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大町市。北アルプスの麓、信濃大町。 
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現在位置:HOMEから我が家の展示圃(平成27年1月)
更新日: 2015年1月30日

我が家の展示圃と「かさ地蔵」(平成27年1月)

 一年の農作業が終わって、やれやれと一息入れていたところ、12月中旬に時ならぬ大雪が降り、すっかり根雪となって年を越しました。我が家の畑では、秋まで自然の恵みを施してくれた野菜の根株などの片づけをやっと終えたところで雪が来てしまいました。凍らせないために盆栽などを鉢ごと埋めるのに畑の雪掘りをする始末です。庭木の雪囲いや雪吊りも満足に済まないまま、春までの長い冬の眠りにつきました。

 家の脇にある畑は、横幅1.5m、縦が5.2mで、7.8㎡(2.3坪)足らずの、猫の額にも例えようのないくらいの狭さです。しかも昨年は、山の神に選ばれし畑の専任従業員の私が怪我をしたために、夏の間の手入れもままなりませんでした。しかし、私が不在でもこの畑はけなげに働いてくれ、病床にはナスやキュウリの浅漬けが届きました。

 畑の代表選手は、毎年キュウリ、ナス、トマトが不動のラインナップで、それにブロッコリー、ピーマン、パプリカなどが加わります。意外に重宝するのは、手軽なミックスサラダ菜で、適当にバラ蒔いておくだけで発芽し、秋遅くまで朝の食卓を楽しませてくれます。まさに、「緑の玉手箱」です。キュウリなどは、苗をたった株植えるだけで、最盛期には毎朝本も本も採れるため、いくら食べても追いつかず、冷蔵庫もいっぱいになり、そのうちキリギリスになりそうでした。

 毎年春、お世話になっている育苗家さんから、植付けの際の注意事項を念押しされ買ってきますと、「いよいよ今年も畑仕事が始まるぞ。」と農家の気分になり、ちょっと気持が引き締まります。トマトやキュウリは大きな藪に成長しますので、蔓を這わすための支え、「手」が必要になります。小さいころ、実家では野菜が成長するころになると、兄弟で裏山へ若木を採りに行き、キュウリ、エンドウなどの蔓性の野菜の「手」にしたものです。若葉のついたままの若々しい枝が相性がいいらしく、毎年、母親の言いつけで採りに行ったことを思い出します。

 ところで、我が家の野菜は、畑から食卓までの流通運搬距離はほんの10m足らずですから、出来ばえに関わりなく、どれももぎたて新鮮なものばかりで美味しくないわけがありません。しかし、知り合いの野菜作りの達人が家に立ち寄って畑に足を止めますと、どういうわけか、「今度うちのを持ってきてやるよ」と言ってくれるのです。どうやら、貧相な我が家の生育状況を眺
め、しみじみ気の毒に思うようなのです。土作りには年季がかかりますし、しかも目に見えない技術の差も大きいので、達人からいただく野菜の見事さは比べ物になりません。味の濃さも決してまねのできない領域です。

 こうして、普通なら市場で取引されるような特級品の野菜をいただくという、願ってもない幸運に恵まれてはいるのですが、人様の憐みにすがって暮らしを立てているようで、なんとも申し訳ない気持です。しかし、考えてみますと我が家の畑は、野菜の見本畑として、知らず展示圃の役割をも果たしているのです。展示圃とは、農業試験場などの研究機関が、開発した新品種や新技術を紹介し、広く普及するために見本を展示する圃場ですが、我が家の不出来な畑は、意図せず真逆の役割を果たしていて、いわば「裏展示圃」というべきかも知れません。でも、この畑によって、間違いなく美味しい野菜が玄関に届くのは正直うれしいことです。

 昨年暮も押迫った28日、大町市内で「信濃大町Youthサミット」が開催されました。郷土大町をどのように盛り上げていくかをテーマに、「マチサラ実行委員会」が主催した手作りの会合です。因みに「マチサラ」の「サラ」はこの地方の方言で「・・・ごと」という意味で、「りんごを皮さら食べる」というように使います。つまり「マチサラ」とは、若い仲間が集い、ふるさと大町について「丸ごと」考え、何か行動しようという気持を表しています。この中で、ゲストスピーカーとして事例をお話された辰巳さんは、市内の湖畔にゲストハウスを開いている体験をもとに、時折、ご近所から大根などの野菜が山のように届けられるという、人情味のあふれる大町のよさを紹介されていました。それを聞いていて、私も我がことのように嬉しく感じました。

 また、それに先立つ11月16日には、市に移住されてきた皆さんが集う交流会があり、そこでも大町の魅力について出席者からは、身近な自然の豊かさや水の美味しさ、北アルプスの絶景とともに、大町の人々の優しさが挙げられていました。具体的な例として、近所の人たちが、さほど親しくなっていない時から、採れたての野菜をどんどん持ってきてくれることが話題になりました。中には、移住して間もない朝、目が覚めると家の前に野菜がそっと置いてあって、誰?なぜ?と、わけが分からず驚いたとのこと。でも、だんだん事情が分かってくると、それが近所同士の普通のお付き合いで、決して押し付けがましいものではなく、自然ににじみ出る温かさが伝わってきて嬉しかったといいます。

 ある方はその様子を、まるで昔話にある「かさ地蔵」みたいだ、と笑っていました。そして、かさ地蔵の正体を確かめたくて、子どもたちと朝早く起きてみたところ、お地蔵様はすでに配達の仕事を済ませ、さっさと去った後だったようで、玄関に野菜だけが残されていたとのことです。こうした人情味豊かな、そしてさりげない親切が、大町の魅力なのだと、あらためて嬉しく感じました。

 今、大町市では、定住対策を政策の重点に掲げ、UターンやIターンとして移り住んでいただくプロジェクトに取り組んでいます。住んでいる市民の皆さんにはこれからも心豊かに住み続けていただき、そのきらり輝く笑顔と温かい人情に惹かれて、多くの皆さんに移り住んで欲しいと思います。

 美味しい取れたての野菜が取り持つ「かさ地蔵」の縁に結ばれている田舎暮らしを、大町で体感してみませんか。
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問合せ先: 庶務課秘書係 内線 507
E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp
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