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ホーム おきな草の里(平成19年5月)

おきな草の里(平成19年5月)

 皆さんはおきな草という草花をご存知でしょうか。
 最近はすっかり定着している山野草ブームの中でも、人気のトキソウやアツモリソウなどに比べると比較的地味な位置にいますが、自然のものは一時の乱獲などにより「幻の山野草」として絶滅が危惧されるようになっています。
 「チゴチゴ」とも呼ばれ、やや赤みを帯びた深い紫色の花が、産毛のような白い繊毛に覆われた茎の先にうつむくように咲いて、愛らしさを感じます。古老にお聞きしますと、私たちの大町市では、北アルプスから流れ出る高瀬川の広い河川敷に、それはもう踏んでしまうほど沢山に咲いていたとのことです。

 4月早々のある日、「おきな草の里祭り」が開かれ、私も伺って見ました。敷地いっぱいに、それは見事な数の花が咲いていました。市内南部の須沼地区の有志の皆さんが大勢集まり、「おきな草の里づくりの会」を組織して、河川敷のマレットゴルフ場の周りに何年もかけておきな草の群落の復活に取り組んでいるのです。まるでわが子を慈しむように、ようやく大きくなった1株、1株を大切に育てていらっしゃいます。

 会場には大勢の方が見物に訪れ、花を楽しんでいらっしゃいましたが、やはりお目当ては無料で配られたポットの苗でした。実は私も会長の横山さんから一鉢頂き、家に帰って早速庭先に植え替えたのですが、特有の直根が長く伸び、なるほどこれは川原の乾燥にも耐える、強い草花だなと納得いたしました。
 後日、実家の父にこのことを話しましたところ昔を懐かしがり、連れ立ってふたたび訪れてみました。この日は、最初にお邪魔したときには見なかった白い花も幾株か咲いていて、改めておきな草の可憐さに見とれてしまいました。

 さて、最近になって庭に植えたおきな草が花を終え、ひっそりと白い綿毛になってきたのに気づきました。この白い綿毛の姿がちょうど髪を振り乱した「翁」に似ていることが名前の由来となっているのだそうです。
 茎の先に付いた真っ白な綿毛。父は昔、この綿毛を集めて固まりにし、ボールにして遊んだことがあるそうです。隔世の観があります。
 間もなく綿毛が風に舞い、種を飛ばす時期になります。この綿毛が、お隣近所あちこちの庭先に降り立ち、思いがけないところに芽を出してくれることを心ひそかに願っています。

 

5月10日 市長室にて

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