大町市の地域資源を活用したコミュニティビジネスを紹介します。

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県道31号長野大町線沿い「おやきセンター」の看板が目印

 大町市美麻農産物加工所の指定管理者を担う千見おやき生産組合。ここで作る「おやき」は「ぽかぽかランド美麻」や大町市社会福祉センターの「喫茶すまいる」などでも販売され、人気を博しています。この「おやき」の生産と販売を行っているのが千見おやき生産組合です。大町市美麻で20年前から始まった地元住民によるコミュニティビジネスをご紹介します。

 千見おやき生産組合の組合長、下條秀則さんにお話を伺いました。

――千見おやき生産組合を始めたきっかけを教えてください。

下條秀則組合長の写真
お話を伺った下條秀則組合長

下條さん 組合ができたのは平成4年です。地元住民35人が集まって、旧美麻村が建てた建物を借り受けてのスタートでした。地元のお年寄りが集まり、仕事ができる場を確保したいという思いからでした。実は、今の施設が建つ以前、ここにあった縫製工場が廃業してしまい、従業員が職をなくすという事態に直面しました。新しく何か始めるにしても、皆さん年齢が高くなり、細かい作業が難しくなっていましたし、第一線を退いた人でもできる仕事はないかと探しました。それで行き着いたのが「おやき」でした。生まれながらにしておやきに親しんだ世代なので、誰でも作れましたからね。

 昔はこの辺りでは、どこの家でも夕食はおやきでした。麻の根を乾燥させて燃やし、灰焼きにするんです。灰には麻の根が最適で、ふっくらとしていてちょうどいい具合に蒸し焼きになるんです。今は麻の根は手に入りませんが、あの味は忘れられません。

 工場の従業員の中に、おやきによる地域活性化の成功モデルとして有名な「小川の庄」の権田市郎社長と懇意にしていた人がいたことで、おやきの製造を請け負うことができました。以来、小川の庄向けを中心として、数多くのおやきを作っています。

――何種類くらいのおやきを作っているのですか?

商品サンプル写真
真ん丸でふっくらした形状が千見おやきの特長

下條さん 種類は全部で24あります。リンゴ、チーズかぼちゃ、ひじき、十五穀粉を使った物、俵型をした物など、新しい物も増えています。多くは小川の庄向けの物で、ここで販売しているのは、そのうちの7つの定番商品(あずき、かぼちゃ、野沢菜、切り干し大根、しめじ野菜、なす、にら)です。春には旬の味として蕗味噌を出しますが、これが結構な人気なんですよ。

――お仕事にはどのようなこだわりがありますか?

おやき手作り写真
熟練の技で手作りされるおやき

下條さん 「完全手作り」しているところですね。具材を包む皮の材料は、決まったものが小川の庄から支給されます。他の工場とも味を一定に保たねばなりませんから。でも、数ある工場の中でも、完全手作りで製造しているのは、うちくらいのものです。表面がつやつやで、ふっくら丸いおやきができます。手間は掛かりますが、口当たりの良さは手作りならではです。丸める作業だけでなく、全体の工程も合理化せず、丁寧に製造しています。それが最終的に味の差になるんです。

――大町市の地域資源の魅力はなんでしょうか?

下條さん 新鮮な材料が身近にあることでしょうか。野沢菜を中心として、ニラ、ナス、カボチャなど地元で調達可能な野菜は、すべて地元産です。新鮮でおいしいものが多いですからね。また、普段は意識はしていませんが、おやきは地域の食文化そのものですから、それも地域資源と言えると思います。

――今後の事業展開を教えてください。

下條さん お客様にご満足いただける商品を確実に納めていくことが重要と考えています。はるか昔には直接販売の比率を上げることを考えたこともありましたが、販売先のチャンネルを持っていない私たちにはリスクが大きすぎるという判断に至りました。自分たちで直接売るとなると、販売先を開拓しなければなりませんし、大口の注文に応えられる設備も必要になります。さらに在庫の保管場所や売れ残りの心配もしなければなりません。我々のような規模では無理な話ですよ。

工場内写真
地域住民が元気に働く工場

 無理に背伸びをするよりも、地域の中の雇用の場を守っていくことこそが、大事なのだと考えます。ここで働いている人の年齢は、23歳から86歳と幅広く、美麻だけでなく大町から通っている方も複数います。ここを設立したときの原点を忘れないよう、地に足の着いた運営を心掛けます。私も歳を取って、これまで通りに動く事がつらくなってきました。それは、他のスタッフも同様で、人材の確保も今後の課題となっていくでしょう。

 まぁ田舎ならではの悩みなんですが、田植えと稲刈りの時期や運動会などの学校行事、お祭りやお葬式の時には従業員の休みが重なってしまうんですよ。食品なので加工については待っていられない。それで人の手配には毎回苦労させられてます。一番大変なのは工場長なんですが…

――最後に、市民の皆さんに伝えたいことをお聞かせください。

下條さん 昔ながらの食文化を守って行くことの大切さを分かってほしいですね。いろりを使った昔ながらの伝統的な方法で作る「親子おやき教室」の開催を計画しています。おやきが各家庭の中で我が家の味として代々引き継がれていくような地域を残していきたいと思っています。

社訓額装写真
事務所の壁に掛かる社訓

企業情報

会社名
千見おやき生産組合
代表者
組合長 下條 秀則
創業
1992年12月
郵便番号
〒398-9101
住所
大町市美麻28728-1
電話番号
0261-29-2271
ファックス
0261-29-2272

 

千見おやき生産組合さん関連マップ

 
千見おやき生産組合直売所の外観写真
千見おやき生産組合直売所
営業時間9:00〜17:00(不定休)
ぽかぽかランド美麻の外観写真
ぽかぽかランド美麻でも販売
(日帰り温泉&宿泊施設)
大町社会福祉協議会の外観
大町市総合福祉センター内の喫茶すまいる(週末営業)で販売中

次回は「農産物直売所かたくり」と「JA大北社支所 農産物直売所」を予定しています!

関連リンク

○ながの創業サポートオフィス(長野県中小企業振興センター)

○信州人キャリアナビ(長野県商工労働部労働雇用課)

○中小企業相談所ホームページ(大町商工会議所)

○定住促進ホームページ(大町市役所)