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大町市。北アルプスの麓、信濃大町。 
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更新日: 2015年9月24日

地熱、温泉熱を利用しての地域の振興(平成27年9月)

 8月中旬、地熱利用の先進地視察に参加しました。行き先は、地熱の開発や利用に積極的に取り組んでいる北海道弟子屈町(てしかがちょう)で、まる2日間をかけて町内の施設を見学しました。地熱利用とは、温泉水などの地熱資源を利用して発電したり、発電後の熱水を農業用ハウスなどの熱源に活用することです。近年、全国各地でこうした自然エネルギーを生かす取組みが盛んになっています。
 北海道の東部、道東にある弟子屈町は、摩周湖や屈斜路湖、硫黄山や川湯温泉などの観光地としてよく知られていますが、町内いたるところに温泉が自噴していて、その数は100か所ほどもあるそうです。その温泉水をそのまま利用したり、熱交換によって生み出される熱エネルギーを活用する温泉熱利用の先進地としても有名です。私が学生時代に、バックパッカーとして野宿旅行で立ち寄った時からおよそ40年ぶりの弟子屈町は、今も変わらず、町じゅうが硫黄の香りに包まれていました。

 今回、温泉熱利用でも、私自身もっとも関心を持って見学したのは、代替フロンを媒体に用いて熱交換し、バイナリー発電を行う摩周湖温泉発電所です。ここは、温泉水を活用して発電を行い、その後に排出される70℃の熱水をビニールハウスに送り、ホウレンソウなどの葉物野菜を温室栽培する約1ヘクタールの施設が組み合わされていました。昨年8月に完成し試験運転中だったのですが、連棟型のビニールハウスがこの春の豪雪、突風で被害を受け、現在運転を停止中とのことでした。発電用の機械プラントは、素人が見ただけで容易に分るものではありませんが、案外簡素な設備に驚きました。ここの出力100キロワットは、大町市が運営している140キロワットの小水力発電所にも遜色のない規模だと思います。

 次いで訪れたのは、温泉熱をそのまま利用して果物や野菜を栽培している2つの農業生産法人です。まず、30棟ものハウスでマンゴーを栽培しているファームピープル(株)では、良く知られているブランドの「摩周湖の夕日」を栽培して成功を収めています。銘柄の冠に付いている「極寒完熟」の文字を見れば、もともと南国の果物マンゴーを、北海道の寒さの中でいかに苦心して高品質の完熟果物に作り上げたかが分ります。「摩周湖」の知名度を生かし、1個6,000円ほどで店頭に並ぶと聞きます。今年度の目標は、約3万個、1億4千万円の売り上げを目指しているとのことでした。経営母体は釧路市内の通信工事会社で、熱源となる80℃の温泉水を最新の技術を駆使して温度管理するために、ICT、情報通信技術のノウハウを駆使しています。経営者の農業にかける並々ならぬ熱意と発想力、そして担当者のご苦労があってこそと、感銘を受けました。

 また、ミニトマトの栽培を手掛けているチューリップ農園は本拠地を淡路島に置き、ここ北海道で新鮮な野菜が不足する冬期間の町内の需要に応えているそうです。本州の生産地から日数をかけて輸送される野菜は、どうしても鮮度が落ちてしまい、お客様に出すにはやはり新鮮な地元産が喜ばれているそうです。夏は小松菜やベビーリーフ、メロンなど45種類を栽培し、冬にはペンションやパスタ屋さん、道の駅に供給しているそうです。ハウスのすぐ脇に源泉があり、余った温泉水が川となって流れていました。手を近づけて見ますと、高温で、とても手を浸すことができず、とうとうと流れる温泉水に地球の持つ無限のエネルギーを感じました。

 次に、町を訪れる人はみな足を止めるという道の駅「摩周温泉」に降り立ちますと、敷地内の温泉源を、大規模な建物全体の暖房や構内の融雪に利用していて、寒冷、積雪地にはとてもありがたい熱源だということが実感できました。



 最後に町役場を訪ね、徳永哲雄町長さんに1時間半もの時間を割いていただき、参加者みんなで懇談させていただきました。参加者の皆さんからは町長さんに、様々な質問が矢継ぎ早に出されました。

 私からは、これほど積極的な地熱の利用が進んだのは何故ですか、とお尋ねしましたところ、徳永町長さんは、まず、温泉熱利用の長い歴史があり、役場庁舎の全館暖房が30年ほど前に整備されたことを挙げられました。また、成功の秘訣は、と畳み掛けるようにお聞きしますと、即座に「説明と説得!」とおっしゃいました。推測しますに、ご在任の15年間、当初には異論や反対意見もずいぶんあったことでしょう。そうした環境の中、町長さんが説明責任を果たす過程で、納得し、応援する側になった町民の皆さんも多かったことと思います。説明責任の大切さを改めて教えていただきました。そして、徳永町長さんのお話を伺い、もう一つの成功の秘訣が、先頭に立つ人の熱意と、周囲に人財がどれほど集まっているかに掛かっていることを痛感したのでした。

 町は現在、産業振興に大きな課題があり、主力の農業では離農や後継者の問題が、また、観光でも訪日観光客は増えているものの全体として厳しい環境にあるとのことで、こうした取組みが町の再生に大きな役割を果たしていることを目の当たりにしました。

 大町市も、弟子屈町と同様に地域振興の課題を抱えており、この人口減少時代、自然の恵み、地域資源を生かして地域産業の振興を図ることが急を要する課題となっています。市内でも、葛温泉から90℃から85℃の高温のお湯が大町温泉郷などに引かれており、こうした地域の温泉水の熱を利用できないか、実現可能性の研究が始まっています。今回の先進地視察を主催した「大町地域地熱発電理解促進コンソーシアム」は、大町市温泉開発(株)が幹事法人となって昨年7月にスタートした協議体で、国の助成を得て、市内の温泉関係者や産業、経済界の皆さんに加え、市や県の地方事務所も参画し、地域の天然資源、地熱利用の理解促進のための学習会や視察調査を実施しています。また、アドバイザーとして、一般財団法人エンジニアリング協会の奥村忠彦さんにサポートしていただいています。

 大町市は、北アルプス一番街とも呼ばれるように、3千メートル級の秀麗な北アルプスの山麓の高原に位置し、豊富な天然資源に恵まれた地です。黒部ダム、立山黒部アルペンルートや木崎湖、青木湖、中綱湖の仁科三湖など、観光資源に枚挙にいとまがありません。とりわけ、葛温泉や大町温泉郷、木崎湖温泉などの豊富な温泉は、大町の観光の基盤となっています。

 大町市では、これまでも、農業用水を活用して小水力発電所を整備するとともに、市役所や図書館、小学校の屋上を利用して太陽光発電施設を設置するほか、地中熱の利用など、様々な自然エネルギーの活用を図っています。さらにこれからも、豊かな自然に包まれたこの地にふさわしいクリーンな自然エネルギーを積極的に生かし、地球温暖化防止と循環型社会の形成に向けて、先端的な環境都市を目指していきたいと思います。
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