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ホーム 市長の部屋 議会での市長あいさつ 平成29年 平成29年3月定例会市長あいさつ

平成29年3月定例会市長あいさつ

 本日ここに、平成29年大町市議会3月定例会が開会されるにあたり、一言ごあいさつを申し上げます。

 はじめに、昨年12月22日、新潟県糸魚川市において、市街地飲食店のコンロの火の消し忘れを原因とした火災が発生し、最大瞬間風速27.2メートルという南からの強風により、焼損棟数147棟、焼失面積約4ヘクタールという大規模な災害となりました。糸魚川市では、直ちに避難所を開設するとともに、午後1時に災害対策本部を設置し、迅速な対応にあたられたこともあり、幸い人的被害は、一般市民2人と消火活動にあたった消防団員15人のけがに止まりました。強風下で水利の便が悪い中、糸魚川市消防本部並びに、北アルプス広域消防本部を含む近隣からの消防応援隊及び地元消防団による懸命な消火活動に対し、深く敬意を表するところでございます。
 私も翌23日に糸魚川市にお見舞いに伺った際に、災害対策本部会議に同席させていただきましたが、この大火災の中で、消防水利の確保や初期消火にあたる消防団の充実など、防災力の強化が極めて重要であり、さらに類焼を防ぐ建築物の構造や緑化による延焼の遮断などに配慮した街づくり、住民相互の普段からのつながりを生かす地域づくりが大切であることを、あらためて痛感したところであります。8月までに復興計画が策定されると発表されておりますが、被災地の皆様の1日も早い復旧、復興を心から願うところでございます。

 10年後の市の将来像を「未来を育む ひとが輝く 信濃おおまち」とする大町市第5次総合計画につきましては、12月定例会において議決いただきました基本構想に基づき、引き続き、具体的な施策を盛り込む5年間の前期基本計画の策定を進めております。
 策定にあたりましては、将来像を実現するための基本理念を「郷土や文化に誇りを持ち心から地域を愛するひとを育てる」として、ひとづくりに重点を置いた各種の施策につきまして、総合計画審議会や議会総合計画特別委員会においてご審議いただいた結果とともに、他の審議会等やパブリックコメントによる市民の皆様からのご意見などを踏まえて最終案を取りまとめ、近日中に本定例会に追加してご提案申し上げることとしております。
 地域の活性化や、商工業、観光業や農業などの産業を担う人材の育成は、当市の最重要課題であり、さらに福祉、教育など様々な分野で活躍し、市の発展を支える「ひと」を育むことを基本とした前期基本計画の策定につきまして、議員各位のいっそうのご理解とご協力をいただきますようお願い申し上げます。

 北アルプス国際芸術祭 信濃大町 食とアートの廻廊につきましては、実行委員会におきまして、正副部会長会議及び4つの専門部会を精力的に開催し、様々な課題について検討、協議をいただいております。これに基づき、芸術祭に合わせた市民連携イベントの調整や、芸術祭を盛り上げるサポーターの募集、市内飲食店と連携したおもてなし小皿や自慢の一品事業、芸術祭タイアップレストランなどの食プロジェクトのほか、様々な媒体を活用した広報誘客戦略を実施しているところでございます。
 アート作品関係では、今月上旬に大町市在住の作家5人・組を含む全ての作家36人・組が決定し、最も重要な要素であります参加作家の全容が固まり、改めて選定された作家の構成を見ますと、先催地域の芸術祭と比較しても決して引けをとらない陣容となりました。
 選ばれた作家の皆さんが、当市の多彩な資源の中から何を見出し、どのように作品に表現するか、大いに期待されるところであり、この機会に、より多くの皆様に鑑賞いただきますよう、議員各位にもご支援をお願い申し上げます。現在、作品の構想が示された作家から順次、制作展示を予定する建物等の所有者や関係地域の皆様にご相談申し上げており、間もなくそれぞれの作品の設置場所が公表されることとなります。
 食プロジェクト関係では、市内14店舗の皆様から芸術祭タイアップレストランにご参画いただき、現在、横山タカ子氏、神保佳永氏のお二人のアドバイザーからのご助言の下、芸術祭コンセプトに沿ったメニューの開発を進めていただいており、このように国際芸術祭を契機と捉え、積極的に新たな挑戦に取り組もうとされる皆様との連携をいっそう図ってまいります。
 こうした市民一人ひとりの主体的な取組みがやがて化学反応を巻き起こし、徐々に大きなうねりとなって市全体の活力向上につながっていくものと期待しており、まさしく、国際芸術祭を開催する意義がこうしたところにあると認識するところでございます。
 今月8日には、東京青山におきまして芸術、文化及び旅行関係の新聞・雑誌など、マスメディア向けの企画発表会を開催しましたところ、約70人のご出席をいただき芸術祭の情報発信の大きな弾みとなりました。今月24日からは、パスポートの先行販売を開始する運びとなり、6月4日の開催に向けて大勢のお客様にご来訪いただきますよう、市民の参画と協働による受入れ態勢の整備について、各専門部会を中心に取組みをいっそう加速してまいります。
 なお、国際芸術祭の開催は、規模の大きい芸術文化イベントとして市にとりまして初の試みであり、芸術祭が当地域にもたらす消費等の経済効果につきましても、専門機関を入れ試算し、分析を加えてまいりたいと考えております。

 次に、本年度の主な事業の進捗状況及び新年度の主要な施策につきまして、第5次総合計画で新たに位置づけました5つのまちづくりのテーマに沿って、順次ご説明申し上げます。

 1番目のテーマは、「ふるさとに誇りを持つひとを育むまち」であります。
 ひとづくりに重点を置く第5次総合計画では、地域の未来を託す子ども達の健やかな成長を促進するとともに、子育て世代、働き盛りの世代から、地域社会のリーダーとして活躍される高齢世代の市民の皆様の活動を支援する施策を展開することといたします。
 学校教育につきましては、これまで地域に開かれ地域に信頼される学校を目指し、学校、家庭、地域の連携と協働によるコミュニティ型の学校づくりを進めてまいりました。新年度では、市内全ての小中学校がコミュニティ・スクールとしてスタートしますことから、各校の学校運営委員会等におきまして、教育課程や学校評価、学校支援に加え、今後の少子化を見据えた学校運営の将来ビジョンや市域全体の学校のあり方についても協議、検討を重ねてまいります。
 平成30年度から一部前倒して適用されます次期学習指導要領におきまして、小学校3学年から外国語教育が導入されることが示されましたことから、新年度から新たに小学校に外国語指導助手1人を配置するとともに、英語教育に関する研究組織を設け、課題等について検討を進めてまいります。
 また、第5次総合計画の将来像に掲げる「地域の担い手を育てるひとづくり」の具体的な施策として、高い志をもつ有為の人材の育成が市の将来の発展につながるとの視点から、貸与した奨学金の償還を免除できる「給付型奨学金制度」を新たに創設することとし、所要の経費を新年度予算に計上いたしました。
 生涯学習の振興につきましては、昭和61年に開館した文化会館が本年度、30周年を迎えましたことから、多くの記念事業を実施し、大勢の市民の皆様にご参加いただきました。時代の変遷に対応した新たな地方創生の取組みが求められる中、地域の活力を維持、向上させるためには、市民自らが創り上げる文化の創造が不可欠であります。今後も、市民による自主公演や創作舞台、合奏や合唱、パフォーマンスなどの様々な活動を積極的に支援するとともに、優れた舞台芸術の鑑賞機会の充実を図り、地域文化の向上発展のための拠点施設として、大きな使命を発揮することができますよういっそう努めてまいります。
 社会教育につきましては、現在、第7期社会教育計画の策定作業を進めております。市民の皆様の学習へのニーズの多様化、高度化を受け、様々な地域課題の解決の手段として、また心の豊かさや生きる力を育むため、社会教育はいっそう重要度を増しており、計画に基づき、地域や学校、様々な活動団体との幅広い連携の下、市民の皆様の生涯にわたる自主的な学習機会を提供するとともに、推進体制や事業内容の充実に努めてまいります。
 山岳博物館におけるニホンライチョウの飼育、繁殖研究につきましては、昨年12月に逃げ出したメス1羽は、未だ確認されるに至っておりません。今後も生存の可能性がある限り、1日も早い保護のための情報収集に力を尽くしてまいります。来月中旬からは環境省や日本動物園水族館協会等、関係機関・団体との調整の下、繁殖に向けたペアリング等の準備を開始し、万全の態勢で産卵、飼育に取り組みます。現在、この繁殖事業に対応するため、ライチョウ舎の増設に向け、設計等の準備を進めております。
 鹿島槍ヶ岳カクネ里雪渓の学術調査につきましては、現在、氷河の認定に必要な学術論文の作成が進められており、来月下旬には学会誌に論文原稿を提出する運びとなりました。論文の受理をもって正式認定とされることとなりますが、査読審査が必要なため、氷河であることが確定するのは5月中旬以降となる見込みでございます。
 社会体育の振興につきましては、冬季市民スポーツ祭の市民スケート大会が先月29日に、また、スキー・スノーボード大会が今月19日に、いずれも好天に恵まれ、大勢の選手にご参加いただき盛会裏に終了することができました。天然の雪や氷に恵まれた大町ならではの冬の環境を生かし、引き続き「ひと」を育む冬季スポーツの振興に努めてまいります。大会の実施に向け準備にあたられた関係の皆様に厚く御礼申し上げます。
 新年度におきましては、市民スポーツ祭や大町アルプスマラソン、復興支援女子サッカー大会など恒例のスポーツ大会のほか、新たに、奥原希望さんのリオ・オリンピック銅メダルを記念する、(仮称)仁科の里バドミントン大会の開催を計画しております。また、スポーツ団体等が実施する少年スポーツの推進や指導者の養成等を支援し、若い力を育む新たなスポーツ振興事業を実施することといたしました。
 また、体育施設の整備につきましては、本年度着手いたしました新屋内運動場は、先月から建設工事が始まり、本年秋には竣工する予定であります。工事期間中は運動公園駐車場が狭くなるなどご不便をおかけしますが、利用者の皆様のご理解をお願いいたします。

 

 2番目のテーマは、「活力あふれる産業と地域の魅力を活かしたにぎわいのあるまち」であります。
 観光振興につきましては、春の観光シーズンの幕開けとなります立山黒部アルペンルートの全線開通が、例年より1日早い4月15日に予定されております。また、例年4月下旬に開催しておりましたオープンカーニバルは、閑散期の誘客対策として6月10日に実施することとし、佐々成政武者行列を富山県側と連携した新たなイベントとして開催いたします。昨年のアルペンルート入込状況が、天候不順の影響もあり100万人を下回りましたことから、誘客対策にいっそう力を尽くしてまいります。
 特に本年は、7月から9月にかけて実施されます信州デスティネーションキャンペーン本番を迎え、来月にはJR長野駅での100日前イベントを皮切りに、様々な事業が計画されております。また、最大手の旅行会社JTBにおきましても、全社をあげた全国キャンペーン「日本の旬」が4月から9月に、長野県を対象エリアに展開されることになり、これらの期間中に開催されます北アルプス国際芸術祭を含め、立山黒部アルペンルートや市内観光スポットへの誘客や円滑な受入れに努めてまいります。
 山岳観光につきましては、大正6年に日本で初めて設立された山案内人の組織、大町登山案内人組合が、本年設立100周年を迎えることとなりました。昨年5月には、組合をはじめ山岳、観光関係者による100周年記念事業実行委員会を設立し、プレイベントとして登山ツアーやテレビ番組の制作、放映を行い、全国に向け情報発信に努めてまいりました。記念すべき節目となります本年は、今日まで、岳都大町を支え続けてきた先人の業績に深く感謝し、今後いっそうの山岳観光の振興発展に期待を込めて、秋に開催する記念式典と参加体験型イベントの準備を進めており、この機会を通じて山岳文化都市を標榜する市の魅力を全国に発信してまいります。
 中心市街地の活性化につきましては、第3次中心市街地活性化基本計画に基づき活性化対策に取り組んでまいりましたが、新年度では、やる気のある商店を積極的に支援するため、「がんばる元気な商店支援制度」を創設し、新たな活性化対策に取り組んでまいります。この制度では、店舗の魅力向上を図るため必要な改装工事や、後継者の育成に取り組む中心市街地の商業者に対して助成を行い、努力する商店を支援することを通じて、市内商業の振興と中心市街地の賑わい創出を図り、後継者対策にも資することを目指してまいります。
 創業支援につきましては、昨年2月に、市をはじめ県や商工会議所、市内金融機関等を構成員として大町市創業支援協議会を設立し、協議会を中心に創業支援セミナーや創業塾等を開催し、創業予定者の支援を実施してまいりました。新年度では、セミナーなどの開催に加え、新たにチャレンジショップ事業を創設することとし、商店街の空き店舗を活用して、本格的な出店に向けた準備の一定期間に助成するものであります。この期間に、出店者が経営ノウハウを習得するとともに、消費者の反応を直に体験することを通じて、「やる気」のある創業希望者を発掘、育成し、中心商店街の活性化につなげてまいります。
 企業誘致につきましては、長年の懸案でありました東洋紡工場跡地に、昨年4月、商業施設の立地が実現しましたが、引き続き、東洋紡と連携して残り部分への企業誘致に取り組んでおります。また、これ以外の適地につきましても、市の企業誘致戦略の基本方針に沿って、粘り強く企業誘致に取り組んでまいります。
 なお、平北条屋敷における天然水製造工場の建設に対しまして、本年度中に工場等誘致振興助成の予算措置が必要なため、本定例会に提案しました本年度の補正予算に債務負担行為を設定いたしました。
 ブランド振興につきましては、昨年4月に策定いたしました信濃大町ブランド戦略に基づき、市を訪れるお客様に地域の魅力を伝える特産品の開発を促進するため、特産品開発コンテストの作品を募りましたところ、39作品の応募がありました。来月10日に審査会を行うこととしており、市を代表する発展性のある特産品が選定されることを期待いたしております。
 本年度、水によるブランド戦略を推進するため、駅前広場への親水スポット整備につきまして、基本構想を策定しておりますが、これを踏まえ新年度では基本計画を策定し、「水が生まれるまち」をイメージし、大町の水に親しみ、水の良さを五感で感じることができる街中の拠点の整備を目指してまいります。
 また、当市の水のおいしさを広くアピールするため、水道原水を利用したペットボトルの飲料水を製造し、国際芸術祭をはじめ、訪れるお客様へ提供することといたします。
 米の生産対策につきましては、平成28年産米の生産調整の実績は、生産者や集荷業者等関係団体の皆様の取組みにより1,416ヘクタール、達成率100.3パーセントとなり、目標を達成することができました。また、29年産米の目標につきましては、先月27日に市地域農業再生協議会総会を開催し、前年より9ヘクタール減の1,385ヘクタールと決定したところであり、28年産米と同様に、生産調整の達成に向けて取組みを進めてまいります。
 なお、国では平成30年以降の方針として、生産数量目標の配分を行わず、需給見通し等の情報に基づき、地域農業再生協議会が中心となり、生産者、集荷業者等が需要に見合った米の生産ができるよう努めることとしておりますことから、市といたしましても関係団体と密接に連携し生産者に対するきめ細かな情報提供等により、新たな制度に対応してまいります。

 3番目のテーマは、「だれもが健康で安心して暮らせるまち」であります。
 大町総合病院が策定に取り組んでおります新改革プランにつきましては、外部の委員で構成する経営検討委員会で鋭意検討を進めますとともに、昨年12月定例会全員協議会をはじめ、病院内外からの意見を集約し修正案を取りまとめました。この修正案につきましては、本定例会全員協議会において報告申し上げることとしており、来月中には成案として県に提出することといたします。
 大町総合病院は、大変厳しい経営状況が続いており、新年度予算は本年度に続き赤字を計上する予算となりましたが、新改革プランを適正に反映する内容としており、今後、経営健全化への取組みを具体的かつ着実に進めることにより、持続可能な経営の実現を目指してまいります。
 病院の事務体制につきましては、平成23年度以降、経営企画室の設置をはじめ、医事企画係や施設係などを設置し、企画業務や施設、器械整備などの業務の増大に対応してまいりましたが、大規模な施設整備などが終了したことに加え、兼務による職員配置が多い状況にありましたため、庶務課と経営企画室や係の整理、統合を行い、業務の集約化と組織の効率化を図ることといたしました。
 医師確保につきましては、信州大学医学部附属病院総合診療科との連携により、臨床研修において、新年度新たに後期研修医1人と初期研修医3人が着任する運びとなりました。これにより、後期研修医が3人、初期研修医が5人となり、教育、研修体制の充実がさらに図られることとなりました。
 病院の経営、管理などを総合的に評価する病院機能評価につきましては、今月17、18日の両日にわたり、日本医療機能評価機構による審査が行われました。審査結果は4月に示される予定でありますが、受審にあたり、全職員が医療サービスの見直しに参加し、改善に努めたことは、医療の質の向上につながる効果的な取組みとなりました。
 あすなろ保育園の改築事業につきましては、現在、保育室、遊戯室を配置する新園舎西側部分の建設を進めております。卒園式を新園舎で迎える来月24日を目標に工事は順調に進捗しており、今後も安全に十分配慮し、円滑な進行管理に努めてまいります。
 市内保育園の新年度入園児につきましては、現在のところ前年より14人多い88人の見込みとなっており、8つの園の園児数は合計432人で、前年に比べ6人の増となりました。
 近年、全国的な課題となっております子どもの貧困問題につきましては、新年度において、その実態やニーズを把握し、課題に対する新たな施策の展開を図るため、アンケート調査を実施いたしますほか、県内でも一部で取組みが始まりました「子ども食堂」の実施に向け、関係団体等と調整を進めてまいります。
 障がい者支援につきましては、重度の難聴に有効な治療法であります人工内耳の装着において、体外機の交換費用が利用者の大きな負担となっておりますことから、新たに日常生活用具給付事業の助成対象に加え、制度の拡充を図ることといたしました。これまで、幼児期での装着費用は障がい児医療により軽減されておりましたが、今回の助成制度の新設により、さらに充実することになりました障がい者支援について、広く周知、普及に努めてまいります。
 国では、昨年6月に閣議決定されました「ニッポン1億総活躍プラン」における、子どもの医療制度の在り方検討会での取りまとめを踏まえ、社会保障審議会の部会での議論を経て、平成30年度より、未就学児までを対象とする医療費の現物給付、いわゆる窓口無料化について、国民健康保険に対する減額措置、ペナルティを行わないことを決定しました。
 これを受け、県におきましても、福祉医療給付に関する事務の効率化や制度改正などを協議する事務研究会を発足させ、当市の担当課も参加して現物給付化への検討を開始しており、今後の推移を注視してまいります。
 第3次大町市地域福祉計画につきましては、少子高齢化、社会・経済構造等の変化や地域活動力の低下などの現状を踏まえ、福祉活動を通じて地域を活性化させるため、住民相互の支え合いによる互助、共助の充実を図り、住民、行政、事業者等が一体となって地域全体で支え合う地域福祉の実現を目指すことを目的として策定いたしました。計画に定める地域福祉の将来像を、「参加と支え合いで築く、みんなが元気で共に暮らす笑顔に満ちたまち」とし、この実現に向けて「地域を支えるひとづくり」、「人と人との関係づくり」、「人や地域を支える体制づくり」の3つを基本目標としております。これにより、地域における福祉コミュニティの充実を図るとともに、市社会福祉協議会が策定する「地域福祉活動計画」とも連携して、住民の支え合いと行政との協働の下、施策を展開してまいります。
 なお、第3次地域福祉計画につきましては、本定例会全員協議会においてご報告することとしております。
 高齢者介護につきましては、少子高齢化や人口減少に伴い地域コミュニティが衰退し、人と人とのつながりの希薄化が心配される中、高齢者が自ら生きがいを持ち、仲間づくり等の活動を積極的に進めていくことが重要であり、これからも住み慣れた地域で可能な限り自立した生活を送ることができますよう、生活支援サービスの体制整備を進めてまいります。そのため、地域の助け合いを創出する協議体を組織し、生活支援コーディネーターと協働して、きめ細かな支援サービスを提供する仕組みを構築することといたしました。
 消費生活センターにつきましては、本年度から北アルプス連携自立圏事業として新たに体制を拡充し、大北5市町村における消費生活に係る相談及び苦情等を広域的に処理することとし、消費生活相談の効率化を図りました。引き続き、警察署や県消費生活センターと連携して詐欺被害等の防止など、啓発活動の強化に努めますほか、県の消費者行政活性化事業補助金を活用し、相談機能のいっそうの充実を図ってまいります。

 4番目のテーマは、「豊かな自然を守り快適に生活できるまち」であります。
 市民が安心して暮らせる居住環境の形成につきましては、住宅に求められる省エネ性能や耐震化、環境負荷の低減などの機能を向上させる住宅リフォームを促進し、安全で快適な住生活を実現するため、新年度におきましても住宅性能向上リフォーム支援事業を継続することとし、所要の経費を予算に計上いたしております。
 住宅の耐震改修につきましては、神城断層地震をはじめ、昨年の熊本地震など近年多発する地震災害に鑑み、新年度において補助額を増額して対策を強化するとともに、地域防災計画の見直しに伴い緊急避難場所に指定された施設の耐震診断を実施し、地震による被害を最小限に止めることができますよう対策を講じ、災害に強いまちづくりを推進いたします。
 市道の除雪対策につきましては、先月中旬の4日間にわたる大雪に迅速に対応するため、470キロメートル余に及ぶ市内全域の除雪を実施するとともに、市街地を中心に排雪作業を行いました。これに伴い不足する経費について、補正予算の専決処分を行うとともに、今後も市民の皆様の日常生活に支障をきたすことのないよう万全を期してまいります。
 生活道路の改良や歩道の整備等につきましては、新年度におきましても、引き続き各自治会からの要望箇所を中心に、利用者の安全性や利便性の向上に取り組んでまいります。
 また、橋梁の長寿命化対策につきましては、大笹橋ほか58橋の定期点検や大出橋等の修繕工事を継続的に実施いたしますほか、舗装や付属施設の修繕、更新等、安全で安心して利用できる道路環境の整備に努めてまいります。
 水道事業につきましては、近年、節水意識の高まり等に伴い、使用水量が減少傾向にありますが、本年度では原水供給収益を含め、収益的収支は約6,300万円の純利益が確保できる見通しであります。施設関係では、配水池の電気計装設備の更新のほか、送配水管の耐震化を実施しており、新年度におきましても、継続して施設の更新を進めてまいります。また、配水池の更新を図るため、水道事業変更認可に向け基本計画の策定に取り組むことといたしました。
 公営簡易水道事業につきましては、老朽化した送配水管や電気計装設備の更新を計画的に進め、適切な管理を図るとともに、安定した給水体制の維持に努めてまいります。
 公共下水道事業につきましては、収益の向上を図るため、いっそうの接続促進に力を尽くしますとともに、大町浄水センターの運転管理におきましては、総合的な維持管理の向上に資するため包括的民間委託をさらに進め、経費の縮減に取り組んでまいります。施設の再構築につきましては、水処理設備や機械棟、水処理棟の長寿命化と耐震化を進めており、新年度におきましても継続的に推進することといたします。
 温泉供給事業につきましては、大町温泉郷地区の配湯管更新工事を計画的に進めており、新年度も継続的に更新工事を実施し、温泉の安定供給を図ってまいります。
 北アルプス広域連合が進めております一般廃棄物処理施設北アルプスエコパークの整備につきましては、平成30年7月の完成を目指して工事に着手し、現在、焼却施設の基礎工事を進めております。市といたしましては、新たな施設の稼動までの間、引き続き現在の環境プラントの安全かつ円滑な運転管理に努めますとともに、施設建設に関連する事業を遅滞なく推進してまいります。また、ごみ処理広域化に備え、指定ごみ袋や収集品目の統一に向けた準備と周知、広報に努めてまいります。
 泉地区における臭気問題につきましては、保管場所から流出した堆肥の撤去が昨年末までに完了し、現在、事業者により廃棄物としての処理作業が行われております。市では、住民の皆様の生活環境の維持保全に向けて、県や地元対策委員会と連携して監視を継続し、毎月末に事業者から提出される状況報告書に基づき、作業の内容や臭気対策が計画どおり実行されているかを確認するとともに、引き続き事業者に対し厳しく対応を求めてまいります。
 電子自治体の推進につきましては、市民サービスの利便性向上のため、住民票の写しや印鑑証明書、戸籍証明書等を身近で取得できるコンビニ交付サービスを来年1月から導入することとし、所要額を新年度予算に計上いたしました。導入後は、午前6時30分から午後11時までの間、全国約5万店舗のコンビニエンスストアに設置されているキオスク端末から、交付手続きを行うことが可能になります。
 また、市民サービス向上への新たな取組みとして、例年転入、転出される方が増加する3月下旬から4月上旬の閉庁日に、窓口を開設してほしいとのご要望を多数いただいておりますことから、本年は3月25、26日及び、4月1日、2日の土曜日、日曜日に、本庁舎1階に転入、転出手続きのための臨時窓口を開くことといたしました。対応できる業務は一定の範囲でありますが、多くの方にご利用いただきたいと考えております。

 5番目のテーマは、「市民の参画と協働でつくるまち」であります。
 人口減少と少子高齢化は、当市のみならず大北圏域共通の課題であり、行政サービスを効率的、効果的に提供するためには、自治体間の連携がいっそう重要であります。そのため、大北5市町村では、連携協約の締結により北アルプス連携自立圏を形成し、本年度から成年後見支援センターや消費生活センターの共同設置など、福祉をはじめ、移住交流、若者交流や結婚支援など4つの分野で広域連携に取り組んでまいりました。
 この他の分野につきましても、圏域町村、広域連合とともに検討、協議を進め、新年度から新たに広域観光や就労支援、健康づくり、公共施設の利用促進の4分野4事業を加え、合わせて8分野17事業に取り組むこととし、連携協約を改定するため、本定例会に関係する議案を上程しております。具体的な事業としましては、新たに信州まつもと空港を活用した誘客の促進、新規学卒者等を対象とした企業説明会及び健康づくり講演会の開催、そして図書館の相互利用を予定し、関係町村と連携して取り組むことにより、住民サービスの向上と圏域全体の活性化に努めてまいります。
 市民参加と協働のまちづくりにつきましては、これまで市民の皆様が自主的に取り組む公益性の高いまちづくり活動に対し、きらり輝く協働のまちづくり事業補助金を交付し、積極的に支援してまいりました。新年度におきましては、第5次総合計画の策定に合わせ、市民要望を取り入れながら、より利用しやすい制度となりますよう補助の対象や内容を見直すとともに、名称を「ひとが輝くまちづくり事業補助金」と改め、拡充を図ることといたしました。
 また、定住促進につきましては、平成24年度から大町市定住促進ビジョンに基づき、様々な移住、定住策を講じてまいりましたが、29年度を初年度とする第2期定住促進ビジョンを新たに策定し、市民との協働、連携により地域の特性を生かした特色ある施策をいっそう広範に展開することといたしました。第2期ビジョンでは、昨年2月から10月に市民課窓口で実施した転入・転出アンケートの分析や、第1期ビジョンの検証から見えてきた課題を踏まえ、27年度に策定した「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の施策に加え、新たにスタートする第5次総合計画に掲げる様々な施策を積極的に推進することといたしました。特に、地域を愛するひとづくりや地域の絆を大切に考える「ひと」の受入れ、さらには「ひと」と「ひと」を結びつける施策など、ひとづくりに重点を置いた基本方針の下、新しい人の流れを創出し、定住、移住のいっそうの促進を図ってまいります。なお、第2期ビジョンにつきましては、本定例会全員協議会において報告することとしております。

 

 以上、ご説明申し上げましたが、本年度に予定しました事業は概ね順調に進捗しております。また、新年度における事業の推進にあたりましては、地域経済が依然厳しい情勢の中、より具体的な成果に結びつけることができますよう、全庁を上げ全力を尽くしてまいります。市の財政状況も厳しい状況が続いておりますが、効果的な財源の確保と重点的な配分により、均衡ある市の発展に向け積極的に施策を展開してまいりますので、議員各位をはじめ、市民の皆様のいっそうのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 本定例会にご提案申し上げます案件は、報告案件1件、事件案件5件、条例案件11件、予算案件13件の合計30件でございます。それぞれの議案につきましては、上程の際、説明いたしますので、よろしくご審議いただきますようお願い申し上げます。

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