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日本山岳画協会大町展の開催(平成26年7月)

7月19日、リニューアルして館内の展示を一新した市立大町山岳博物館で、日本山岳画協会の絵画展が開催されました。この企画展は、大町市制施行60周年・合併10年と中部山岳国立公園指定80周年を記念しての特別展です。オープニング式典は、協会会員のうち17人もの先生方にご出席いただき、和やかな雰囲気に包まれ開かれました。当日の朝、北アルプスは雲に覆われていましたが、梅雨空の合間には、開会を祝うかのように蓮華岳や爺ヶ岳が眼前に姿を現し、出席の皆さんを喜ばせてくれました。

山岳画協会の展覧会が山岳博物館で初めて開催されたのは、昭和59年のことですが、以来30年もの長い間にわたり博物館との交流を続けていただいています。山岳画協会は、昭和11年に日本山岳会を母体に結成され、創立には中村清太郎氏をはじめ、足立源一郎、石井鶴三、茨木猪之吉の各氏など、わが国の近・現代の美術史に名を残す錚々たる画家が参加され、その伝統が脈々と今日に伝えられているとお聞きしました。

さて、テープカットの後、参観者が展示室に移り、お待ち兼ねのミュージアムトークが開かれました。画家の先生方ご本人から、作品の解説をいただくのですが、一堂に展示された49点もの作品はまさに壮観で、渾身の力作の前に立ちますと、山に対峙する画家の「情熱」が強く伝わってきます。
一点一点、解説をいただきながら鑑賞していきますと、遠望する遥か彼方のゆったりした山容を描写した作品も印象深いのですが、山に肉薄して岩肌の質感まで描き出す作風の絵にも圧倒されます。展示室のエントランスに飾られた代表幹事を務められる武井清先生の大作「春の穂高連峰」は、5月、いまだ春の気配さえ感じられない厳冬期そのままの北アルプスを、画面いっぱいに描ききった迫力に圧倒されます。精緻な描写は大自然の威厳さえ感じます。
また、千葉潔先生の「南岳からの穂高連峰」は、隣にそびえる南岳から望む奥穂高岳の夏の山襞の陰影が印象的で、奥行きの深い画面が魅力です。まるで、彼我の峰の間に横たわる空気の色さえ描き出しているかのようです。

武井 清 氏 「春の穂高連峰」 F100 油彩

武井 清 氏 「春の穂高連峰」 F100 油彩

ところで、山を理解する方法、あるいは山への接し方、楽しみ方には様々なアプローチがあると思います。例えば体育会系の私は山登りです。中学校の集団登山以来、今日までたびたび山登りを楽しんできましたが、登山という行為は、「自分の体を山に運んで体感する」、直接的な山の接し方です。雨に祟られた山行では、こんな日に山に来なければ良かったと思うことも無きにしもあらずですが、山の中にどっぷり身を漬けますと、より深く山の様相を知る機会になります。
一方、山岳画を見るという行為は、絵の鑑賞を通して「自分の心を山に運ぶ」ということであり、山を対象物として客観視できる分だけ、じつは山を純粋に体感することになるのではないか、とも考えます。

そこで、山に登りそこで絵も描く山岳画家は、自分の体とともに心も山に運ぶという、いわば体育会系と文化系の精神の両方を併せ持つということになりますが、ご自身ではこのことをどう考えているのでしょうか。会場で、解説を終えたばかりの青木惇子先生に思い切って伺ってみました。先生は小柄で控えめな方で、今回は、「上高地」とヨーロッパアルプスのモンテ・ローザ付近の「シヤンボリック」の2点を出展されています。先生は、はじめ山が好きで山登りに熱中し、次いで山スキーにものめり込み、やがて齢を経てから絵を描き始めたそうです。しかし、この二つの行為は、先生の中では一体として不可分で、矛盾など一向に感じておられないご様子でした。う~ん、私は絵も写真も素養がないので、先生のお話の真意を理解できずに終わってしまいましたが、重い登山装備に加え、絵の機材を背に山に登る先生の姿を思い浮かべ、それだけでも尊敬の念を抱きました。

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