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マツタケチャーハン(平成27年10月)

 

10月も中旬を過ぎますと、キノコの季節はそろそろ終盤です。つい先日も、ある会合で、キノコの名人採りたてのシモフリシメジがテーブルに披露されました。このキノコは、軸が真っ白な上品で美味しいキノコで、名前のとおり山に霜が降るころ出てきます。これが出るとキノコの季節も終りを告げることになります。

 ところで、今年はまれに見るマツタケの豊作だったようです。マツタケ採りの名人たちは、豊作の年でもシーズン中は「今年は豊作だ」などと口にすることはまずありません。シーズンが終わってからようやく「まずまずの年だった」ことを公言するのです。ですが、今年は早々と、秋初めの時期に何人もの名人が豊作だと断言していましたから、まれに見る豊作の年だったことが分かります。

 我が家でも、懇意にしている方から、何回かいただきました。そうした折、以前、上伊那地方事務所に勤務していたとき親しくしていた新井さんから、マツタケの美味しい食べ方を教えていただきました。チャーハンが一番、と聞き、自分で調理に挑戦しようと思い立ちました。電話で作り方をざっくり教わったものの、料理の経験といえば、以前単身赴任していた伊那の1年ちょっとのあいだだけで、まともな料理はとうてい無理です。何か手がかりをと、インターネットで検索して見ると、「マツタケチャーハン」の作り方そのものは、やはりというか、残念ながらというか、記載はありません。その代わりに「マツタケのお吸い物の素を使ってマツタケ風味のチャーハンを作った」という記事と、「池波正太郎の随筆にマツタケチャーハンの作り方が書いてあったと聞いた」という情報があるくらいで、参考になりません。

 そうこうしているうちに、家人が、それなら作ってあげるわよと、ありがたいご託宣。「ご飯を炒めたあと刻んだマツタケを入れ、最後に醤油をさっと差して火を止める」と、電話で教わったことをそのまま伝えて作ってもらいました。結果は絶品です。マツタケ独特の香りに、おこげのような風味、口に入れると、しゃきっとしてこの上ない美味しさに仕上がりました。しばらくのあいだ、フライパンに香りが残るほどでした。思わず、伊那の方向に向ってご馳走さまと手を合わせましたが、せっかくの作品を写真に撮り忘れたことがこころ残りです。

 余談ですが、伊那に赴任する際に、カレーの作り方を書いてもらい、初めて自分で作ったときのことです。メモに書いてあったとおり作業を進め、あとはじっくり煮込む、となったところで、やれやれ一安心と缶ビールをプシュッと開けて、飲みながら鍋を眺めていたところ、白煙が上がり始めました。おおっと、あわてて火を止めたのですが、焦げ始めていて時すでに遅し、鍋底のこげを削ぎ落とすのにずいぶん苦労をした覚えがあります。  こうした失敗経験がありながら、貴重なマツタケを使ってチャーハンを作ってみるという、根拠のない無謀な挑戦は結局しなくてよかったと、家人に感謝しなくてはなりません。餅は餅屋に、チャーハンはカーチャ・・・に、と納得したしだいです。

 マツタケが豊作の年は、様々なキノコも豊作といいます。秋の初めに出るリコボウ(ジコボウ)やアミタケ、サクラシメジ、イッポンカンコ(ウラベニホテイシメジ)、中盤のコムソウ(ショウゲンジ)やシメジ類など、今年はどれも豊作だったようです。また、キノコには、括弧書きで記したように呼び名も地域により様々で、食べる、食べないの違いさえあります。どの本を見ても猛毒と書いてあるベニテングダケでさえ、県内で戸隠や佐久地方の一部では食べていたようで、煮立てて塩漬けにし正月に食すると聞いたことがあります。しかし、キノコに命をかけるほどの意味はありません。良い子でなくても決してまねをしてはいけません。

 私は、以前独りでよく山に入り、春は山菜、秋はキノコ採りを楽しんでいましたが、ここ10年ほどは時間もなく、ときおり知り合いの方からいただいて山の味覚を楽しんでいます。例えば野菜を自分で栽培せずに人からいただいた場合、「玄関で野菜が採れた」と上手な言い方を耳にします。キノコを山に採りに行かずにいただいた場合は、さしずめ「玄関山でキノコが・・・」ということになるのでしょう。ありがたいことです。

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