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現在位置:HOMEから気負わず、臆せず、侮らず(平成25年5月)
更新日: 2013年5月20日

気負わず、臆せず、侮らず(平成25年5月)

 私の手元に一冊のファイルがあります。ここ暫くは使っていませんが、その表紙カバーの裏には、黄色い小さな紙が貼ってあります。その紙には、「気負わず、臆せず、侮らず」と書いてあります。この言葉は実のところ、いつまで経っても生半可なままの私自身に言い聞かせる戒めです。

 何年か前まで県の職員として働いてきましたが、その折、自分の職務に関係する重要な資料を抜き出して、一冊のファイルを作ることにしていました。課長補佐になったころからの習慣です。そして、内容に変更があるとその都度差し替えて、常に最新の状態にしていました。異動により新しい仕事に就くと、また新しい1冊を作るのですが、その作業が勉強の機会でもありました。綴りの厚さは、市販のカバーとしては最大の8センチのものを使っていました。

 自分の担当している仕事の、いわばエキスですから、これ一冊さえあれば大抵の初期対応はカバーできます。例えば、議会や重要な会議に出席するような際には、完全武装で出陣するような気持ちで、必ずこのファイルを持っていきました。また、別室にいる上司に呼ばれたときや、何の要件か分からない場合にも、とりあえずこの1冊を小脇に抱えていきます。特に、何代か前の知事のころ、緊張関係にあった議会との対応で、質問要旨のやり取りさえ廃止されていた「ガチンコ」と呼ばれていた時代に、答弁者として立つ際には、ただこれ1冊だけが頼りでした。
 この命にも代えがたいファイルの表紙裏に、「気負わず、億せず、侮らず」の戒めを貼っていたのです。ただ、このファイルといい、メモといい、周到に準備したとしても、私の場合、それでも失敗を防ぐことはなかなか難しいのが現実でした。
 この戒めは、それまで私が重ねてきた数多くの失敗の中からにじみ出てきたものです。
 まず、「気負わず」の言葉は、会議などで説明に立つときに、気持ちばかりが先走り、つい肩に力が入ったり、思い入れが強すぎて勇み立ったりすることへの警告です。特に、受けた質問にうまく答えようなどと意気込みますと、かえってろくな結果にはなりません。
気負わず、臆せず、侮らず
そもそも、そうした気負いが生じるのは、格好いいなどと思われたいという下心があるからで、こうした時にはたいてい落とし穴が待っているものです。
 余談ですが、健康診断のとき血圧測定で、保健師さんに腕をとられ器具を装着してもらっているだけで、もう血圧が上がりそうになることはありませんか。そんな緊張している時に、私は、心を落ち込ませ、意図的にテンションを下げるようにします。すると、血圧も下がるような気がしてきます。効果のほどは定かではありませんが。

 次の、「臆せず」は、これとは反対に、大勢の前や重要な場面で発言するときに、その場の雰囲気にのみ込まれたり、相手の勢いに気押されてしまい、言うべきことを尽くせなかったときの教訓です。

 議会などでいわゆる「痛いところ」を突かれたような質問で、即座の答弁に詰まったとしても、けっして今まで手を抜くような仕事はしてこなかったはずです。落ち着いて頭の中を整理すれば、必ず答えは出てくるはずですが、あまりの鋭さに腰が引け、「参ったなぁ・・・」などと気持ちが萎えてしまうことがあります。最初にこうした消極的な対応から始まった場合、失敗は後を引き、立ち直るのは容易ではありません。私の好きなスキーでも、急斜面の「こぶ」の中を滑る際には、必ず重心を前にかけ、前傾姿勢で滑るのが鉄則と言われます。ひとたび体が遅れ体勢が崩れてしまうと、その後の対応がどんどん遅れてしまい、立て直すことはまず困難で、見事に転倒という悲惨なことになります。

 最後の3つ目の、「侮らず」は、もっとも大切な戒めです。例えば、相手はここまでは知らないだろう、勉強はしていないだろうなどと高をくくって答弁に立つときなどに犯してしまう失敗です。油断と慢心が元になっているため、この失敗も取り返しがつきません。そもそも相手を侮るということ自体、あってはならない心の在りようです。
 この、「きお、おく、あな」の3つの戒めはどれも、いわば虚心に立ち返ろうということであり、自然体が一番ということなのです。小さい時から多少「がさつ」だった私は、社会人1年生になるときに、母の前に正座させられ、「お前はおっちょこちょいだから、必ず上の方のいうことを良く聞いて、けっして失敗のないように。いいね。」と諭されたことを思い出します。その言葉を胸に留めていましたが、心掛けだけで生まれ持った性格がそう変わるものではありません。しかし、年齢を重ね、組織の中でも責任が重くなっていくにつれ、改めて母のこの言葉の重さを思い起こし、自らの短慮を戒める「気負わず、臆せず、侮らず」の言葉を心に置くようになったのでした。
分野別ファイル

  もちろん、気負うことそのものが悪いわけではありません。気負いは見方を変えれば、役割をしっかり担おうという積極的な心構えであり、責任感、使命感の強さの表れともいえます。要は、気負いすぎることによって平常心を失うことに問題があるのであって、いかに冷静に自分の気持ちを制御するかが肝要なのです。

 これも余談ですが、偉い政治家の方々には、行動に興味深い特性があることに気が付きました。まず、声が大きく圧倒されるほどの迫力があることです。また、すぐに親しく握手をしてくださいます。さらに、いただく名刺には大きな字で名前が印刷されています。これも「気負い」の表れなのでしょう。やはり、リーダーとして先頭に立つ立場の方には、こうした強い使命感が必要なのだと思います。

 私はあまり押し出しが強いほうではないので、市長職に就いた今でも、こうしたことになかなか慣れないでおりますが、しかし、先頭に立って職務をしっかり果たしていくためには、より強い使命感を持ち、ことに当たるよう心掛けなければと思っております。
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