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ホーム 市長の部屋 市長と語ろう!まちづくり懇談会 平成26年度 くわの峰ファーマーズ倶楽部(平成27年1月)

くわの峰ファーマーズ倶楽部(平成27年1月)

くわの峰ファーマーズ倶楽部の皆さんとのまちづくり行政懇談会の概要です。

日 時 平成27年1月31日 午前11時から午後1時
場 所 清水公民館
懇談した団体等名 くわの峰ファーマーズ倶楽部
出席者 くわの峰ファーマーズ倶楽部15名
市 側 市 長  牛越徹
(進行・記録)
情報交通課広聴広報係長 北澤 好泰

1.開会

○くわの峰ファーマーズ倶楽部 平出会長

2.あいさつ

○牛越市長

3.懇談事項

くわの峰ファーマーズ倶楽部からの質問・要望事項について

○北澤広聴広報係長
 あらかじめくわの峰ファーマーズ倶楽部より要望事項をいただいておりますので、牛越市長から順次ご回答いたします。 

質問事項1

まちづくり行政懇談会の開催のきっかけを教えてほしい。

○牛越市長
 大町市では、平成19年から10年間の計画、第4次総合計画の後期5カ年計画が平成24年度から始まっています。その平成24年度に人口減少や少子化を食い止めるため3つの重点プロジェクトを立てました。
 その一つ目が市民の皆さんが心豊かに住んでいただくこと、そうした市民の皆さんを見て、また、地域のすばらしい環境を見てUターン・Iターンで移り住んでいただく定住促進。二つ目が働く場の確保と農業も含めた産業振興。三つ目には東日本大震災や神城断層地震がありましたが、高齢者福祉も含めた安心・安全に暮らせる地域づくりの3つを立ち上げて3年前から取り組みを強化しています。
 そうした中で地域の皆さんのアイデア、積極的な地域づくりへの参加というものが無くてはならない。市民の皆さんの協働と市政への参加によって、なんとか行政も地域の再生に向けて力を入れて行くという環境にあります。
 私どもも地域にお邪魔して自治会単位での地域懇談会をお願いしています。
 また、それぞれの専門分野で取り組みをいただいている団体の皆さんとの意見交換を行政懇談会と位置付けて、本日申し込みいただいたように機会をいただき市の政策を整理してご説明申し上げ、意見交換と積極的なご提言をいただく機会として開催をお願いしたところです。

質問事項2

地方の自主的な取り組みを国が後押しする新型交付金について(16年度より本格実施)国の総合戦略を受け、各自治体には「地方版総合戦略」を策定する努力義務が課される。地域の元気につながる期待はあるが国の支援獲得などをめぐって自治体間の競争が激化し格差拡大を招く懸念もある。このことについて、大町市ではどのような方針で策定するのか?
また、農業の位置付けはどうなるのか?

 ○牛越市長
 全国市長会が年に何回か開かれ、私はその全国市長会の中で地方財政委員会の副委員長という役をいただいています。新年度の予算編成では、国も地方も税制改革、先に平成27年10月に消費税10%に上げるのを先送りしたこともあり、地方税制も大きく変更を加えられました。こうしたこともあり、財政委員会と税制委員会で共同会議を昨年暮れと今年の1月に行いましたが、昨年暮れの会議の際には石破大臣がわざわざ出席して、地方創生ということを強力に進めるという講演があり、1月の会議では国の地方創生担当の平副大臣、総務省からは事務次官、地方財政局長、地方税制局長の講演をいただきました。その中でも地方創生は非常に大きな役割を担うという政策ことをお話されました。

 また、「全国が均衡ある発展を」ということで取り組んできた第1次から4次、5次までの総合開発計画によっても、東京を中心とした大都市圏への一極集中が止まることがなかったことを反省して、今回の地方創生の取り組みは最後の取り組みであり「今回でも東京一極集中が更に進み、地方に暮らす基盤がさらに崩壊するようであれば日本が沈没してしまう」という危機感を持っての取り組みであることを私は感じています。そうした中で、大町市でも積極的に様々な取り組みを行っていきたいと思っています。
 国は、昨年11月に、まち・ひと・しごと創生法という法律を制定しました。その法律に基づき暮れに閣議決定された中には、まち・ひと・しごとの創生という観点から国においても長期ビジョンを立て、地方においても県や市町村の段階で長期ビジョンを作るよう努めるとなっています。その中には、地方の人口に対する基本目標をビジョンとして定めることや、総合戦略を平成27年度中に作成するということになっています。市でも早速作業に取り掛かっています。
 今回の総合戦略というものが、元気回復のための処方箋、具体的な施策をきちんと盛り込み実践に移すということで、市としても緊張感を持って議会の皆さんとも相談しながら計画を作り実行していきたいと思います。

 本格的な始動は、平成27年4月以降になりますが国では平成26年度補正予算として国会に提案している中に、新しい交付金というものを設けてあります。その交付金には2つの方向性があり、地方消費税を8%に上げたことが地方の経済の足を引っ張り景気が冷え込んでいることに鑑み、地方の消費を呼び起こす取り組みで皆さんにも恩恵が行き渡るようプレミアム付商品券を平成26年度3月までの補正予算として議会に諮り議決をいただき、実際には繰り越しということで平成27年度から本格的に行うということになります。地域の消費を喚起するための交付金と、本格的な地方を創生して行く定住促進など様々な雇用の場や産業を振興し地方を創生する施策について交付するという2つの交付金からなっています。
 この2つの交付金を合わせて大町市に対しては、1億200万円が交付される予定です。そうしたことを受けて商工会議所の会頭、副会頭さん方と意見交換をしました。現在、商工会議所にご協力いただき、子育て事業として若いお父さんお母さんに商品券を交付する事業を行っています。また、平成21、22年には地域振興券というプレミアム商品券を発行しましたが、さらに国の交付金を活用し更に規模を拡大してプレミアム商品券を出して行きたい。現在、市の単独施策としてお子さんが3歳と5歳になったとき3万円の商品券をお祝いとして申し上げている事業では、商品券は金券をそのまま申し上げるものでしたが、今回のプレミアム商品券は1万円の商品券を例えば9千円で買っていただくというような、千円分のプレミアムがついたものを買っていただき市内で使っていただくということで市内の消費を喚起し、使っていただく皆さんにもメリットがあるというものを考えています。金額は検討中ですが差額分は市が国の交付金を活用して負担する仕組みを考えています。
 制度設計をしっかりして市民の皆さんに使いやすく購入していただきやすい仕組みを考えてまいります。
 また、創生先行型では、仕事づくりやUターン・Iターンなどを促進する施策を議会の皆さんのご提言をいただきながら内容を点検し強化することに使っていきたいと思います。

 市では昨年末に地震が発生し、美麻地区の8つの集落で大きな被害が出ました。特に川手という地区は、大きな被害の出た白馬村に直線距離で2㎞と近い場所でした。市全体として半壊は6戸、一部損壊が60棟ほどありまして人が住んでいる家屋には国が50万円、半壊の家屋には県が50万円の補助金、半壊未満には国・県の制度がないため、市としてまず半壊には県の補助金に上乗せして50万円、一部損壊であっても40~20万円まで被害の程度に応じて市独自の補助金を立ち上げ、お手元にお配り申し上げております。
 また、美麻地区は傾斜地に敷地を造成して家を建てているところが多く、100年、200年と住んでいる宅地そのものが地割れしたり地崩れしているお宅が随分あり、そうしたお宅にも50万円相当の住宅再建のための市独自の制度を作りました。
 なぜ、そこまでして白馬村や小谷村より手厚い支援の仕組みを作ったかと申しますと、急傾斜地に住んでいただいていて、そこで住宅を修理して住み続けていただくことが何よりも大事。美麻地区や大町の平場に住むということになりますと地域の集落が成立しなくなります。それだけは避けなければいけないので地域の再建のためにも、そこで生活を再建していただきたいという願いを込めて12月の議会で補正予算を組ませていただきました。

 また、12月末までの除雪費が1億7千万円にもなり、市の当初予算は9千万円しか計上していないので既に足りない状況になっています。後で議会に報告して承認していただく専決という仕組みの中で補正しましたが、1月に入っても雪が降り続け既に1億円以上使っています。今日までに2億7千万円ほどの支出があります。これについても3月の議会に報告させていただき承認をいただくこととしていますが、まだ2月3月が残っていますから今年は、除雪費が3億5千万円くらいまで行ってしまうのではと思っています。
 そうしたこともあって地震対策や除雪対策で市の出費は非常に多くなっています。財源は財政調整基金を取り崩して活用させていただきながら行っております。しかし、国からは補助金がありませんので、特別交付税という最後に財政調整を行う総務省の財源が残されています。それについて先日、東京の総務省に行き幹部の皆さんに直接お願いしてまいりました。
 これからは、地方創生の国の手厚い対策の中で、恒久的、中長期的に市を支えていく具体的取り組みを強化していくというのが、ご質問の、地方の自主的な取り組みを国が応援する仕組みをどのように活かしていくか、ということの回答になります。

 その中で、農業がどのように位置付けられているかということは、国の大方針の中で、農業を含む、地域で生活できるような産業の振興、あるいは新しい事業の創設が提案されるもの考えています。
 また、市でも様々な産業の一部として農業の振興に取り組んでいく方針を固めています。
 具体的な調整は市の各部で原案を練っており、県でも同時進行で進めて地域戦略会議というところで、地方事務所・建設事務所などがいっしょになって意見交換しながら県の計画や県から応援いただけるものなどをにらみながら作業を進めいきたいと考えています。

質問事項3

大町市は温泉郷、小中学校の給食等、地産地消の条件に最も条件が揃っていると思うがもっと積極的に地元の農産物を使用してもらうもとはできないか?

 ○牛越市長
 地域懇談会などでも、こうしたご質問をいただき市としても農家と温泉郷などへの具体的な橋渡しについて調整してきました。そこにはいくつか課題がありました。
 学校給食などでの使用について学校の栄養士と懇談会を行い、地元の農産物の使用について検討をさせたことがあります。そこでの課題の一つに給食現場では食材を大量に使用すること、機械で皮むきなどを行うので規格がある程度整ったものが欲しいなど、一定の規格で一定の数量、そして、時間通りの納品が必要との課題が出ました。それを農家の方にお伝えしたところ、「それほどまとまった数量は難しい」、「年に何回も納品するには数量が足りない野菜がある」という話しが出でました。その解決には、規模拡大の必要があると結論に達しましたが、その後検討が中断となっております。
 温泉郷も同様に地域の食材を使うとアピールになるので本当は使いたい意向がありますが、数量や規格の揃った納品、大量に仕入れることによる低価格での仕入れなどの宿題が出ています。
 そうした中、本年度から市の農林水産課でもこうした橋渡しの具体的な検討を始めています。私も農林水産課に、例えば大町産のジャガイモを1年間通じて使用するのが難しいなら、納品しやすい収穫の時期に納品することも部分的に定着すれば広がり始めるので、温泉郷や学校給食で時期ごとに使用する品目と数量を調査するよう伝えました。
 その年間の使用の中で、大根200本、ネギ100束というように、その時期に間に合うように生産していただくということで、現在の生産体制の中で突き合せができるのではないかと考えています。

 農林水産課では、大北地域農業と観光の連携会議を作り、そのメンバーには商工会会議所、JA、農業経営者協会の若手のみなさんに代表で入っていただき検討していただいております。温泉郷全ての施設での使用は無理だとしても、収容規模が200人とか500人のホテルや旅館で使うことができないかなど、具体的にできることから始めるということで進めていただいております。
 ただし、どのような仕組みが作れるか、課題解決などの見通しはついてはいません。

 以前、地域懇談会でお邪魔した際にも、行政として橋渡しの仕組みを作ってほしいと意見が出た時もお話しましたが、農家の皆さんなどが温泉郷の旅館に、この時期ならこのくらいは納品できるというような直接売り込みをするのも手っ取り早いのではないかとご提案したところであります。
 行政に言われて渋々検討するよりも、農家の皆さんがこんな良いものを作っているという熱意が伝われば、うちだけでも使ってみようかということに繋がっていくのではないかとも考えています。

質問事項4

酒米についても常盤地区では栽培が盛んであるが地元酒蔵(大北管内)と直接契約で価格を安定させる取り組みを検討してほしい。

 ○牛越市長
 今の酒米の常盤地区の生産状況を調べてみますと、JAを通じて長野県全体へ出荷していただいております。
 なお、一部では地元の薄井商店、新聞報道でもありましたが雪中埋蔵という1月に仕込んだお酒を雪の中でじっくり熟成させおいしいコクのあるお酒になるということから長年にわたり取り組まれていますが、こちらでも直接契約で一部買い付けているものがあるそうです。
 市でもいくらでも橋渡しをいたしますが、皆さんの熱心な取り組みにより、より道が開けるのではないかと思います。

 新潟県の八海山という酒蔵に北陸信越ブロックの市長さん達と視察に行った時に、八海山で使っている酒米の中に「トドロキワセ」という品種が展示してありました。この品種は、常盤出身の等々力さんという方が品種改良を重ね作られたお米であったことを思い出しました。
 この「トドロキワセ」は、現在は長野県内でもほとんど生産されなくなっていますが、私がこの品種について質問したところ、杜氏の方が大町市で生産されていて、もともとは酒米としても八海山で使用していたが今は酒米の麹を作るためだけに使っている。しかし、このお米は八海山にとっては非常に大事な酒米の種類ですと説明がありました。さらに、美山錦を大北農協を通じて仕入れているとも説明がありました。北陸信越ブロックの市長さん達の前でそうした説明をしていただき大変うれしい思いでした。そうした先人の皆さんも自分達が作ったおいしいお米を、酒米としてもいろんなところに売り込んできた歴史があるということをつくづく感じました。

質問事項5

新規就農者、大規模化する担い手等に対する助成等、大町市としての取り組みは?

 ○牛越市長
 国も市も様々な支援策を講じ、わずかですが実績も出始めています。
 新規就農につきましては、国の青年農村就農給付金という制度があり、県の就農支援センターや市の農林水産課が窓口となっています。一定の条件はありますが年間150万円まで5年間給付するもので、営農の技術を学んだり環境を整えるという制度です。これについては、現在2人の方が受給していただいております。この2人は常盤地区の若い方です。
 また、新年度に向けて新たに2人の方が申請をいただいております。この2人のうち1人は常盤地区の方です。こうした新規就農を希望する方をどんどん受け入れ、その輪を広げて行きたいと考えています。

 また、新規就農に対する市独自の補助金制度もあります。就農の立ち上がりの資金として、資材の購入に対し1/2の補助率で限度額30万円。つまり60万円の仕事をしていただく取組みに対し補助するもので、本年度に1人、平地区に移り住みワイン用ブドウを始められた方に活用いただいております。
 また、担い手への助成は国の助成策がありますので、お気軽に市の農林水産課にお問い合わせいただきたいと思います。

質問事項6

米のナラシ対策について、平成27年度から交付対象者が認定農業者とあり面積要件はなくなるとあるが、認定のための農業経営改善計画で5年後の所得目標が設定されているが、ある程度の面積は必要とされるのでは?

 ○ 牛越市長
 米のナラシ対策の対象者は新年度から交付対象者が、認定農業者あるいは集落営農者に絞られることになりました。市が掲げております経営改善計画の所得目標500万円は高いのではないかとも考えておりますが、これも国の制度ですが、ハードルが高くなり使いにくい制度になった感がありますが、様々な制度を活用しながら運用していきたいと考えています。
 もし取り組んでいただけるのであれば、水稲を中心として収益性の高い園芸作物などを組み合わせて経営を進めていただければ、安定的な生産に繋がっていく可能性が出てくると思います。
 市の農業再生協議会を開き、今年の国・県から割り当てのあった目標面積を引き受けていただきましたが、大町にある水田面積の2/3しか耕作できない状況にあります。残りの1/3をできるだけ有効活用して収益性の高いものや直取引が可能な野菜や花き、園芸作物、果樹などに広げていただければありがたいと思います。
 私の集落に、退職してこの10年ほどでネギを作り、その品質が非常に良いということで、直売所で引き受けていただいています。10年あればいいものが作れるようになるという技術の伝統がこの地域にはあると思います。
 農業委員会では、岐阜県に例のあるクリの栽培をしてはどうかと考えています。クリは、消毒を1回するだけで後は自然に実がなるということで、岐阜県で栗菓子店を経営されている方を招き講演会を行いました。もし、皆さんで取り組んでいただいて良いクリが実れば全量引き取るというお話しもいただきました。ただし、山際にクリを植えるには熊対策も同時に考える必要があるので検討しているところです。
 新わい化のリンゴの苗やワイン用のブドウの苗については、以前から市の補助金がありますが、平成27年度からクリの苗についても品目を追加したいと詰めているところでございます。
 平成27年度からの米のナラシ対策は面積要件がなくなりますが、事実上ハードルが高くなるのでうまく制度を活用できるよう市も知恵を絞ってまいりますので、農林水産課へ提案やご助言をいただければありがたいと思います。 

質問事項7

国の農業政策については、政策が不安定なため安定した農業経営ができない。これから人口減少、高齢化等で離農する人が増える中、受け手となる人たちがどこまで規模拡大してやってくれるか不安。

○牛越市長
 人口減少や高齢化により離農する人を減らす特効薬はありませんが、基本的には大きな面積を集約して機械力を最大限活用しながら共同で稲作をすることにより生産コストを下げ、競争力の高い体質を作ること。また、集約化することにより労働力を集中させ、労働力が必要な田植えや稲刈りの季節以外にはほかの作物を栽培するなど、年間を通じて農業生産ができる仕組みを作る取り組みから広げてはどうかと思います。
 そうした中で、直接支払制度、多面的な機能支払、中山間地の直接支払いこうした制度を活用して農地を荒らすことなく維持することで、農地の保全や水源、水路などを維持保全し地域で農業を守る、あるいは地域社会を守る仕組みを作っていくことが重要であると思います。そのためにも、農地の集約、規模の拡大というものを集落営農や様々な担い手、野口ファームのような企業的な経営母体に集約し、まかせる体制づくりをしたいと思います。
 また、この地域でしっかりやらなければならないのは、サラリーマンが60代で家の営農を継いで75歳くらいまで現役で農業をやるという文化が根付いています。私も泉地区のソフトボールチームに所属しており、ナイターで試合が終わり公民館に帰ってきますと、ソフトボールの話しは初めの20分くらいで、残りの時間は営農講習会になります。退職して農業を始めて1年目の方は「この前、田んぼで何かをまいていたけれどあれは何をまいていただい?」といような話しになります。チームには地域の農業の中核を担う方が何人かいらっしゃいますので、詳しく説明をしてくれます。こうした地域の中核を担う方だけでなくて退職に伴い本格的に農業を始める方も地域の農業を支える大事な支え手だと思います。ただし、自立するのが難しければ営農技術を教わったり、機械を共同で購入したりというような緩い共同体も地域の効率的な農業に織り込むことが必要だと考えます。
 私は松崎で生まれ農家の次男でしたが、当時、近所に中核的な農業をしている方が集落内のほとんどの作業を引き受けていたのですが、集落内の作業を全て引き受けるのが難しくなり、館ノ内や農協にお願いすることになりました。中核的な農業の人にみんなが頼り切ってしまい、その人が農業からリタイヤすると集落内のほとんどが農業をすることができなくなってしまうというようなことにもなります。
 さきほども申し上げたように小規模であっても農業を受け継いでいく仕組みも集落ごとに考える必要があるのではないかと考えます。大規模な農家に集約することを一つの柱にしながら、それを補う自立的農業をする方が大勢残っていただくことが大事であるというように思います。
 それから、農業行政は猫の目行政ですが、国の目指しているのは担い手農家に集積していくことと、効率的な農業経営ができる農家を多数維持していくことであります。県全体や大町市でもそうですが、中山間地や傾斜地に農地を展開しているところでは、大規模集積そのものが難しいので様々な担い手が組み合わさっていくことが大事な要素ではないかと考えています。耕作放棄地が広がり営農の熱意がなくなることのないよう地域全体で支えることができる仕組みを考えています。
 常盤地区は、ほ場整備も進み水路など農業基盤の整備も進みしっかり守っていただいていますので、様々な国の制度や市のきめ細やかな応援策も使っていただきながら、一生懸命農業に取り組んでいただき、行政も一緒に力を尽くしていきたいと思います。
 これからも、農業が地域を支える大きな柱であることは変わりません。
 食料自給率を維持するということは最近国でもあまり言われなくなってしまいましたが、海外から牛肉やきのこなど、どんなものでも調達できる時代になってしまいました。海外から日本に技術を移転して生産していることも事実ですが、中国が年10%近い成長を続け国民の所得水準が上がれば、日本に向けて供給されていた食材が確保できるという保証がなくなる可能性があります。
 やはり、日本でも一定の規模で生鮮食料品や基本的な米などは相当部分作っていくことができるようにしておくことは国策であるべきであり、農業行政の根幹に据えるべきであると思います。国がそうしたことを実現できるよう地方からも声を上げていきたいと思いますので、皆さんのお力添えと応援をお願いしたいと思います。 

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 農地の荒廃も問題だが、鳥獣害も深刻。山に近いこともあり果樹の被害が多い。特に猿害は効果が上がらない、行政としてはどのように対応してもらえるのか。
○牛越市長
 有害鳥獣対策全体を見てみますと、県内でも里山の間伐は清水地区が県内で一番早く取り組んでいただきました。地方事務所とも連携を取りながら地域みんなで施業する計画を立てていただき、地権者との合意形成をして境界を確定し、そこから搬出した材の収益を分配してコストをならす仕組みは、県内で一番早く始まり、さらに泉地区から二ツ屋地区まで広がり野生動物から人の営みとの境を明確にする対策を続けてきました。
 これが里に動物が近づかない一つ目の作戦だったのですが、それだけでは解決しないので、二つ目には守るべき農地には有刺鉄線や電気柵を設ける仕組みも織り込んできました。さらにはモンキードックの取り組みも進めていますし、市にも追い払い要員を置いて対応しています。こうした対策を講じるなかこの10年行ってきましたが、しかし、これで確実でなないということが現状です。
 これに加え昨年は熊が出没し、人に危害を加える可能性がたくさんあるという時には駆除するしかなく、檻を設置し捕まった熊を最初は山に帰していましたが、食べ物が山にないと同じ熊が2度、3度と里に来てしまう。あるいは熊が民家のすぐそばのクリの木に熊棚を作って3日も4日もいて、ケガをされる事故がありました。このように、どうにもならない場合は、駆除も織り込まなければならないと思います。
 熊の駆除については、平成14年、18年、22年、今回と、4年ごとに山の実成りが悪い年に出没の多発が発生し、駆除せざるをえないため、大北猟友会の皆さんに報酬としてお礼をする制度を作っています。
 猿については、毎年のことではありますがモンキードックで山へ追い返してもモンキードックを配置していない所にまた出てきてしまうとか、ちょっと目を離すとまた出てきてしまうとか、男性でなく女性が一人で畑にいるとすぐそばまで出てきてしまうという状況です。そこで、平成27年度は猿の追い払いに力を入れようと猟友会の皆さんへの予算を増やし、重点的に駆除しなければいけない所はしっかり駆除を行う予定です。一番厄介なのは猿なので、さきほど申し上げた防除対策を組み合わせながら市としても取り組んでまいります。とりわけ電気柵については、業者さんに委託し設置したものに補助金をお出ししていましたが、一昨年から制度を変更し、設置する際の資材に対して補助を申し上げ皆さんで設置していただき維持管理をしていただくこととしています。

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 ふるさと農道の除草について、毎年7月に草を刈ってくれていたが昨年刈ってくれないので聞いてみたら、予算がないので今年から刈れないと言われた。
 なぜ予算がないのか聞くと、刈った草を片付けるのに重機で集めて捨てるのに費用が掛かったと言われた。国営公園のアクセス道路なので市の管理する部分は除草してもらいたい。道路のために土地を売る時に市の担当者は除草してくれるという約束だったが、時代が変わり担当者が変わると知らないということになってしまった。市は言ったことはやってもらいたい。
○牛越市長
 ご迷惑をお掛けして申し訳ありません。
 まず、市道を管理する道路構造令という適正なルールがあります。市の担当とよく相談してみていただきたい。
市道であれば管理責任者である市が行うのは間違いないが、延べ800km以上の市道があり、そのうち600km程度が除雪の区域になっています。
 草刈りも除雪と同じ考え方ですが、主要な道路から行うこととしています。
 やはり、主要な道路や観光客をお迎えする道路が最優先で行うべきと考えます。私から担当課にはしっかり伝えておきます。
 一方、村内の生活道路や農道などが市道に格上げになったような所は、従来は地元で草刈り等をしていただいていたのが、高齢化などで徐々に市でやってほしいということが多くなっています。こうしたことが予算が足りなくなる背景にあります。できるかぎり地域の皆さんのご要望に添えるようがんばっていきたいと思います。

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 長年続いてきた減反をいよいよ撤廃するということで、どんどん作っていいと言っても田んぼに戻せる状態ではないほ場が多い。ますます米価が下がるなかある程度の生産調整を行うことを行政としては考えているのか。それとも、販売業者JAに任してしまうのか。
○牛越市長
 去年と今年の次年度産の作付面積の調整の時に、北安曇地方事務所が管内5つの市町村に目標面積の割当てを相談しました。松川村の方々は口を揃えて県内10広域の中で、佐久地域では7%もオーバーして割り当てを守らない所があり毎年ルール破りをしていることを問題としました。私も同様に問題提起していました。こうしたことが行われている背景には、五郎兵衛新田という新田開発した所などでおいしくいい米が採れるという自信があるということがあります。そうゆう地域がある以上この制度は崩壊すると思っていましたが、やはり30年産米以降は減反を廃止することになりました。その時に、日本中で同調しなければますます米の価格が下がることになります。米余りの中では、コシヒカリでさえ1万129円と、おいしい米でさえこんなに下がってしまいました。
 こうした考えの他に、米の価格が下がってもコシヒカリは一定程度維持でき、それ以外はもっと下がっているという考えがあります。おいしい米を目指すことも一つですが、おいしい米を作れば売れるという保証がないというのも事実なので、昔の食糧管理制度に戻ることはないとしても、みんなで合意形成できるような生産数量目標を頭に置いてやっていくしかないと思います。そうでないと「高冷地や、おいしい米が気候変動により採れなくなったところは諦めていくしかないのか」、「弱肉強食を何の調整もしないで認めていいのか」という、日本の農政の根本にかかわることとして、価格の問題も含め生産不利地であっても保護していく。それが日本全体の農業を守ることにつながると思います。 

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 米の生産については、農協が主導権を取る必要があるが、まだ農協は何も言っていない。これから農家どのように米を作ったらいいか、営農計画を立てるにも1年くらい前から立てる必要がある。農業再生協議会ではどのような論議がされているのか。
○牛越市長
 年末に開催した大北5市町村の農業再生協議会では、国の資料が示されました。そこには参考として5%の米生産削減の数値がありました。会議の席上、私がこの参考数値について質問したところ、農水省としては今回配分したものより5%程度削減すれば、剰余米が出ないのではないかという意図の数値ということでした。
 この管内で一番大きな集荷業務を担っているJA、藤巻商店、玉喜屋さんのような中間業者などみんなで配分が決まったものを6地区ごとに経験値で調整いただいていますが、全国的な受給の状況を見極めて作業ができるのは農協しかないと思います。国は農政改革の槍玉に農業委員会と農協中央会を上げていますが、やはり、全国的な調整機能は農業分野でもなければいけないと思います。現場の声をよく聞いて農業者が組合員として参加する仕組みとして全国組織の中で見通しを付けていくことがひとつの方向だと考えます。

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 学校給食で米飯給食はどの程度行われているのか。
○牛越市長
 大町市は、長野県下でも米飯給食の回数は一番進んでいます。
 私が市長に就任した時は週5日のうち3日が米飯給食で、その後、地産地消を進めようとパンの給食は週1回か隔週2回にして、米飯給食を増やし地域のおいしいお米を子ども達に食べてもらっています。

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 その給食は、自校で給食を作っているが、献立は市に管理栄養士がいて各校にも栄養士がいて統一して行っているのか。
○牛越市長
 八坂小中学校が外部委託しておりますし、すべて統一しているわけではないと思います。 

○くわの峰ファーマーズ倶楽部
 栄養士の考えで、地元の物の使用には違いがあると聞いている。行政としても指導をしてほしい。
○牛越市長
 3年ほど前に教育委員会を介して、打ち合わせをした経過があります。
 栄養士さんも、人間は地域の水と地域の食材を食べて健康になるという考え方で統一されていますが、機械で調理を行うので調理員の皆さんのことも考えて、なかなか改善できないというところもありますが、もう少し熱をいれて指導していきたいと思います。

懇談のお礼の言葉

○牛越市長
 今日は、地域課題や大町市の農業をどうしていくのか、地域の元気をどのように再生していくのかという観点で意見交換させていただきました。
 また、7項目のご質問もいただきお答え申し上げたわけですが、全体の解決につながるアイデアがある訳ではありません。これからも、国・県の支援を受け大町市として取り組んでいけることを最大限取り組んでまいりたいと思います。
 市民の皆さんの参加と協働「行政にまかせておけばいいではなく、自分達もできることから地域づくりにも頑張るぞ」という皆さんの応援をいただきながら進めてきております。市内でも地域づくりの活動や芸術文化、スポーツの活動が徐々に盛んになってきております。
 一方、少子化や高齢化が進んでいるなかで地域のみなさんのお力をいっぱいいただきながら行政もがんばってまいりますので、清水地区の皆さんにもお力添えを賜りますようお願い申し上げます。
 本日は誠にありがとうございました。

4.閉会 13:15

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