本文へジャンプ
大町市。北アルプスの麓、信濃大町。 
サイトマップスマートフォンサイト
Google  
文字サイズ
文字を小さくする文字を標準サイズにする文字を大きくする
トップページ市民の方へ施設案内事業者の方へ観光情報イベント
現在のページ
現在位置:HOMEから心温まる大町の言葉(平成23年3月)
更新日: 2011年3月29日

心温まる大町の言葉(平成23年3月)

 最近、中学や高校の先輩や同級生で、定年などにより第一線を退き大町に戻ってくる方が徐々に増えています。久しぶりの故郷で、改めてふるさとの温もりを感じていることと思います。本場のおやきや野沢菜などの郷土食に加え、しみじみ故郷を感じるものに、お国言葉、方言があります。
 私も、長いこと郷里を離れ、5年前、37年ぶりに生まれ故郷の大町に戻ってきたときに、ふるさとの言葉というものを改めて実感しました。それまでも長野県内には住んではいたものの、やはり、故郷とは異なる言葉の環境に身を置いていますと、その地の言葉に染まるのは自然の成り行きです。その結果、言葉の無国籍のような宙ぶらりんの状態となっていました。異郷に暮らしていると、ふるさとの言葉にもなかなか出会うことはないために、故郷への思慕はお国言葉への郷愁につながります。

 岩手出身の歌人、石川啄木は、「ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きに行く」と詠み、故郷の言葉を懐かしむ心情を吐露しました。

 あちこち転勤でめぐり歩いたために、言葉のアイデンティティ、いわば大町で生まれたという出生証明を失いかけていましたが、ようやく大町に帰り、ここでの暮らしに馴染むにつれ、懐かしい大町言葉が私の中にどんどん復活してきています。最近私が気に入っている大町らしい方言に、「あだじゃねえ」と「あんじゃねえ」、それに「しゃしらんかあして」があります。

 「あだじゃねえ」は、標準語に直しますと、「並みのことではない、通常のことではない」との意味で、「大変なことだね」というときに、気の毒そうに切なそうな表情で使います。
 「あんじゃねえ」は、語呂はよく似ていますが、意味はまったく異なります。「案ずることはない、大丈夫」という意味です。きっと英語の「ノープロブレム、(no problem)」とほぼ同じでしょう。日本人が外国の方と話をするとき、相手からの「大丈夫ですか?」との問いに答えるときに、この「ノープロブレム」を多用しますが、その意味に近いと思います。私も長野冬季オリンピックの組織委員会に勤務していたときに、大会の準備状況を心配するIOCや競技団体の皆さんに、大町で言うこの「あんじゃねえ」を乱発して安心させたことを思い出します。

 特筆すべきは、「しゃしらんかあして」で、方言として絶品です。その意味は、「そ知らぬ顔をして」とか、「気付かぬ風で」といったところで、周囲に気付かずに何か一心不乱に打ち込むような場合や、意図的に相手を無視してという場合に使います。このケースでは、例えば「牛越さんは、私が声をかけたのに、しゃしらんかあして行ってしまった。」というように用います。「しゃ」の部分は、代名詞「そ」が訛ったもので、「そ知らぬ」であり、この「そ」も、「さ」の音便化で、「そうとは知らぬ」の転化だと思います。使用上の留意点としては、「かあして」の、「かあ」にアクセントを置くと、やや揶揄するかのようなニュアンスがいっそう強くなります。

 ものの本によりますと、サ行の発音は、縦または横に唇を動かして発音するために、口の動きが簡素になり、発音が転化し易いとされます。この発音の省力化傾向について、郷土研究家の相澤亮平先生は、「ズクナシ法則」と名づけていらっしゃいます。「ズクナシ」という言葉自体も方言で、「面倒くさがって、ぞんざいにするさま、または人」というような意味です。で、「ズクナシ法則」とは、先生によりますと、言葉は発音筋力軽減の方向に音韻変化(語形変化)する、というものです。つまり、言葉を発する際に、人は口をあまり動かさないようにするため、発音がだんだん省略され、なまっていくということなのです。

 そういえば、方言の宝庫、東北地方では、最も短い会話の例として、「どさ」、「ゆさ」というのがあるそうです。「どこへ行くのですか?」、「湯(おふろ)ですよ。」ということなのですが、これも寒い東北の地ならではの、省エネ型の発音変化なのでしょう。

 言葉はお国の手形というそうです。言葉を聴けば方言でその人の出身地が分かるということです。しかし、最近は地方でも、若い人たちは流暢に標準語を話します。会話の中で、方言を耳にすることは徐々に少なくなりました。確かに、人々の交流の範囲が格段に広がり、意思疎通のためには共通語は欠かせませんが、しかし、この地域がこの地域であり続けるためにも、方言の役割はけっして小さくありません。これからも心温まる大町の方言は時代を超えて残って欲しいと思います。
お問合せ
問合せ先: 庶務課秘書係 内線 507
E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp
アンケート
 より良いホームページにするため、皆さまのご意見をお聞かせください。
 なお、お答えが必要なご意見等はこちらではお受けできません。問合せ先に電話またはメールでお願いします。
このページは役に立ちましたか