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ホーム イグ・ノーベル賞の田島幸信さん(平成23年11月)

イグ・ノーベル賞の田島幸信さん(平成23年11月)

  つい先日、大町市内でひとつの講演会が開かれました。タイトルは、「地域産業活性化講演会」といい、地域の元気再生のための手掛かりを模索して大町市が主催したものです。講師は今年イグ・ノーベル賞を受賞された大町市生まれの田島幸信さんで、9月に受賞が発表されて以来、マスコミで話題もちきりの時の人です。ご講演の前にお会いした際に「大町生まれ」について伺いますと、お母さんのご実家が市内社地区の閏田とのことで、市立大町総合病院で産声を上げたのだそうです。その後もよく大町に来て、大町の自然を幼い頃からのふるさとの思い出にしていると、嬉しそうに話してくださいました。

 イグ・ノーベル賞というのは、もうご存知の方も多いと思いますが、アイデアに富んでいて、社会に役立ち、真面目で、かつ「人を笑わせ、考えさせてくれる研究」に対して授与される国際的な賞で、1991年にアメリカで創設され、これまでに日本では15の研究が受賞していて、毎年テレビなどの報道を通じて時の話題となっています。ユーモアあふれるその授賞式というのがまた振るっていて、毎年10月にハーバード大学のサンダースシアターという伝統のある建物で行われる式では、受賞者のスピーチは、聴衆の「笑いを取る」ことが求められ、式に臨んだ田島さんたちも大いに会場を沸かせたそうです。
 田島さんたちのグループが受賞された研究は、新聞などでも報道されていますが、「わさび警報器の研究開発」というもので、聴覚に障がいを持つ方に、火災の発生を知らせる機器の開発研究で、その刺激剤としてわさびの香りを使う技術を確立したことによるものです。田島さんによれば、わさびの臭いが人の嗅覚を刺激するのではなく、痛みとして伝わり、寝ている人も起こす作用につながるとのこと。詳細な臨床実験を積み重ね、研究、開発にはずいぶんご苦労されたそうですが、刺激に用いるわさびの濃度を特定したことが大きな評価を受けたとのことでした。

 通常では思いも寄らない発想をもとに、地道な努力の積み重ねがやがて大きくブレイクするという好例です。耳の不自由な人の命を救いたいという信念が、少しもぶれることがなかったのが結果につながったと、謙遜しながらおっしゃいます。
 耳の不自由な方の命を守るために機器を考え、そのためにわさびの香りに着目された発想には驚くばかりですが、先生によりますと、わさびに目が向いたのは、あるとき輸入関係の方と話している時に、革製品のカビを防ぐために、わさびのエキスを使っているとの一言をヒントにされたとのこと。もともとの香りで仕事をしたいという思いと、障がいをお持ちの方の一助になりたいという社会貢献へのひたむきな信念、そして着想の豊かさが決め手になったのだと思います。
 この受賞により、それまであまり引き合いのなかったこの警報器に、世界中から問い合わせが殺到していると笑いながらおっしゃっていました。

 ご講演のテーマは「世界に通じる発想力の磨き方」で、イグ・ノーベル賞受賞につながった研究、開発にまつわる秘話をお話いただきました。講演の締めくくりに田島さんは、「草の根ビジネスからはじめる小さな一歩でも、日本全国各地域が世界を意識すれば、必ず大きな日本の新しい力になる。」ときっぱりと話されました。そして、経済のグローバル化がいっそう進む中で、世界に通ずる商品を産み出すには、地域資源や文化をもとに新しい価値を創り出すことが重要、とおっしゃいます。
 停滞する社会経済、追いつき追い越される日本の産業技術。厳しい環境にあって、それでも生き抜いていくためには、地域にもともとある資源に着目し、それを磨き上げていく努力が大切だとあらためて痛感しました。

 幸い、大町市には、山、水、花、人など、地域資源はたくさんあります。
 まず、山は、標高3,180メートルの槍ヶ岳をはじめ北アルプスの雄大な峰々、地域に根付いた山岳文化。市立山岳博物館は大町のシンボルです。
 水。豊かな自然から湧き出る清らかな湧水、アルプスの雪解けを集めて流れる清冽な高瀬川、アルプスを映す青木湖から連なる中綱湖、木崎湖の仁科三湖。豊富な水に育まれたお米や食材、それに地酒。
 そして、花。春を飾るオオヤマザクラやコブシに始まり、可憐な高山植物にそばの花、秋には野山を彩るもみじの見事さ。アルプスの頂に雪のかぶる頃の三段紅葉はこの地ならではです。
 人は、協働のまちづくりに率先して参加してくださる大勢の市民の皆さん、そして地域の未来を担う子ども達も、スポーツや文化活動を通じきらり輝いています。

 山、水、花、人。私はこの4つが大町のキーワードだと思います。この4つの文字にまとめられる大町の魅力を磨きあげ、より多くの人々に地域の魅力としてご提案できればと思っています。

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