては、給水や休憩場所の確保、時間の短縮などに特に留意し、熱中症対策にも努めることといたします。
 
 山岳博物館におきましては、先月18日から来月27日にかけ、大正登山ブームや信州理科教育の先駆けとなった、明治から昭和初期にかけての博物学と登山の関わりに焦点を当てた「博物学と登山」展を開催しております。
 また、この企画展の関連行事として今月1日には、小学生向けに「山のミニ科学実験教室」を開催し、山と里の気圧や空気の薄さの違いなど、自然科学の不思議について体験講座を実施いたしました。
 来月20日には、「さんぱくゼミナール」と題して、明治時代の信州教育に活躍した地質学者の保科百助(ほしなひゃくすけ)について講演会を開催し、更に、10月3日から来年1月中旬まで、「雪が織りなす物語」と題して、北アルプスに大量の雪を降らせるメカニズムなど、大町の象徴であります「雪」に関する企画展を計画しております。
 
 スポーツの振興につきましては、感染症拡大防止のため、春・夏の大会に続き、大北スポーツ競技会や県縦断駅伝大会等、秋の大会や諸行事も中止が決定されました。
 例年、夏休みを中心に、合宿などで市内宿泊施設を利用している多くの団体から、市の体育施設を利用いただいておりますが、今年の申込み状況は、先週末現在で3件と前年の1割程度に止まり、感染症の影響が顕著に表れております。
 一方、市が行う各種の講座等につきましては、十分な感染予防対策を講じたうえで、トレーニング講座や木崎湖での少年海洋教室、ウォータースポーツ体験教室等を開催し、また、比較的小規模な試合等は、徐々に実施しており、今後も感染防止対策の徹底を図り、スポーツ推進委員や関係団体のご協力の下、年度後半の事業の実施に取り組んでまいります。
 
 2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
 
 はじめに、本年4月に創設しました「新型コロナウイルス感染症対策特別資金」の融資につきましては、今月21日現在、申込件数は169件で融資総額は22億3,400万円余となり、多くの市内事業者の皆様にご利用いただいております。
 また、市のウイルス拡大防止支援金及び観光施設支援金につきましては、申請受付を先月17日まで延長した結果、支給状況は、拡大防止支援金948件、観光施設支援金65件となっております。
 地域商品券「がんばろう!大町応援券」は、今月21日現在、1万4,533冊を販売しており、引き続き、市民の皆様には、応援券を購入いただき、市内事業者の支援のためにご活用いただきますようお願いいたします。
 今後も引き続き、地域経済に与える感染症の影響の実態を把握するとともに、市内事業者の事業の維持、継続と経営安定のため、的確な支援に努めてまいります。
 また、市民生活の支援を図る市民一人当たり10万円の特別定額給付金につきましては、今月17日に申請を締切り、対象となる1万1,906世帯、2万7,038人のうち1万1,881世帯、2万7,004人から申請があり、給付総額27億40万円余の給付を完了いたしました。なお、給付を辞退又は申請を行わなかった方は25世帯34人でありました。
 
 次に、地域の労働・雇用環境及び金融・経済情勢につきましては、先月に続き、昨日も、ウイルス感染症に係る市経済対策連絡会議を開催し、関係機関との情報交換を行いました。
 まず、労働・雇用状況につきまして、大町公共職業安定所からは、大北管内の6月の有効求人倍率は0.6倍で、前年同期を0.76ポイント下回っており、4月以降3カ月連続で1倍を下回り平成25年5月以来の厳しい状況が報告されました。
 また、6月1日から、来年4月の新規高校卒業者の求人申込みがスタートしておりますが、感染症の影響により企業の採用予定数は例年に比べ、1割程度減少するとの見通しが示されております。
 大町労働基準監督署からは、休業等の相談に加え、ここ1カ月は解雇に関する相談も増える傾向にあることや、職場において感染症にり患した場合に、労災認定されるケースがあることから、労働基準監督署へ相談いただきたいとの報告がありました。
 北アルプス地域振興局からは、6月から「産業・雇用・総合サポートセンター」を局内に設置し、国・県の支援策への申請手続の支援等を実施していること、また、県の制度融資資金は、7月末時点で前年度に比べ約2倍の融資額となっているとの報告がありました。
 大町商工会議所からは、感染症の影響を踏まえて、毎年実施している景況調査を、9月に実施するとの説明があり、また、9月に開催する経営相談については、会議所の非会員にも参加いただくよう配慮するとの報告がありました。
金融機関からは、今後の感染症の拡大などにより、地域経済への悪影響が長期化した場合には、追加資金融資に止まらず、事業者への事業継承や経営改善など、自助再生に向けた支援も進めていくとの報告がありました。一方、先行きが見通せない状況の中、経営意欲の低下を懸念する意見もありました。
 今後も、市内の経済状況や雇用動向に注視するとともに、経済対策連絡会議などを通じて関係機関との連携を密にし、引き続き地域経済の回復と雇用の確保に向けた効果的な支援に力を尽してまいります。
 
 米の生産につきましては、令和元年産米の当市の生産数量目安値は確保され、また、本年産米についても、前年とほぼ同水準の8,776トンとなり、概ね目標は達成される見込みであります。
 しかし、ウイルス感染症の影響による需要減少等の影響により、民間在庫量は米価の下落が心配される水準まで増大する恐れがあり、今後も、県農業再生協議会から提示された目安値をもとに、関係機関、団体との調整により決定した目標の下、生産者の所得維持、確保のため、需要に見合った米の適正生産の推進に努めてまいります。
 
 有害鳥獣対策につきましては、特に、市民生活に深刻な被害を及ぼしている猿害について、本年度から駆除対応の専門職員を採用し、各地区猟友会と連携して対策の強化に取り組んでおり、現時点で、駆除実績は前年同期と比較し111頭増の130頭に上っております。また、ICTの活用や大型捕獲檻の設置に加え、地域ぐるみによる追払いなど、新たな強化策を鋭意進めており、本定例会全員協議会におきまして、取組み状況や今後の事業の展開についてご報告することとしております。
 また、熊の出没対策につきましては、今月10日、平地区において、県外からの観光客が熊と遭遇し、軽傷を負ったことを受け、同日付けで熊出没警戒警報を発令し、同報無線や緊急メールにより注意を呼び掛けるとともに、消防団にご協力いただき朝夕の警戒巡視を実施いたしました。
 今後、秋の収穫期を迎え、例年、熊の出没が多くなり、一方で、市民や観光客の野外での活動も活発になりますことから、朝夕の外出時には、単独での行動は控えていただくとともに、農作物の残屑など熊の餌となるものを放置しないよう呼び掛けるなど、被害防止の周知、啓発を図り、被害の防止に努めてまいります。
 
 観光振興につきましては、ウイルス感染症緊急事態宣言により、市内宿泊施設などは休業を余儀なくされておりましたが、解除後には、感染防止対策を徹底した上で、順次営業を再開しているところであります。
 しかしながら、観光客の入込みは、ウイルス感染症に加え、先月の梅雨前線による長雨の影響もあり、前年度を大幅に下回る状況となっております。特に、立山黒部アルペンルートの入込みは、今月20日現在、累計で約8万人に止まり、昨年同期に比べ約53万人減少し、前年比僅か13.2パーセントに止まる大変厳しい状況となっております。また、インバウンドなど団体旅行の激減に伴い、交通事業者、特にバス事業者の経営が逼迫しておりますことから、市内バス事業者に対し新たに支援金制度を創設することとし、所要の経費を本定例会の補正予算に計上いたしております。
 また、観光誘客につきましては、国の「GO TO トラベル事業」や、県の「県民支えあいキャンペーン・ディスカバリー信州県民応援割」、また、当市のプロモーション委員会が実施しております「ステイ信州おおまち満喫クーポン」や、「信濃おおまち満喫宿泊キャンペーン」の周知を図り、市内への誘客に努めております。
 今後、秋・冬の観光誘客につきましても、厳しい状況は続くものと考えられますことから、宿泊キャンペーン等を継続して実施するための補正予算を、本定例会に提案申し上げることとしており、引き続き、切れ目のない誘客対策を実施してまいります。
 関電トンネルトロリーバスの展示保存につきましては、来月5日に「トロバス里帰り出発式」を富山県高岡市において、ご寄付いただきました方々の招待を取り止め、規模を縮小して実施することといたしました。クラウドファンディングを通じてトロバス保存にご支援いただいたファンの皆様に、改めて深く御礼申し上げますとともに、唯一残された貴重なトロバスを大町市に移送し、扇沢での展示保存に取り組んでまいります。
 
 移住・定住促進事業につきましては、感染防止のため、移住相談やセミナーをオンラインに切り替えて実施しており、6月27日にライブ配信で開催した移住セミナーには、全国各地から30名もの参加があり、オンラインでの効果が実感できる機会となりました。参加者からは大変好評をいただき、継続的な開催を望む声も多くありましたことから、今後は、仕事や子育てなど、移住希望者のニーズに沿ったテーマにより開催し、移住情報の効果的な発信に努めてまいります。
 また、東京大学、信州大学とともに進めております、中心市街地における空き家等の資源活用の共同研究につきましては、先月、中心市街地区域の空き家外観調査を実施し、全国平均の13.6パーセントを上回る約17パーセントの建物が「空き資源」であることが確認されました。
 今後は、この調査をもとに、空き不動産の所有者調査や意向調査を進め、いっそう空き家の有効活用に取り組んでまいります。
 過疎地域におきましては、拠点集落にIターン、Uターン者等の定住を促進するための定住促進住宅の整備により、地域に密着した定住対策を進めており、本年度は、八坂栃沢地区において6月に着工した2棟が、11月末に完成する見通しであります。
 今後は、4月の入居を目途に、12月中旬に内覧会、1月中に入居者の募集を行い、入居者選考委員会を開催して、入居者を決定するよう所要の準備を進めてまいります。
 こうした定住促進住宅の整備や空き家の効果的な活用により、「誰もが住みたくなる、住み続けたくなる、更には住んで良かったと思えるまち」の実現を目指し、引き続き移住・定住対策を積極的に推進してまいります。
 
 3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
 
 市立大町総合病院につきましては、平成30年度末に策定しました病院経営健全化計画に基づき、計画に定めました各施策を積極的に進め、職員全員が抜本的な経営改善に取り組んでおります。
 計画2年目となります令和元年度の決算におきましては、平成30年7月から許可病床数を199床に見直し、病院規模の適正化を図ったことや、機能評価係数の向上などが平年度化し、診療報酬の向上に結び付いたこと等により、医業収益では、前年度決算と比較して5,000万円余の増収が図られることとなりました。また、医業費用につきましても、緊急的な措置として、全職員の理解と協力を得る中で給与費の削減を計画に従い継続したほか、あらゆる経費の縮減に努めるなど、病院を挙げて経営改善を推進してまいりました。この結果、経常収支は2億7,000万円余の利益を計上するとともに、資金不足比率は8.8パーセントとなり、国の定める経営健全化基準の20パーセントを大きく改善することができました。病院職員の皆様の一丸となった取組みに、病院開設者として深く敬意を表するものであります。
 なお、本定例会におきまして、元年度決算を上程いたしますほか、経営健全化計画に係る取組み状況につきまして、全員協議会でご説明申し上げることとしております。
 本年4月から2人の専門医が新たに着任し、専門分野における診療体制が充実するとともに、信州大学医学部総合診療科との密接な連携により、専門研修プログラムによる専攻医2人が新たに加わり、常勤医師は23人に増加するなど、経営健全化に向けた様々な取組みが、目に見える着実な成果として表れてきております。
 本年度における第1四半期の収益の状況は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、4月、5月期は、入院・外来患者数、医業収益ともに前年同期を下回りましたが、6月期には前年並みに回復することができました。ウイルス感染症の先行きは極めて不透明でありますが、経営改善を更に進め、地域の医療ニーズに応えることができる、地域に密着した病院を目指してまいります。
 産婦人科につきましては、先日の定例記者会見でも発表いたしましたとおり、本年10月末までの出産予定の分娩をもって、お産の取り扱いを当面、休止せざるを得ない状況となりました。昨年10月、常勤医師1人体制となって以降、医師確保に全力で取り組んでまいりましたが、全国的な産科医不足の中、現在のところ後任の医師招へいの目処が立っておりません。
 産婦人科部長の深松医師には、長年に亘り大北地域の分娩体制の維持に大変ご尽力をいただいてまいりました。これまでのご労苦に心から深く感謝申し上げます。また、地域の皆様には大変ご不便ご迷惑をおかけいたしますが、できるだけ早期に、当圏域唯一の周産期医療の拠点病院として役割を果すことができますよう、県をはじめ関係機関等のご支援をいただき、私も井上病院事業管理者とともに、新たな医師の確保をはじめ、分娩体制の再構築に全力を尽してまいりますので、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 福祉分野におきましては、ウイルス感染症の影響により、家にこもりがちな高齢者の通院や買物などの外出支援として、75歳以上の高齢者世帯に、タクシー乗車券を交付する「高齢者外出支援タクシー乗車券交付事業」を開始し、先月17日に、該当する約2,300世帯へ、ご案内とともに申請書をお送りし、現在、1,400を超える世帯から申請があり、順次乗車券を発送してご利用いただいております。
 
 子育て支援につきましては、少子化の進行や核家族化、共働き世帯の増加など、子育てを取り巻く環境が大きく変化する中、3歳未満児の保育需要は今後更に増加するものと見込んでおり、一方で、このように増加する需要に対応するための保育士の確保は、大変厳しい状況が続いております。これに加え、当市におきましては、保育士の年齢構成に偏りがあり、経験豊富な年齢層がやや手薄な状況にありますことから、本年度の職員採用試験から新たに、社会人特別枠を設けることとし、必要な人材の確保を図り、保育環境の充実に努めてまいります。
 
 子育て中の保護者の皆様にご要望いただき、連携自立圏事業として調整を進めております、病児・病後児保育につきましては、開設場所を当初予定の市立大町総合病院4階から3階に変更するなど、病院のご理解の下、協議が整いましたことから、10月1日の開始を目途に、施設の改修や体制づくりなど所要の準備を進めております。
 
 4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
 
 本年度のニホンライチョウの飼育事業におきましては、1つがいの親鳥から4個の卵が生まれ、うち1卵について環境省が中央アルプスで実施しております繁殖事業に協力するため現地に移送し、残りの3卵については博物館において、親鳥に卵を抱かせる自然抱卵に取り組んでまいりました。
 しかし、博物館ではいずれも孵化に至らず、現在、大学の研究機関において原因の詳細な調査を行っており、今後、館において十分な検証を行い、来年度以降の繁殖に活かしてまいります。
 
 水道事業会計の令和元年度決算につきましては、給水人口の減少や節水による有収水量の減少がありますものの、9,831万円余の純利益を確保することができました。また、原水供給事業の収益は3,590万円余の増加傾向で推移しており、減少が続く給水収益を補う貴重な収入となっております。
 水道施設の更新につきましては、配水池の電気計装設備の更新のほか、送配水管の耐震化を順次進めており、引き続き安定した給水体制の維持に努めてまいります。
 また、公営簡易水道事業の決算につきましては、安定した水道水の供給に努め、歳出総額1億8,965万円余の決算となりました。
 
 温泉引湯事業会計決算につきましては、基本湯量の確保と安定供給に努め、1,537万円余の純利益を計上いたしました。
 また、温泉供給事業では、平成28年度から進めております老朽配湯管の更新工事を引き続き計画的に実施し、温泉の安定供給の確保に努めてまいります。
 
 公共下水道事業会計の決算につきましては、施設の適切な運営管理に努め、9,871万円余の純利益を確保するとともに、工事関係では、松川浄水苑の長寿命化計画に基づく対策工事が完了いたしました。
 また、農業集落排水事業会計の決算では、1,975万円余の純利益を計上するとともに、社南部処理区処理場へ流入している不明水の調査を実施しており、引き続き本年度も位置の特定と対策手法を検討し、有収率の向上を図ってまいります。
 今後も、下水道事業のいっそうの収益の向上を図るため、接続促進に努めますとともに、施設の総合的な維持管理を目的とする包括的民間委託を活用し、スケールメリットを活かした経費の節減に向けた取組みを継続的に推進してまいります。
 
 地域高規格道路松本糸魚川連絡道路につきましては、事業主体であります県大町建設事務所が、国のガイドラインに基づき複数のルート帯案について比較評価を進め、「西ルート帯」を最適なルート帯として選定しております。
 本年度予定しておりました地元説明会は、ウイルス感染の拡大に伴い、開催の延期を余儀なくされ、県とともに、リーフレットの全戸配布をはじめ、ケーブルテレビの放送など、市民に向けた情報発信に努めてまいりました。今月8日には、十分な感染防止対策を講じたうえで説明会が開催され、約80人の皆様にご出席いただき、最適なルート帯として「西ルート帯」を決定したことが発表されました。今後、市としましても、関係する地域の皆様との円滑な合意形成が図られますよう、県と一丸となって力を尽くしてまいります。
 また、市議会におかれましては、昨年2月に15名の有志により、建設促進議員連盟を設立いただきましたことを嚆矢として、10月には県議会議員による議員連盟が発足し、現在、当市を含む13市町村議会が議員連盟の設立に至っております。こうした中、新たに地域間のより強い結集を図るべく、沿線の県議会並びに市町村議会の議員有志による、「松糸道路建設推進議員連盟長野県連絡会議」が設立される運びとなり、そのための準備会が今月6日に開催されました。これまでの各市町村議会の議員連盟のご支援に加え強固な結束と連携の下、事業推進の追い風となります大きなお力添えをいただきましたことに、深く感謝申し上げますとともに、中心となってご尽力いただきました中牧議長をはじめ、議員各位のお取組みに心より敬意を表す次第でございます。
 
 生活道路の整備につきましては、市道大町鹿島線平二ツ屋地区の拡幅改良工事が6月に完了いたしましたほか、常盤泉地区の市道長畑高根線歩道新設工事の最終工区を発注し、懸案の交差点部の道路照明や信号機の設置を含め、11月末の完了を見込んでおります。
 
 北アルプス広域連合が進めておりますごみ処理広域化につきましては、本年6月から白馬リサイクルセンターの建築工事に着手し、年度内の竣工を目指し、進捗を図っております。
 引き続き、安定した市民生活が確保できますよう、3市村が一体となり、廃棄物の適正処理とリサイクルを推進してまいります。
 
 常盤泉地区における臭気対策につきましては、先月、本年度最初の地元対策委員会が開催され、事業者による新たな脱臭設備の導入に向けた検討が再開されております。導入に当たり、事業者からは、廃棄物受入量を増やすことが必要との説明がありましたが、対策委員会では、拙速な判断はせず、引き続き脱臭効果等について精査し、検討を進めることとしております。
 事業者では、これまでも臭気問題の解決に向け施設の改修などを実施しておりますものの、現在、明確な効果が確認されない状況にあり、市では、引き続き、事業者に早急かつ効果的な対策の実施を求めるとともに、臭気パトロールや臭気測定を行い、事業者の指導に努めてまいります。
 
 5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
 
 全ての市民が安心して生活するうえで、人権の尊重は、その基礎となるものであり、私自身、圏域内で新型コロナウイルス感染者が確認された当初から、再三に亘り市民の皆様に訴えてまいりました。
 感染の終息が未だ見通せない中、今後も人権に配慮し、差別のない明るい地域社会の構築を目指し、人権擁護委員と連携を図り、人権教育、人権啓発に努めてまいります。
 なお、市の人権擁護委員9名のうち、本年末に任期を迎える1名の委員について候補者を法務大臣へ推薦するに当たりましては、法の規定に基づき、議会にご意見を求めることとなっておりますので、よろしくご協議いただきますようお願い申し上げます。
 
 以上、第5次総合計画で定めました各施策の進捗状況と、今後の執行方針についてご説明申し上げました。年度中盤に向けて、本年度計画いたしましたそれぞれの事業が円滑に推進できますよう、今後も全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
 本定例会にご提案申し上げます案件は、事件案件1件、条例案件2件、予算案件5件、決算案件9件の合計17件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
 

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庶務課秘書係 内線 507
E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp

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