menu close
  • サイトマップ

  • 文字サイズ

  • 音声読上げ

  • 言語選択

  • サイト内検索

ホーム 市長の部屋 議会での市長あいさつ 令和2年12月定例会市長あいさつ

令和2年12月定例会市長あいさつ

 本日ここに、令和2年大町市議会12月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
 
 はじめに、9月以降やや小康状態でありました新型コロナウイルス感染症につきまして、今月に入り、全国的に感染が急激に増加しており、第3の波が拡大しております。
 こうした中、県では、今月14日に、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者が10人を超えた、長野圏域の感染警戒レベルを4に引き上げ、「新型コロナウイルス特別警報」を発令するとともに、24日には、その他の県全域を感染警戒レベル3に引き上げ、「警報」を発令しました。
 当市におきましては、今月14日、1名の方の感染が確認され、17日には、私から市民の皆様へ第8弾となりますメッセージを発出し、基本的な感染防止対策をいっそう徹底していただくとともに、家庭内や事業所等におきましても、適切な感染防止策に努めていただくことなどを呼び掛けたところでございます。今後、人の動きが活発になる年末年始を迎えるとともに、季節性インフルエンザの流行期を控えており、引き続き、県及び医療機関等と緊密な連携を図り、拡大防止に力を尽してまいります。
 
 内閣府が今月25日に発表しました月例経済報告によりますと、景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きがみられる、としております。先行きにつきましては、感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていく中で、各種政策の効果や海外経済の改善もあり、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意するとともに、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある、としております。
 そして、頻発し激甚化する災害への対応に取り組むとともに、ウイルス感染症対策と経済活動を両立し、雇用の確保や事業の継続を通じて国民生活を守り、規制改革など集中的な改革や必要な投資を行うことにより、再び力強い経済成長を実現するため、「経済財政運営と改革の基本方針2020」等に基づき改革を具体化する、としております。
 一方で、国の新年度予算の編成におきましては、未だ地方一般財源総額の確保が明言されておらず、今後の動向につきましては、なお不透明な状況が続いております。
 
 市におきましては現在、新年度予算の編成に向け、本年度これまでの事業の評価、検討に加え、国・県等の動向を把握するなど、所要の準備を進めております。
 今般のコロナ禍は、これまでの公共サービスのあり様を見直す重要な転機となるものと考えており、予算編成方針では、各事業分野における感染拡大防止対策を講じたうえで、新しい生活様式や働き方改革など、社会の変容や価値観の変化等を踏まえ、全ての事務事業に抜本的な見直しを加えることとしました。そして、市民の声を的確に捉え、ポストコロナを見据えた適切な事業内容へと転換を図る必要があることを明記し、新型コロナ克服戦略おおまち再生プランに沿って、粘り強く感染防止対策及び地域経済・産業への支援、並びに市民生活への支援に努めることといたします。
 来年度は、第5次総合計画前期基本計画の最終年度に当たり、また、ウイルス感染症の影響により、市税等の大幅な減少が見込まれる中、最小の経費で最大の効果を実現できますよう、施策の重点化、集約化を図るとともに、引き続き、国・県及び他の自治体の動向などを的確に把握し、慎重に予算編成を進めることといたします。
 なお、本年度市税収入につきましては、ウイルス感染症の影響により著しく収益が減少した事業者等から、徴収猶予の特例申請が提出されており、猶予期間を最大限に適用した場合、本年度の税収額に影響が出ることが見込まれますことから、市税収入減額の補正予算を本定例会に上程いたしました。
 
 北アルプス国際芸術祭につきましては、来年8月21日から10月10日までの51日間を新たな会期とし、コロナウイルスへの感染防止対策を徹底したうえで開催することとしております。そのため、実行委員会では新たに、市民の皆様や来場者、受け入れスタッフ等の安心安全を確保するため、「新型コロナウイルス感染防止対策委員会」を設置し、保健所や医療機関等との連携の下で、感染防止対策の徹底を図ってまいります。
 作品制作では、この秋から国内アーティストを中心に順次、作業を再開し、うち10作品程度につきましては、来年5月頃から先行公開することとし、国内を中心に情報発信を行い、誘客に努めてまいります。また、食の取組みでは、新しい生活様式を取り入れるなど、感染防止を図るため、最適な提供方法について、現在、検討を進めております。
 芸術祭は、コロナで疲弊しておりますまちの活気を取り戻すことを目的のひとつとして、新型コロナ克服戦略おおまち再生プランに位置付けており、打撃を受けた地域経済の立て直しや、ややもすれば希薄になりがちな、人と人との繋がりの再生を目指して準備を進めております。市民の皆様には、いっそうのご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
 次に、本年度の主な事業の進捗状況及び主要な施策につきまして、第5次総合計画で定めた5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。
 
 1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。

 新型コロナウイルス感染症の影響による、市内小中学校での授業時間数の不足や授業の遅れへの対応につきましては、各学校とも、年間の行事計画等を見直すとともに、夏季休業の短縮や行事の縮小等により、例年のほぼ9割以上の進度に回復しております。今後も、ウイルス感染症やインフルエンザの流行に十分備え、継続的な感染症対策の取組みにより、安心安全に学校生活を送ることができますよう努めてまいります。
 また、修学旅行につきましては、小学校は東京方面、中学校では京都・奈良方面への当初計画を変更し、感染の拡大傾向にある地域を避け、全校とも県内1泊2日の行程として、これまでに小中合せて7校が実施いたしました。身近にありながら知ることの少なかった地域の歴史や文化、産業等に触れ理解を深めるととともに、信州ならではの景色や楽しい食事を仲間とともに満喫し、各地の魅力を再発見する、心に残る特別な修学旅行となったものと考えております。
 
 通学区域の再編につきましては、先月27日、サン・アルプス大町において市民説明会を開催し、約150人の市民の皆様にご参加いただきました。教育委員会からは、年々減少する児童・生徒数の状況や、昨年実施しました市民アンケートの結果などを説明し、出席者からは、様々なご意見とご質問をいただき、改めて市民の皆様の関心の高さを再確認する機会となりました。
 現在、市立学校通学区域再編審議会におきましては、既存の学校施設を活用して進めることや、通学区域と行政区域の整合を図ることを基本として、通学区域ごとの児童・生徒数の状況や今後の推移、各学校施設の位置や施設の状況等を参考に総合的な検討を進めております。
 今後更に、各団体や市民の皆様への丁寧な説明や意見交換により、情報の共有を図り議論を深めてまいります。
 
 児童・生徒一人1台の情報端末(タブレット)の整備と、高速大容量の通信ネットワークの一体的な整備を行うGIGAスクールの構築につきましては、先月末までに、各学校に情報端末と充電保管庫の配備を完了し、先月29日からは校内ネットワークの整備に着手しております。また、効果的に授業等への活用ができますよう、教職員へのICT活用研修会を開催し、個々のスキルアップを図ることとしております。
 今後、感染症や災害の発生等による学校の臨時休業などの緊急時におきましても、ICTを有効に活用し、全ての子ども達の学びが継続できる環境の整備に努めてまいります。
 
 ウイルス感染症の影響により開催を延期しておりました成人式につきましては、326人の新成人を対象に、来年1月11日の「成人の日」に開催することといたしました。未来を担う若者の二十歳の門出をお祝いするとともに、多様化、複雑化する社会の中、自らの夢と希望の実現に向け直向きに歩みを進める皆さんの、いっそうの活躍を祈念して、エールを送り激励する機会としたいと考えております。
 なお、開催に当たりましては、新成人の皆さんには、式の2週間前からの健康観察を要請するとともに、当日は、マスクの着用や手指消毒を徹底するほか、式典を短縮して簡素にするなど、感染予防に十分配慮して実施することといたします。
 
 文化芸術の振興につきましては、今月3日、文化の日を中心に市内各地域において、文化祭を多彩な内容で開催いたしました。文化会館と大町公民館では、市民活動自粛等の影響により規模を縮小して開催いたしましたが、菊花展をはじめ、市民の作品展示や舞台発表が行われ、多くの皆様にご来場いただき、文化芸術の秋を楽しんでいただきました。ウイルス感染症により、活動に様々な制約が生ずる中、自ら研鑽を積み、素晴らしい成果を発表された参加者のご努力に敬意を表する次第でございます。引き続き、市民の地域に根差した文化活動の支援に努め、芸術文化のまちづくりを進めてまいります。
 
 山岳博物館におきましては、企画展「雪が織りなす物語」を来年1月17日まで開催し、展示と講演、ミュージアムトークにより、北アルプスに膨大な降雪をもたらす、気象条件と地理的な関係について分かりやすく解説し、降雪、積雪から融雪に至る過程を解き明かします。
 また、「山のサイエンスカフェ㏌さんぱく2021」を来年3月7日と14日に開催いたします。会場では、毎年の調査研究の成果を取りまとめ発刊しております研究紀要を題材に、参加者が専門知識を持った学芸員を囲み気軽に語り合い、学びを深める機会といたします。
 
 スポーツの振興につきましては、先月から市内各保育所におきまして、幼少期に体を動かすことの楽しさを体験するとともに、運動の習慣を身に着けることを目的に、巡回運動あそび教室を開催しております。
 今月は、総合体育館におきまして、市民の皆様の日常生活での自粛に伴う運動不足の解消などを目的に、スポーツ推進委員の協力の下、4回に亘りボディバランス教室を開催いたしました。
 これまで、少雪により中止を余儀なくされておりました市民スケート大会、スキー大会は、本年度は3年ぶりに、1月31日及び2月28日にそれぞれ開催することとしており、関係団体のウイルス防止ガイドラインを参考に対策の徹底を図り、大会の実現に向けて準備を進めてまいります。
 来年に延期されました東京オリンピック・パラリンピックの聖火リレーは、3月25日に福島県をスタートし全国で実施されることが決定し、当市内では、4月2日に行われることとなりました。安全に実施できますよう、関係機関等と運営方法等について十分調整を図り、万全の準備を進めてまいります。
 
 2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
 
 「SDGs未来都市」の選定に伴い、9月に策定しました「未来都市計画」につきましては、計画名を「SDGs共創パートナーシップにより育む『水が生まれる信濃おおまち』サステナブル・タウン構想」とし、将来ビジョンをはじめ、SDGsの推進に資する取組みや推進体制などを定めました。
 この計画では、SDGsのゴール(持続可能な開発目標)の6「水・衛生」で、「水と衛生に関わる分野での地域コミュニティ参加への支援と強化」を、また、目標8の「経済成長と雇用」では、「持続可能な観光業を促進するための施策の立案・実施」を、優先的なターゲット(具体的な目標)に位置付けました。また、目標17「パートナーシップ」では、「効果的な官と民のパートナーシップを奨励、推進すること」をターゲットに定めております。
 市の至高の地域資源であります「水」に焦点を当て、新たな観光商品の開発や地域ブランドの振興、環境保全活動の促進などにより、「水」に関わるひと・しごとを主役として、経済・社会・環境の三側面から、まちづくりに向けた取組みを進め、100年先の未来においても、今と変わらない「水が生まれる信濃おおまち」の実現を目指してまいります。
 この連携プロジェクトの詳細につきましては、本定例会全員協議会においてご説明申し上げます。
 
 地域商品券「がんばろう!大町応援券」につきましては、今月11日より第2弾となる商品券の販売を開始し、27日までの販売冊数は1万6,838冊となっております。市民の皆様には、市内事業者の支援と地域の消費拡大のために積極的に活用いただきますようお願いいたします。
 
 地域の労働・雇用環境につきましては、大町公共職業安定所管内の9月の有効求人倍率は1.22倍で、前月の0.82倍から0.4ポイント改善し、6カ月ぶりに1倍台を回復する状況となりました。
 また、10人以上の大規模な人員整理は、5月以降、発生しておらず、更に、事業主の都合による離職件数は、6月以降1桁台に止まっており、市内事業所では、厳しい状況の中、雇用調整助成金や市の制度融資資金等を活用して、雇用の維持に努めていただいております。
 今後の雇用環境につきましては、例年、冬季の観光の柱であります、スキー場や宿泊施設等における季節雇用が増加しますことから、雇用のいっそうの改善に期待するところでございます。
 
 市内の経済状況につきましては、国のGoTo事業をはじめ、県の信州秋のキャンペーンや市のSTAY信州満喫クーポン、信濃おおまち満喫宿泊キャンペーンなどの取組みにより、当市への観光客は増加傾向にあり、地域経済の回復に向けて明るい兆しが見えておりましたが、今月に入ってからのウイルス感染の急激な拡大に伴うGoToキャンペーンなどの見直し等により、今後の地域経済への影響を懸念するところであります。
 市内事業者の皆様には、年末年始を控えた今、改めて徹底した感染防止対策に努めていただきますようお願い申し上げます。
 
 市の制度融資資金につきましては、4月に創設しましたウイルス感染症対策特別資金におきまして、その後、2度に亘り融資枠を増額し、今月27日現在218件、融資総額29億6,300万円余となり、多くの市内事業者に活用いただき、現在も融資申込が続いており、保証料補給金に係る所要の経費について本定例会に補正予算を上程いたしております。
 
 本年の水稲の作柄は、農林水産省が発表した先月15日現在の作況指数では、全県におきまして99、中信地区でも99のほぼ平年並みとなりました。6月から7月にかけての日照不足に加え、8月中旬以降に高温が続いた影響もあり、全もみ数は平年をやや下回ったと推測されます。
 米価につきましては、JAに販売を委託した農家に支払われる概算金の価格は、昨年より60キログラム当たり240円下落し、ウイルス感染症の影響による米の需要の落ち込みが顕著に表れております。
 米の需給緩和への懸念が強まっておりますことから、国におきましては、今後予想される危機的な需給環境の調整のため、来年産米の減産とともに非主食米への転換等について検討を進めております。市といたしましては、国・県の動向を注視し、北アルプス地域振興局をはじめ、JA大北や市農業再生協議会等の関係機関と連携を密にし、対応を図ることといたします。

 有害鳥獣対策のうち、特に、市民生活に深刻な影響を及ぼしております猿害につきましては、本年度から駆除対策専門員を配置し、各地区猟友会にご協力いただき、GPS発信機を用いた追跡や大型捕獲檻の設置などの新たな対策により、強化を図ってまいりました。
 猿の駆除頭数は、今月25日時点で前年同期の52頭に比べ199頭増の251頭に上り、更に猿の人に対する警戒心が高まることにより、一部地域では追い払い活動への相乗効果も確認されております。引き続き、猟友会や地域住民の皆様との連携を十分に図り、様々な手法を組み合せた複合的な駆除対策により猿害の抑止に取り組んでまいります。
 
 立山黒部アルペンルートは、本日最終日を迎え、ウイルス感染症の大きな影響を受けた本年は、今月21日現在、入込数の累計で24万1,925人となり、前年に比べ約65万2千人減の27パーセントに止まり、大変厳しい結果となりました。
 これからシーズンを迎えるスキー観光につきましては、鹿島槍スキー場及び新たな経営体制となりました爺ガ岳スキー場で、オープンに向け準備が進められております。昨シーズンは暖冬による記録的な雪不足により、運営に深刻な影響が生じましたが、今季は、早期に十分な降雪に恵まれることを期待いたしますとともに、「HAKUBA VALLEY」エリア内の近隣のスキー場とも連携し、ブランド力とスケールメリットを生かした宣伝誘客を図り、グリーンシーズンの入込が伸び悩んだ大町温泉郷など、市内宿泊施設への誘客の弾みとなりますよう、冬季の観光振興に努めることといたします。
 このため、両スキー場が連携して運行する、無料シャトルバスの運行経費の一部を助成することとし、所要の経費を計上する補正予算を本定例会に上程いたしました。シャトルバスは、信濃大町駅から大町温泉郷及びANAホリデイ・インリゾート信濃大町くろよんと、二つのスキー場を結ぶもので、冬季の各観光拠点への利便性の向上が図られるものと考えております。
 
 アルペンルートをはじめ、市内全域の観光客の入込は、軒並、昨年を大きく下回る状況となっておりますが、GoToトラベルや市プロモーション委員会が実施した信濃おおまち満喫宿泊キャンペーンなどにより、やや回復傾向がみられるようになってはおります。
 しかしながら、市内経済、観光関連産業は依然として厳しい状況が続くことが見込まれますことから、「大町市冬季満喫宿泊キャンペーン」を明日1日から実施するなど、市内スキー場や温泉施設などと緊密な連携の下、冬季の観光誘客の推進に取り組んでまいります。
 なお、今月14日には、アルペンルートの玄関口であります扇沢駅に隣接する扇沢総合案内センターに「トロバス記念館」をプレオープンいたしました。館内には、関電トンネルトロリーバスの54年に亘る歴史を物語る記念品を展示するとともに、敷地内には「奇跡の一台」となりましたトロバスを設置しました。本格的なオープンを迎えます来シーズンからは、自然エネルギーを生み出す黒部ダムに向かうこの新たな観光スポットに、多くの皆様に来館いただき、半世紀に亘り無事故で来訪者を運んだトロバスの活躍に思いを巡らせていただくことを期待いたします。
 
 移住・定住促進事業につきましては、感染防止のため、移住相談やセミナーをオンラインに切り替え実施しており、例年とほぼ同水準の移住相談が寄せられ、相談窓口を通じた移住の実績も、先週末現在で59人と順調に増加しております。
 9月以降、アウトドア愛好者をターゲットにした「オンライン移住セミナー」を2回開催しており、先月末から今月1日には、山岳情報誌「山と溪谷」とタイアップした「信濃大町移住見学会」を開催し、定員をオーバーする程の盛況となり、参加された皆さんからは、当市への移住に前向きな感触を得ております。また、今月からは移住希望者の個別ニーズに対応した「信濃大町オンライン魅力体験ツアー」を開始しております。
 今後も、引き続ききめ細かな相談サービスに努め、移住を希望する方に寄り添った移住施策を展開してまいります。
 
 3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
 
 子どもを授かりたいと願うご夫婦の不妊治療への支援につきましては、国及び市において、治療に要した費用に対する助成制度を設けております。
 厚生労働省では、不妊治療を受ける方が全国的に増加傾向にあり、また、医療機関や治療方法が多岐に亘ることに加え、高度な治療では費用が高額となり、経済的な理由で治療ができない方や、治療の継続を断念される方も少なくないとして、現在、不妊治療の負担軽減を図るため、助成制度の拡充が検討されております。一方、この検討結果を見極めるまで不妊治療を先送りする方が出ることが懸念されるため、市では本年度、制度の充実を図ることにより、子どもを授かりたいと願い治療を望む方が早期に治療に取り組まれるよう、所要額を補正予算に計上し、本定例会に上程いたしました。この事業を通じ、子どもを安心して産み育てることのできる環境の整備に努めてまいります。
 
 市立大町総合病院につきましては、4月の新型コロナウイルス感染症の大町保健所管内における発生以降、入院、外来ともに患者数が減少し、受診抑制や定期受診の間隔延長など、特に外来患者の受診者数の減少が顕著となっており、更には、救急や手術件数なども総じて減少しており、収益の低下を余儀なくされております。
 また、一般病棟に加えて、感染症病棟における業務が重なる職員の負担軽減を図るため、看護職を中心に会計年度任用職員の採用を図ったことや、感染防止対策の資機材の高騰などにより、給与費や材料費などの費用が増嵩傾向にあり、本年度上半期の医業収支は、昨年同期と比較して約8,800万円の減少となっております。
 また、9月24日には、ウイルス感染症患者受入の実績等に基づき「重点医療機関」の指定を県から受け、更に、先月26日にはインフルエンザの流行期に備えた発熱患者等の受入体制を整備したことなどにより「診療・検査機関」の指定を受けたところでございます。引き続き、大町保健所等と連携して、陽性患者や疑似症状を持つ患者の治療に当たるとともに、検温や手指消毒に加え、専用診察室の設置や患者の導線確保などの感染対策を徹底し、いっそう安心して受診できる環境の整備に努めることといたします。これにより、患者の受診抑制や診療所等からの紹介控えの回避を図り、受診者の増加に取り組み、経営健全化計画に基づく収益の確保と経費の縮減により病院経営への影響を最小限に止めるよう努めてまいります。
 なお、病院事業の本年度上半期の経営状況等につきましては、本定例会全員協議会でご報告申し上げることとしております。
 
 4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
 
 地域高規格道路松本糸魚川連絡道路につきましては、県において、大町市街地を通るルート帯案の比較評価を進め、市街地西側を通る案を最適なルート帯として決定し、本年8月に開催された説明会において発表しました。現在、この西側ルート帯案の中から更に幅の細い複数のルート帯案の抽出に向けた調査、検討に着手しており、今後、最適ルート帯案の絞り込みに向け、これまでと同様、国のガイドラインに準じ、地域とのコミュニケーションプロセスに沿って作業を進めていくこととしております。
 なお、今月19日には期成同盟会により、国土交通省において、当市の市街地区間におけるルート選定を含め早期着工に向けた要請を行い、面談いただいた幹部の方からは、それぞれ前向きな見解をお示しいただき、また、本日午後、議会を代表して、中牧議長にもご出席いただき、県に対しましても要望活動を行うこととしております。
 松糸道路は、産業・経済をはじめ、医療・福祉、防災やまちづくりを進めるうえで、欠くことのできない極めて重要な道路であり、関係地域の皆様との円滑な合意形成が図られますよう、市も県と一丸となり力を尽くしてまいります。
 
 中心市街地の活性化に向けた取組みにつきましては、8月、国土交通省の「官民連携まちなか再生推進事業」の採択を受け、まちづくりの専門家の支援の下で、公民学の連携による中心市街地の活性化に向けた事業に着手いたしました。
 この事業は、市内でまちづくりに取り組む個人、団体のほか、学生、生徒など多様な人材が集積し、民間主体のまちづくり活動を支援するエリアプラットフォームを構築するとともに、将来のまちづくりに向けた具体的な未来ビジョンを策定するもので、本年度から2年間、国の補助金を活用し、コミュニティの活性化と持続可能なまちづくりを目指す取組みを推進することといたします。
 本事業の概要につきましては、本定例会全員協議会におきましてご説明申し上げます。
 
 水資源の保全につきましては、これまで届出等を必要としなかった井戸の設置について、新たに届出制度を導入することとし、地域の財産であります水資源の保全と有効な活用が図られますよう、条例改正による制度の検討を進めてまいりました。
 制度の内容につきましては、9月定例会全員協議会におきましてご説明申し上げましたが、本定例会におきまして関係する条例改正案を上程いたしております。
 
 水道事業につきましては、施設の耐震化を図るため、海の口南平配水池の築造に着手しましたほか、俵町における県道街路整備事業に伴う配水管の布設替えや、簡易水道における集中監視装置など設備の更新を、順次進めております。引き続き、水道施設の老朽化対策や耐震化を計画的に進め、安全な水道水の安定供給に努めてまいります。
 また、水道料金を含め水道経営等全般についてご審議いただくため、今月18日に第1回上下水道事業経営審議会を開催いたしました。水道事業の効率的かつ安定的な運営を図るため、委員の皆様から広く意見をいただき検討を進めてまいります。
 
 温泉引湯・供給事業につきましては、平高瀬入で温泉引湯管の、また、大町温泉郷こぶし平では配湯管の老朽管更新工事に着手しており、計画的な施設更新を進め、温泉の安定供給に努めてまいります。
 
 下水道事業につきましては、農地転用等による宅地化に伴い、未整備区域における下水道管渠及び公共桝の整備を、順次実施しております。また、本年度より公共下水道大町・仁科三湖処理区のストックマネジメント計画の策定に着手し、管渠施設を含め、施設の中長期的な視点から計画的な改築・更新を進め、引き続き、ライフサイクルコストの縮減と水洗化率の向上に努めてまいります。
 
 雪害対策につきましては、近年、暖冬に伴う少雪の傾向が続いておりましたが、本年は10年ぶりとなるラニーニャ現象の発生に伴い、強い寒気が流れ込むとの長期予報から、社会資本整備総合交付金及び合併特例交付金を活用して、新たに11トン級及び5トン級の除雪ドーザ2台を配備し、除雪能力を強化して態勢の充実を図ることとしました。
 また、幹線道路や中心市街地では、冬期交通の安全確保を図るため凍結防止剤の散布を徹底するなど、安心して暮らすことのできる市民生活の支援に万全を期してまいります。
 
 良好な住宅・居住環境の形成につきましては、本年度より「安心・安全住宅リフォーム支援事業」を創設し、支援に努めております。ウイルス感染症の拡大に伴い、建築資材や設備機器等の供給の遅れの影響もあり、9月までの申請は低調でありましたが、新しい生活様式への移行や、「がんばろう!大町応援券」による消費喚起策等により、先月以降の申請件数が大幅に増加しており、不足が見込まれますことから、所要額を補正予算に計上し本定例会に上程することといたしました。
 新たな市営住宅の建設につきましては、6月に庁内の関係課長で組織する検討委員会を立ち上げ、建設候補地の選定に向けた条件の整理や、評価の方法などについて検討を重ねております。
 検討状況につきましては、本定例会全員協議会でご説明申し上げることとしております。
 
 北アルプス広域連合が進めておりますごみ処理広域化につきましては、6月に着手した白馬リサイクルセンターの建築工事は、棟上げも終わり、これまで順調に進捗しております。
 また、ウイルス感染症の世界的な蔓延に伴い、6月から資源物としての受け入れを停止しておりました衣類及び布類につきましては、今月から受け入れを再開しました。引き続き、快適で安定した市民生活を確保できますよう、3市村が一体となり、廃棄物の適正処理とリサイクルを推進してまいります。
 
 常盤泉地区における臭気対策につきましては、地元対策委員会において新たな焼却方式による脱臭設備の導入に向けた検討、協議が進められております。市としましても、臭気パトロールや臭気測定を継続的に実施し、事業者による現有の脱臭設備改良の効果や影響を検証するとともに、引き続き、臭気問題の早期解決に向けて事業者の指導に努めてまいります。
 
 5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
 
 市民活動の促進につきましては、ウイルス感染症の蔓延により新しい生活様式が推奨される中、自治会や市民団体等におきましても、オンラインを活用してウイルス感染を回避する非接触型の活動の普及を図るため、オンライン会議用ソフトの「ZOOM」の体験講座を、先月末から今月7日にかけて2回開催し、合せて15名の方に参加いただきました。参加者からは好評をいただき、来年1月には、オンライン会議を運営するための講座を開催することといたします。
 また、市民活動団体の活動を広く周知し、市民参加を促すことを目的に、「ぼくらの市民活動フォーラム」が来月12日に、サン・アルプス大町で開催されます。各団体の活動発表のほか、山形県職員で地域づくりプランナーの高橋信博氏を講師に迎え、地域づくりに関する講演会を予定しております。議員各位におかれましても、活動団体の皆さんの活動内容をご覧いただくフォーラムに、ぜひご参加いただきますようお願い申し上げます。
 市といたしましても、社会、経済活動が停滞している中、市民の皆様の地域づくり活動がいっそう活発になるよう支援に努め、市民参加と協働のまちづくりを推進してまいります。
 
 人権擁護の取組みにつきましては、差別や偏見を解消するための「シトラスリボンプロジェクト」を積極的に推進するため、活動の象徴でありますシトラス、柑橘類の色のリボンを製作し、今月3日の市文化祭で配布いたしました。
 主旨にご賛同いただける市民の皆様には、リボンを身に着けていただき、ウイルス感染者や医療従事者の皆さんが、それぞれ暮らす場所で「ただいま」「おかえり」と、優しく受け入れられる雰囲気を醸成し、思いやりのある社会を目指す意志を表していただくようお願いいたしました。
 引き続き、ウイルス感染症に伴う差別や偏見の根絶を図るとともに、人権を尊重し差別のない明るい地域社会を目指し、地方法務局や人権擁護委員など関係機関・団体と連携を図り、人権教育、人権啓発に努めてまいります。
 
 以上、第5次総合計画で定めました各施策の進捗状況と、今後の執行方針についてご説明申し上げました。年度最終盤に向けて、本年度計画いたしましたそれぞれの事業が円滑に推進できますよう、今後も全力で取り組んでまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
 
 本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件1件、人事案件2件、事件案件5件、条例案件7件、予算案件8件の、合計23件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
 
 

この記事へのお問い合わせ

庶務課秘書係 内線 507
E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp

アンケート

より良いホームページにするため、皆さまのご意見をお聞かせください。
なお、お答えが必要なご意見等はこちらではお受けできません。問合せ先に電話またはメールでお願いします。

このページは役に立ちましたか?