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ホーム 国営アルプスあづみの公園渓流レクゾーンの開園(平成25年10月)

国営アルプスあづみの公園渓流レクゾーンの開園(平成25年10月)

 2眼レフと呼ばれる国営アルプスあづみの公園の2つの区域のうち、大町・松川地区に新しいゾーンが開園しました。北アルプス山麓の山ふところから流れ出る乳川(ちがわ)の清流沿いに整備が進められてきた「渓流レクリエーションゾーン」14ヘクタールが完成し、9月28日に待望の開園式が開かれました。

 北アルプス特有の風化花崗岩の真っ白な砂と巨石が魅力の、乳川の沿岸に広がる森林空間を活かした区域が加わり、大自然を体感するこの国営公園に新たな体験の楽しみが増えました。この追加開園に伴い、大町・松川地区だけでも104ヘクタールが完成したことになります。

9月28日の開園式


 アルプスあづみの公園は、日本を代表するアルプスの山岳景観とその裾野に広がる安曇野の風景を活かし、「自然と文化に抱かれた豊かな自由時間活動の実現」を目指して、国の公園事業として平成2年に整備がスタートし、まず、16年に堀金・穂高地区が、また、21年に大町・松川地区が相次いで開園しました。公園が立地しているこの地は、それらの地域にない雄大な自然と、日本
の原風景ともいえる田園風景が売り物です。開園以来、この8月までの来園者数は両地区あわせ320万人を超え、ここを訪れる皆さんに自然を存分に体感いただく癒しの空間を提供しています。また、地域にとっても、観光を始め経済全体に大きく寄与しています。

 自然の豊かな渓流、乳川の両岸には、川の流れにより形成された河岸段丘や巨石群などの特徴的な地形がそのまま残っています。森の中に完成延長2.4キロメートルの新しい散策路の脇には、古い時代に洪水で押し出された推定160トンもの「大岩」と呼ばれる巨岩や、江戸時代に石材を切り出したノミ跡が残る「船形岩」などが、古さびてどっしりと鎮座しています。
 開園式典に続いて行われた園内の内覧会で、散策路をご案内いただいた国土交通省の望月一彦公園事務所長さんは、自然の事象はもちろん、自然と人間がここで共生してきた歴史にも造詣が深く、専門的な見地から説明を伺いました。

 この川を舞台に営まれてきた人々の暮らしと自然との共生の歴史遺産として横溝堰(よこみぞせき)が今に残されています。堰とは用水路のことで、乳川本流から分岐して開かれたこの水路は、江戸時代初頭の1650年ごろ(慶安年間)、新田開発の農業用水と飲料水を確保するために開削された素掘りの水路です。かつて飲み水にも活用されたのは、清らかな乳川ならではのことです。
全長1.6キロメートルもあり、そのうち公園内に700メートルが残っています。そして、今なお現役の水路として下流の西山地区周辺の水田に用水を供給しています。完成以来350年ものあいだ、この水を活用して美味しい米作りが行われてきた長い歴史が感じられ、年々、堰の手入れに力を尽くしてきた先人のご苦労がしのばれます。

 そもそも川というものは、生き物のように洪水のたびに気のおもむくまま流れの行く先を変え、安定した流路を維持するのは大変なことです。今日まで変わることなく水路が保たれてきたのは、開削工事の際の水筋の見極めが確かであったからだと、見学に付き添っていただいた公園サポーターの浅香公夫さんは解説してくれました。先人の知恵の深さに感心してしまいます。

 

 横溝堰は、すでに自然の川のように森の中にすっかり溶け込み、清らかな流れを保っています。流れが安定しているため、岩の上には草が茂り、石は見事に苔に覆われて、さらに、この水路の川底だけは、石の表面が赤みを帯びています。水にわずかに含まれている鉄分が歳月を経て石に付着し、この水路の長い歴史を教えているのです。紅葉シーズンの真っ盛りには、水面に映るもみじとともに、石の渋い赤みも鮮やかさを増すことでしょう。

 このほかにも、人々の営みを教える遺産として、江戸時代後期の1816年にこの地を襲った大洪水のあと、村人が総出で築いたという全長280メートルの堤防が残されています。建設機械などなかった時代、人の手だけでも、川石を一つずつ拾って運び、築き上げたその古い堤は、公園内にも120メートルあるとのことです。

公園内を流れる横溝堰
(平成25年9月28日)


 渓流ゾーンには、たくさんのツツジの群落が自生していて、これも公園の見どころの一つです。
春には次々に花を付け、散策する人をきっと出迎えてくれると思います。春真っ先に花が開くミツバツツジは鮮やかで上品なピンク色、続いて咲くヤマツツジは真っ赤、最後に咲くレンゲツツジは華やかな朱色で、花がひと回り大きく別名「鬼つつじ」とも呼ばれ、親しまれています。

 この渓流レクリエーションゾーンでは、引き続き予定されている森林区域の整備とも相まって、公園サポーターや地元の皆さんと連携した、自然と様々に触れ合う体験の場が提供されています。悠久の流れを見せる横溝堰と同様に、これからも末永く、ここを訪れる多くの皆さんに親しまれ、愛されていくことを願っています。

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E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp

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