本日ここに、令和8年大町市議会9月定例会が開会されるに当たり、一言ごあいさつを申し上げます。
はじめに、本定例会は私が市長に就任いたしまして初めての定例会でございます。8月臨時会におきまして、私の市政運営における所信の一端を申し上げましたが、改めまして私の基本方針について申し上げ、議員各位をはじめ市民の皆様方の深いご理解とご協力を賜りたいと存じます。
今私たちは、変化のスピードが速く、予測が立たない、いくつもの要因が絡み合い、正解が判然としない不確実な社会の中にいます。
こういう時だからこそ、市民の皆様の声に耳を傾け、市政を運営していくことが必要です。現在の大町市を俯瞰したとき、人口減少、少子高齢化などにより、多くの市民の皆様が地域の活力が失われていくとの思いを強く持っておられます。
それでは市民の皆様が思い描く希望の持てる未来とは何か、選挙活動を通じ、多くの皆様との対話の中からいただいたお答えは千差万別でした。
子育て世代への優遇策、子ども達の教育環境づくり、若者が暮らし・働ける地域づくり、企業の誘致、人口増加策、地域公共交通の充実、高齢者の生きがいづくりなど、思い描く希望のタネは様々です。
臨時会の提案説明でも、今の大町市の課題に対し、何か一つの解決策で打開できるものではなく、私は課題にしっかりと向き合い、全般的な取組みが必要と申し上げました。
人口減少がもたらす、これまで当たり前だった暮らしの変化を悲観的に捉えるのではなく、「新しい始まり」だと捉える必要があると考えています。
人口が減っていくということは、私たちがこれからの暮らしをより柔軟に、新しく描き直すチャンスが生まれているということです。
初登庁の就任式のあいさつの中で職員に対し、人口減少は課題ではあるが裏を返せば新しい産業やチャレンジの芽でもあるという発想の転換をしながら、大町市が先陣を切って取り組んでいきたい、新しいことに果敢に挑戦する、新しい答えをみんなで探しながら前に進めていく組織風土を作っていきたいと伝えました。
こういった考えのもと、私は次の4つの観点に沿って取組みを進めてまいりますとともに、関連する事業の進捗状況等も併せてご説明申し上げます。
一つ目として、人口問題に向き合い効果的に施策を実行することであります。夫婦が共に子どもを育てる社会と、子育て世代に優しい環境づくりに取り組んでまいります。
保育機能の充実につきましては、今後の公立保育所のあり方に関し、大町市保育所等のあり方検討委員会でご検討いただき、本年6月に公立保育所を現在の7園から3園に再編するなどの一定の方向性がまとめられた報告書が示されました。先月には市の諮問機関である大町市子ども・子育て審議会から報告を踏まえた公立保育所の再編等の答申を受けました。
市といたしましては、高まる未満児保育のニーズに的確に対応し、待機児童が発生することなく、子どもの生きる力を育む保育の実現を図るべく、本答申を尊重し、あわせて保育環境の整備と保育の質の向上に向けた施策を推進してまいります。
なお、この内容につきまして、本定例会全員協議会においてご報告することとしております。
小学校再編に伴う施設整備につきましては、現在、大町南部小学校のトイレ洋式化工事及び体育館照明LED化工事を進めており、また、スクールバスロータリーの整備工事につきましては、来年4月の使用開始を目指して工事手続きを進めております。再編に伴いご不便をお感じになる方もおられますが、再編によるメリットを実感いただけるよう、さらなる学校教育環境の改善を図ってまいります。
また、選挙公約にも掲げました中学校の給食費無償化につきましては、子育て世代への負担軽減を図るため来年4月からの実施に向けて検討を加速してまいります。
二つ目は、成長につながる産業の振興発展に取り組むことであります。
企業誘致につきましては、市内遊休地に着目し、大町の強みを活かし、戦略的に企業を誘致できますよう力を尽してまいります。また、市内の中小事業者には、DX等を活用した生産性向上や担い手確保と事業継承などの支援に取り組んでまいります。
中心市街地の賑わいづくりにつきましては、駅前の旧アルプスロマン館を活用した「INFO&REST 36LOUNGE(インフォアンドレスト サンロクラウンジ)」を先月オープンし、山岳やまちなかの情報発信を行うとともに、自社製品のPRなどに利用いただくスペースのトライアルマーケットの他、おおまぴょんのアクリルキーホルダーのガチャを設置しましたところ、販売開始から1ヶ月余りで完売となりました。多くの方に足を運んでいただき、この場所からさらに市内店舗への回遊や地域の情報発信につなげるため、引き続き、様々な工夫、取り組みを行ってまいります。
先月18、19日の両日に「ひとが輝くまちづくり事業補助金」を活用し、中心市街地で開催されたイベントには、2日間で述べ3,000人以上が来場されました。普段は閉まっている店舗を一斉にオープンし、アウトドアブランドや体験型ワークショップなどが出店するイベントで、山と繋がりの深い市の魅力を発見していただき、今後大いに期待を抱かせる機会となりました。民間主導の中心市街地の賑わいの創出や、ブランドイメージの向上に繋がるこうした取組みには、今後も積極的に支援してまいります。
また、第6次総合計画の策定に合わせ、改定を目指している「大町市中心市街地活性化ビジョン」では、これまでの取組みを継承しながら、新街なみ環境整備事業計画のテーマである「歴史と日常の営みが息づく街へ」の実現を図るため、ハード面の街なみ環境整備と合わせ、ソフト的な取組みの計画として「人」中心のまちづくりを進め、「水」「北アルプス」「食」「歴史」といった、まちなかの地域資源を活かしながら、目指す将来像「にぎわいの日常化」の実現に向け策定を進めてまいります。
地域資源を活かした観光振興につきましては、立山黒部アルペンルートの入込数が、4月15日の開通から先週20日までに累計で55万4,000人余となり、前年同期比で約2万6,000人、5.1パーセント増の状況であります。
これまで一般には開放されていなかった黒部奥山の雄大な自然などを体感できる「黒部宇奈月キャニオンルート」ツアーが10月2日から始動します。今シーズンは4つのコース設定、約2,700人の入込が予定されております。このうちの1コースは、大町市内で前泊し、出発する行程となっており、予約も好調と伺っております。
黒部宇奈月キャニオンルートの始動を契機に、富山県や黒部市をはじめとする関係機関と連携をしながら、さらなる誘客と地域の魅力向上に取り組んでまいります。
また、本年6月に導入された県の宿泊税に関しては、市へ配分される交付金を活用し、登山情報の充実や多言語対応を含めた観光情報発信の強化を図るとともに、白馬エリアと大町温泉郷を結ぶシャトルバスを運行し、訪日外国人をはじめとする観光客の利便性向上と宿泊誘客の促進、滞在型観光の推進に取り組むこととし、本定例会に補正予算を上程しております。
持続可能な農業・林業の振興につきましては、経営体の強化や農産物の輸出等による販路拡大、森林環境譲与税や県森林づくり県民税を活用した森林整備と松枯れ対策の強化、地域材の活用等に力を尽してまいります。
三つ目として、大町で暮らす市民の皆様の満足度を高めることであります。
地域で増加している空き家はしっかりと受け止めなければならない課題であると認識しております。現状、組織として危険度のある特定空き家対策を危機管理部門で、利活用可能な空き家につきましては、移住施策と合わせまちづくり部門で担っております。それぞれ重要な視点ではありますが、増加する課題に対しては更なる組織としての対応が必要と感じております。空き家流通の現状把握と共に今後しっかりと検討・対応してまいります。
市民の皆様が日頃からスポーツ、文化、芸術に親しむ機会を確保することは重要です。信濃大町アーティスト・イン・レジデンス事業につきましては、「今日は複数(トゥデイズ)」をテーマに、旧大町東小学校を活用した「オープンスタジオ」を11月27日から29日の3日間開催を予定しております。
また、北アルプス国際芸術祭につきましては、今月20日の実行委員会の席上、次回の開催に責任をもって取り組むべく、私が実行委員長に就任いたしました。選挙活動中にいただいた多くのご意見を踏まえて市民の皆様のレガシーとなるイベントになるよう取り組んでまいります。
公共施設の適正管理につきましては、「受益者負担の基本的な考え方」に基づき取り組みを進めているところです。物価上昇の局面においては公共施設利用の料金、また公共料金に関しても負担増を求めていかざるを得ない時代を迎えています。市民の皆様にご理解をいただくとともに、老朽化施設の修繕にも着手してまいります。本定例会に運動公園テニスコートの人工芝張替に係る工事費として3,000万円を計上しております。施設の劣化度や利用状況等に応じて、順次整備を行い、適切な維持管理に努めてまいります。
自治会活動につきましては、役員の担い手不足、自治会加入率の低下など課題は山積しています。市民活動サポートセンターを自治会支援のための総合窓口として位置づけ、自治会運営の課題や先進的な取組みに関して情報交換を行う自治会長同士の懇談会を開催するとともに、広報の配布回数や募金の集金方法の改善など自治会の負担軽減にも取り組んできているところであります。
時代に即した自治会活動を推進していくためには何が必要かをしっかりと考え、地域の実情に応じた支援を図ってまいります。
四つ目として、財源確保や事業のスクラップ&ビルドを徹底し、行政のプロ意識を徹底した組織づくりに取り組みます。
ふるさと納税の取り組みを強化してまいります。まずは庁内での研究会を立ち上げ、他市町村の事例等を徹底的に研究するほか、部・課を超えた横の連携を図り、地場産業の振興に努めてまいります。ふるさと納税は財源確保策の一つではありますが、納税を通じて大町市を知っていただき、関係性を築き、大町市に足を運んでいただくといった観点がより重要と考えています。そういった思いを職員と共有し、大町市のPR、発信に努めてまいります。
行財政改革の更なる推進とDX化の推進につきましては、行政手続きにおける市民の負担軽減と利便性の向上に加え、業務の効率化を図るため「書かない窓口」や「行かない窓口」などの整備を進めており、来年1月からの運用を予定しております。デジタル技術を活用して行政の仕組みやサービスを根本から変革し、持続可能な効率的・効果的な自治体運営を心掛けてまいります。
市民に信頼される市役所づくりにつきましては、市長への手紙やメールなどによるご意見やご要望に、真摯に耳を傾け、迅速に対応するとともに、改革により市民の皆様に負担が増える場合などは、これまで以上に丁寧な説明を心掛け、合意形成を図ってまいります。
以上が、4つの観点に沿った主な内容の説明となりますが、具体的な政策の実現につきましては、地域懇談会の開催など多くの市民の皆様のお声をお聞きした上で、策定を進めております総合計画に盛り込むとともに、新年度予算に反映させてまいりたいと存じます。
議員の皆様とは未来に希望のもてる大町をつくっていこうという思いは同じであると考えております。今後の施策推進に当たりましては、議員各位の忌憚のない御意見を賜りますとともに、より一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。
次に、その他の市の取組み状況につきまして、ご説明申し上げます。
先月28日に発生いたしました令和8年熊本地震被災地への支援につきましては、被災地の深刻な状況を重く受け止め、合同災害支援チーム「チームながの」の一員として、今月15日から21日まで、職員1名を熊本県宇城市へと派遣しました。現地では今なお厳しい避難生活や混乱が続いており、オール信州の体制のもとで、人的・物的な協力を継続してまいります。
今回の熊本地震は、決して他人事ではなく、本市におきましても、本年4月に最大震度5強を観測する地震に見舞われたことは、記憶に新しいところです。行政として大規模地震のリスクに対し初動体制の備えをさらに強固なものにしていかなければならないと考えております。
こうした危機感のもと、10月25日に本市が主会場となる「長野県総合防災訓練」は、極めて重要な位置づけとなります。この訓練を通じて、関係機関との緊密な初動連携体制をさらに強固なものへと磨き上げるとともに、市民の皆様一人ひとりに対する防災意識の啓発、家庭や地域における「自助・共助」の備えをいっそう推進してまいります。
有害鳥獣対策のうち、クマ対策につきましては、当市におきまして残念ながら6月に人身被害が発生しました。まもなく迎える秋の実りである農作物の収穫期は、年間で最も人身被害のリスクが高まる時期となります。
日常生活圏における人身被害のおそれが極めて高い場合には、十分な安全対策のもと、市町村長の判断による緊急銃猟が可能となります。当市では、実施に伴うリスクを最小限に抑えるべく、DXを活用した「緊急銃猟対応管理システム」を開発・運用し、事態が生じた場合を想定した訓練を重ねているところです。訓練を重ねてクマなどの麻酔銃での捕獲等に関して、制度上の位置づけの曖昧さが明らかになったため、昨日、長野県林務部長に、大町市と小諸市が発起人となり設立した「信州ガバメントハンター協議会」のメンバーとともに、進言書を提出したところでございます。
今後も市民の皆様の安全確保を最優先とし、安全かつ迅速・適正に対応できるよう取り組んでまいります。
近年の気候変動などの影響により、千葉県の事例を見るまでもなく、全国的に集中豪雨等の水害が激甚化しております。本市においても、国の国土強靭化対策を踏まえ、国・県・住民等と連携・協働し、ハード・ソフト一体となった流域治水の取組みを加速化・深化させてまいります。
また、地震も含め全国的に頻発化している災害につきましても、市民の生命と財産を守るため、防災及び災害対応における体制強化とともに、災害時の「第1次緊急輸送路」として、また迅速確実な救急搬送の確保のため、地域高規格道路松本糸魚川連絡道路の早期整備に向けた取組みを推進してまいります。
政府は、物価高騰に伴う国民への負担軽減対策として進めております消費税減税におきまして、その減収額は年間で約4兆3,000億円と試算しており、このうち地方の減収見込み額が地方消費税で約1兆円、地方交付税で約7,000億円であると言及しています。この額をベースに当市への影響額を試算いたしますと、地方消費税交付金で約1億200万円、地方交付税で約1億9,500万円の計2億9,700万円程度と見込まれるところです。
地方消費税交付金は福祉や子育て支援、医療や介護などの社会保障経費などに、また、地方交付税は、市民生活において多岐にわたる必要不可欠な行政サービスに活用しております。いずれも行財政運営を行う上で欠かすことのできない貴重な財源でありますことから、減収分について国の責任において確実な財源措置を講じていただくよう、全国市長会等を通じて国に対して強く求めてまいります。
本定例会では、補正予算のほか、令和7年度一般会計及び特別会計、企業会計の決算のご報告を申し上げることとしております。
一般会計補正予算の1億4,091万円余の主な内容につきましては、決算剰余金処理のほか、国の令和8年度補正予算で成立しました重点支援交付金を活用して、中東情勢の影響により価格高騰している診療材料等に対する支援として病院事業会計への繰出金1,000万円を予算計上しております。
そのほか、先月17日の大雨は、市の東部において時間雨量30mmを記録し、主に社地区や美麻地区において、市道の路肩崩落や路面洗掘、農地及び農業用施設への土砂の流入など計13箇所が被災しました。被害箇所の復旧修繕のため、820万円余を予算計上しております。
また、今月7日から8日にかけて発生した大雨については、常盤地区沓掛で時間雨量61mm、平地区高瀬では41mmを記録し、市域の広範囲にわたり市道の法面崩落や林道の路面洗掘、農地及び農業用施設への土砂の流入など計50箇所が被災しました。緊急を要する箇所については、速やかに応急対応を実施したところですが、道路及び水路機能の確保及び二次災害の防止等を図るため、所要の費用につきまして、追加議案の上程を予定しております。
決算の状況につきましては、いずれの会計におきましても健全性が維持できる見通しとなり、財政の健全化を判断する各種指標は、暫定値ではありますが実質公債費比率8.0パーセント、将来負担比率36.2パーセントとなり、比較可能な令和6年度数値を用いて分析しますと、類似団体の中では中位程度を保っているものでございます。また、市税の収納率は99.4パーセントと前年度を0.4ポイント上回りました。
引き続き歳入の確保を図り、計画的な維持管理と経費節減に努め、健全で安定的な財政運営に努めてまいります。
本定例会にご提案申し上げます案件は、事件案件1件、条例案件6件、予算案件6件、決算案件10件の合計23件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。
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