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ホーム あの山の見える場所(平成26年8月)

あの山の見える場所(平成26年8月)

今回も、とてもローカルで、しかもマイナーな話題です。
市の西に壁のように聳える北アルプスは、後立山連峰の峰々を中心に、市街地から間近に仰ぎ見ることができます。しかし、北アルプスは幾重にも重なる奥深い連山で、それぞれに重なり合う山が、ある場所からはよく見えるのに、それ以外の場所からは全く見ることができないということが多々あります。その典型が、大町では針ノ木岳と烏帽子岳です。

まず、針ノ木岳は、日本三大雪渓の一つと言われる長さ3キロ近くにも及ぶ急登の大雪渓があり、登山者に根強い人気の標高2821メートルの山です。毎年6月の山開きの日に、近代登山の黎明期にこの山域の開発に情熱を燃やした百瀬慎太郎氏にちなむ慎太郎祭が行われることでも有名です。また、針ノ木小屋が建つ痩せ尾根の針ノ木峠は、2536メートルの高所にある日本で二番目に高い峠です。一番でないのが奥ゆかしいところです。さらに、戦国時代の1584年の厳冬期に、富山の城主佐々成政公が決死の思いでこの峠を越えたという、「さらさら越え」の故事でもよく知られています。

市街地の北西に聳える爺ヶ岳から眺めますと、急峻な雪渓の上にピラミッド型の端正な山容を真正面に望むことができますが、市街地からはその姿を全く見ることができません。後立山連峰の主稜線の上に位置しているにもかかわらず、麓からは前に立ちはだかる蓮華岳(2799m)の陰になってしまい見えないのです。

この山を眺めることができるのは、市街地を離れ南に下り、常盤地区、社地区の南部とお隣の池田町、松川村方面からで、蓮華岳と北葛岳(2551m)の間の鞍部に端正な姿を現します。高瀬川右岸の通称アルプスパノラマ道路を南下しますと、途中までは前山の鍬ノ峰(1623m)の陰となり、宮本橋南の500メートルあたりでようやく見え始め、ちょうど市域の最南端あたりの場所から良く眺めることができます。さらに、市街地の東山をたどり、美麻支所やテレビコマーシャルに出ていた味噌蔵まで行くと、里山の林越えに見えることを知りました。

針ノ木岳(近景)高瀬川沿いから

針ノ木岳(近景)高瀬川沿いから

針ノ木岳(遠景)高瀬川沿いから

針ノ木岳(遠景)高瀬川沿いから

もう一つの隠れた名山、烏帽子岳(2628m)は、花崗岩の白く尖ったピークが印象的ですが、東洋一のロックフィルダム、高瀬ダムの湖畔から一気に急坂を上るブナ立て尾根の急登がきつく、またそれが玄人好みの山となっています。この山は、市街地では北部の借馬地区から東の三日町にかけて、また、国道沿いには市街地バイパスの北端南借馬交差点以北の沿道から、西方に見える高瀬渓谷の谷口の奥に望むことができます。恥ずかしいことに、私が始めてこのことを知ったのは、わずか4年ほど前のことです。
自分で車を運転してあちこち走り回り、隠れた山が見える場所を探し当てるのも山の楽しみ方のひとつです。

烏帽子岳(近景)借馬付近から

烏帽子岳(近景)借馬付近から

烏帽子岳(遠景)大原町付近から

烏帽子岳(遠景)大原町付近から

このほか、市街地の東に立つ鷹狩山(1167m)の山頂からは、大町市域の南端に聳え立つ槍ヶ岳(3180m)の特徴的な穂先が望めます。また、富山の名峰、立山雄山の尖ったピーク(3003m)が後立山連峰越しに見えることが、鹿島槍ケ岳冷池山荘、爺ヶ岳種池山荘の山小屋のご主人柏原一正さんによって「発見」されました。平成23年11月のこの貴重な発見のニュースは地元の大糸タイムス紙上でも報道され、話題になりました。実写した画像をUPした詳報は、冷池山荘のホームページに掲載されています。
なお、ちなみに鷹狩山は、北アルプスの大パノラマが楽しめる展望台としてだけでなく、最近は「恋人の聖地」として、恋愛の成就にも“ご利益”があるパワースポットとして売出し中です。

先日、信濃大町観光大使にご就任いただきました平林克敏さんは、大町市にお生まれになり、中学生のころから山に関心を持ち、大町高校、同志社大学の山岳部で活躍され、さらに社会人登山家として輝かしいご功績を築いてこられました。とりわけ、日本初のエベレスト登頂を目指す登山隊の隊員として、1970年登頂に成功されています。

平林さんは、幼いころから大町で山に親しみ過ごした経験を振り返り、「少年期の山の仲間たちの心に宿っていたのは、山への憧れや冒険心、知りたいという欲求といった、少年期から青年期にかけて誰もが抱く、ごく自然な思いに突き動かされて山に登っていた。」と回想されています。そして、「この自由度の高い遊びの場は、一方で生命の危険を伴う場でもあり、死ぬような厳しい行動と体験は、いやがうえにも人を厳しく豊かに育てるもの。」と語っておられます。至言です。

観光大使就任の記者会見で、平林さんは、気に入っているふるさとの山はどこですか、との質問に、奥まったところにあり謎めいている針ノ木岳と気品のある鹿島槍ヶ岳の名をあげました。きっぱりと、一瞬のためらいもなく答えられた姿が印象的でした。私もこの二つの山がダントツに好きです。

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