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大町市。北アルプスの麓、信濃大町。 
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更新日: 2014年12月17日

大町市の小水力発電(平成26年12月)

 11月下旬、「活かそう豊かな水資源」をスローガンに、長野市で第5回全国小水力発電サミットが開催されました。国内有数の水源地帯でもある大町市からも大会に参加し、私が代表して、大町市の取組み事例を報告しました。大町市では、6年前の平成20年に新エネルギー財団と新エネルギー導入促進協議会の支援をいただき、小水力の町川発電所を建設しました。その経過と運転管理の状況を、パワーポイントを使って駆け足でお話ししたのです。何しろ、いただいた時間は何と10分間のみです。その模様を、少し補足しながら誌上で再現してみます。
 
 最初のタイトルバックの画面は、市街地の東側にあるアルプスの展望台、恋人の聖地にも認定されている鷹狩山から眺めた3000m級の北アルプスの山並み。今月初めの後立山連峰の写真は、もう真っ白な雪が被っています。正面にそびえる蓮華岳(2798m)と眼下に広がる市街地の景色は圧巻です。市はアルプスの清らかで豊富な水の恩恵を受け、農業や観光、さらには水力を利用した製造業などが発展してきました。

 また、信濃川水系最上流部の水源地帯であり、大きな電源地帯です。日本で最初に電力供給が始まったのは、明治20年の東京電灯といわれていますが、そのわずか15年後の明治35年に、安曇電気が本社を大町に置き水力発電の開発に着手したことが大町市史に書かれています。それから今日に至るまで、大町市は水と電気に深く関わり歴史を刻んできました。昭和30年代に始まり世紀の偉業とたたえられた関西電力黒部ダムの建設では県境を越えた大町側が拠点となり、その後、市域を流れる高瀬川の上流に建設された東京電力高瀬ダムは、高さ176mで東洋一のロックフィルダム、最大発電量128万KWで、下流の七倉ダムとともに揚水式の発電ダムです。
町川水力発電所の紹介

 その大町市の、最大出力わずか140KWのコンパクトな発電所だからこそ、参加者の皆さんに何か参考になることがあるのでは、と思い話に力が入ります。

 町川発電所は市街地の東南部、一級河川高瀬川左岸の自然の段丘を利用して建設されました。もともと大町では、アルプスから流れ出る川の水を最大限に利用して、郊外の農業地帯から市街地まで、網の目のように大小の水路が巡っています。高瀬川・鹿島川の上流部から取水する昭和電工の青木、常盤など3つの自社発電所をつなぐ導水路を中心に、独特の多用途の水利体系が完備していて、水路が万遍なく整備されてきた歴史が背景になっているのです。その水路の一つ、町川用水に完全従属した小水力発電所がこの発電所です。

 まず、建設の経過です。
 市では、平成17年に地域新エネルギービジョンを策定し、太陽光やバイオマス等、多様なエネルギーの可能性を探っていました。その中で、豊富な水を利用した小水力発電を検討していたところ、新エネルギー法の改正も追い風となって、地域新エネルギー等導入事業補助金を受け、平成20年度に工事に着手し、22年4月に完成して運転を開始しました。建設費は約1億5千9百万円で、半分を補助金、残りを合併特例債で賄い、一般財源は4百万円で済みました。

 さらに、24年の再エネ法の施行に伴い、設備認定を取り直して、昨年3月からは固定価格買取制度へ移行し、売電単価も約4倍になりました。いいことずくめです。

 次に、施設の概要です。
 最大取水量毎秒1.1㎥、管路延長83.7m、有効落差16.2m。横軸フランシス水車と三相誘導発電機により、最大140KWhを発電します。そして、発電量の約7割を、発電所の北640mにある市のし尿処理施設、クリーンプラントへ送電し使用しています。電力版、地産地消の理想形です。クリーンプラントが稼働しない休日と夜間は、余剰電力を中部電力へ売電することになります。

 表流水を利用する水力発電では、水利権の調整は、間々、困難を伴います。町川発電所は発電用として、灌漑期に毎秒1.1㎥、非灌漑期には1.0㎥の許可を国土交通省から受けています。取水した全水量を、そのまま同じ町川用水路へ戻し、取水から放流までの間に受益地の水田がないため、農業関係者の理解を得ることができました。
町川水力発電所の概要

 続いて、パワーポイントの画面で、発電所内部の主な設備、横軸フランシス水車と発電機、そして発電した440ボルトの電圧を送電のために6,600ボルトに変換する変圧器と制御盤、非常通報装置などをご覧いただきました。
 農業用の町川水路と発電用水路の平面図では、県営農業用水路改修事業と並行して発電施設を建設したことから、初期投資も軽減できた様子をお示ししました。縦断図では、段丘の傾斜を利用し、短い管路で有効落差を得るコンパクトな設備の様子が分かります。

 運転開始直後に、ひとつだけ、本当に苦労したことがあります。取水口には当初、絶えず乱流が発生し、そのため取水が安定せず、水位変化の制御が効かない状況が続きました。そこで、市の優秀な技術陣が手作りで10分の1の模型を作り、何度も水利実験を繰り返した結果、水勢を抑える減勢スリットや整流柱などを考案し組み合わせて配置することで見事解決し、おかげで安定した取水が可能になったのです。
町川水力発電所 平面図・縦断面図


 続いて、取水口にある自動除塵機のスクリーンネットや、電力の供給先のクリーンプラントまでの専用送電線640mの経路図、13本の電柱を建て敷地内のキューピクルまで送電し、中部電力と系統連系する様子を紹介しました。

 クリーンプラントの使用電力は、常時使用する120KW分が発電所から供給され、日中の120KWを超える電力は中部電力から購入していることを説明しました。昨年度の月毎の運転実績を見てみますと、適正な維持管理により安定した運転が達成できたため、1年間の停止時間は44時間と少なく、設備利用率90.4%を達成しています。
クリーンプラントの使用電力
  
 経済効果を一表にまとめてみますと、クリーンプラントで発電所からの供給により浮いた電気料金が約1,250万円、売電額が約860万円、そこから維持管理費用約160万円を引いた1,940万円が年間の効果額ということになります。
 そして、今後は、長期間にわたる安定した運転のために、日常の点検や適切な消耗機器の交換などを計画的に実施することが必要、とお話しました。

 町川小水力発電所は小さいとはいえ、年間の有効発電電力量で見ますと、1,045MWhですから、一般家庭の年間消費電力を約3,600KWhとして計算すると、約300戸分の電気を起こしていることになります。
町川水力発電所の経済効果
 
 全体のまとめとして、地方公共団体が発電事業を行う場合には動機付けが重要で、市の施設で電力を活用する地産地消の考えは市民の皆さんの理解は得られるが、それだけではまだ十分ではないと話しました。
 私は、地球環境時代の今日、地方自治体が率先して再生エネルギーの利活用に取り組む責務があり、ましてや、豊かな水に恵まれた大町市だからこそ、水源地帯、電源地帯としての大きな使命があります。町川小水力発電所を環境教育の場として活用することが大切ですし、さらに自然エネルギーの活用を推進していくことが今後の課題だと思います、と力を込めて説明を締めくくりました。

 翌日のエクスカーションでは、大町市方面をコースに選んでくれた参加者は30人近くに上り、純白の姿を見せた北アルプスの麓で、町川発電所や同じく市内に立地する東京電力の大町新堰発電所を視察していただきました。
 本来、基礎自治体として市民に密着した行政を担当する地方自治体の活動というものは、派手さはないものの、こうした地味な分野での着実な仕事こそ大切なのだと、改めて思ったのでした。
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