大町市に魅力を感じ、Iターン・Uターンして地域に根ざした仕事に従事されている
皆さんや、大町市の地域資源を活用した仕事を起業された皆さんを紹介します。

蛍の商品写真
お店の中には何種類もの瓶詰が並びます。

 手作りの味を追求して数々の瓶詰を作っている「手作り食品 蛍」。加工所に併設されたお店には、常時15種類以上の瓶詰が並んでいます。「大町黒豚みそ」や「青唐こしょうみそ」など、大町の食材を生かし、食品添加物や化学調味料を一切使わずに作られた商品は、市内の土産店でも好評です。今回は、そんなこだわりの加工所を切り盛りする紺野桂子(こんのけいこ)さんにお話を伺いました。

――いろいろな種類の瓶詰を作っていらっしゃるのですね。どうしてこのお仕事を始められたのですか?

アップルベリーグラッセの写真
やさしい甘みがうれしい「アップルベリーグラッセ」

紺野さん 前々から瓶詰に興味があったんです。瓶詰って中身が見えるし、保存料を使わなくても、殺菌と脱気をすれば長期保存ができる。家庭の保存食作りの知恵ですよね。平成元年から10年間くらい食堂をやっていて、その前は東京電力さんの社員食堂にいたから、ずっと食にかかわる仕事をしてきたのだけれど、体にいいものを食べてもらいたいというこだわりはずっとありました。食堂をやめて次に何ができるか考えたとき、地元産の素材を瓶詰にして大町の特産品を作りたいと思ったの。

 大町はリンゴの里だし、何かリンゴでいいものをということで、まず最初に作ってみたのが「アップルベリーグラッセ」。これはリンゴを8等分して芯を取り、ブルーベリーと一緒に煮たもので、サクサクした食感が自慢です。おいしいし、お砂糖も控えめだから安心して食べられると好評をいただきました。

 それから、大町の山沿いは猿が出るんですよね。畑で何を作っても猿にやられてしまうけど、コショウだったら大丈夫。それならコショウを使ってみようと思って作ったのが「青唐こしょうみそ」です。これは郷土食でもありますしね。今は常盤の農家さんが作ったものを使っています。

――なるほど、そんなお話を伺うと、同じ物をいただいても一層おいしく感じますね。お店のこだわりをもう少し教えてください。

紺野桂子さんの写真
瓶詰にこだわる紺野桂子さん

紺野さん まず、地元産の材料にこだわっています。「大町黒豚みそ」や「信州黄金シャモ欲ばり味噌うめえずら」も、大町産の豚や鶏と信州みそを使っていますし、山菜、エゴマの葉、ブルーベリー、渋柿、キウイなどを使った瓶詰も作っています。例えばエゴマの葉は青ジソとペーストにしたり、渋柿は渋みを抜いてジャムにしたりね。地域のいい素材に出会えたら積極的に瓶に詰めてみたいと思っています。

 人間、生まれた時から食べることが始まるわけだけれど、現在認可されている食品添加物は、1500品目以上あるんですって。気を付けていても、加工食品の添加物を口にしないでいるのは難しい時代なんですよね。添加物の多くには発がん性などのリスクがあるといわれています。私が作る瓶詰は、家庭の味を大切に、できるだけ体にいい物をという思いを込めて、全品添加物や保存料は不使用で作っています。

 夫を二年前にがんで亡くして、一層、食材の大切さを痛感しています。

――食の安全へのこだわりと、食べる人への愛情が伝わってきますね。紺野さんは大町の生まれと伺いましたが、紺野さんにとって大町ならではの食の魅力って何でしょうか。

紺野さん 大町は四季がはっきりしていて、春なら春、夏なら夏の旬のおいしさが味わえます。雪も食べ物をおいしくしますよね。寒さに耐えた野菜の甘いこと。この辺りの雪の中で育った葉物と、南の雪が少ないところで育った葉物を食べ比べてごらんなさい。違いに驚くと思います。そしてその旬のおいしさを閉じ込めて、長い間楽しめるのも瓶詰の楽しみなんです。

店内の様子
仕事場には参考資料やお礼の手紙などが…

 私の瓶詰は、県外にも熱心なファンの方がいらして、大町に来ると決まって買い求めてくださいます。大町の旬のおいしさを、多くの方に伝えていきたいと思っています。

――そうですか。ここで暮らしていると普段はあまり意識しませんが、言われてみるとおいしい食材がたくさんあることに気付きますね。それでは、今後の事業展開や新たな取り組みがありましたら教えてください。

紺野さん 今年の新商品はこれ。「ブルーベリーと麹のソース」です。麹から甘酒を作り、ブルーベリーと合わせて加熱するだけ。砂糖を一切使っていませんが、やさしい甘さで体にもいい。塩麹に漬けた鶏肉のソテーに添えるとものすごく合うんですよ。甘いジャムにしたかったら、はちみつやオリゴ糖を混ぜてもおいしいんです。

料理の写真
新しいアイディアはすぐに試してみます。

 長野県はブルーベリーの生産量が日本一。その中でも大町は主要な生産地です。ここの土地に合っているんでしょうね。ブルーベリーはポリフェノールたっぷりで目にもいいといわれます。もっと大町産のブルーベリーを紹介していったらいいですよね。

 二年くらい前だったかしら、市の保健センターで、「食育応援団」というのを募集してね、仲間に入れてもらいました。そんなことを通じても、食べることの大切さ、ちょっとしたアイディアや手作りの物の良さを伝えていきたいと思っています。先ほどの「ブルーベリーと麹のソース」もそうなんですが、出来合いのお惣菜を買ってくるのではない、手作りの食事を助けるようなヒントを提案していけたらいいですね。

――ブルーベリーと麹なんて、意外な組み合わせに驚きます。楽しいアイディアで家庭の料理も可能性が広がりますね。最後に、市民の皆さんに伝えたいことがありましたらお願いします。

紺野さん そうですね、大町の食材はおいしいっていうことかな。地元産のおいしいものを、たくさん食べてもらいたい。それから、若い人にも、添加物の怖さや原材料表示の見方を知ってほしいですね。一手間掛けた手作りの料理は、やっぱり安心でおいしいですよ。

喫茶のイメージ
道路沿いの緑の看板が目印

企業情報

組織名
手作り食品 蛍
代表者
紺野 桂子
創業
平成10年
郵便番号
〒398-0001
住所
長野県大町市平1163番地1
電話番号
0261-22-8476
ファックス
0261-22-8567
ウェブサイト

大町市平の高瀬入交差点を西へ

手作り食品 蛍の所在地

ファクトリーハウス内部写真
旬の味を閉じ込めたペーストは
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商品はいーずら大町特産館でも
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次回は山仕事創造舎を紹介します。