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大町市。北アルプスの麓、信濃大町。 
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現在位置:HOMEから海の絶滅危惧種「海ガキ」(平成22年9月)
更新日: 2011年9月10日

海の絶滅危惧種「海ガキ」(平成22年9月)

 今年の夏は異常に暑く、9月だというのになかなか残暑が収まりません。気象観測の結果によりますと、観測開始の明治31年以来のこの113年で、最も暑い夏だったそうです。涼しいはずの信州でも戸外にいると、息をしているだけで汗を掻きます。家の周りの田んぼの稲は重い穂を垂れ、赤とんぼの姿も目につくようになりましたが、空の気配はまだ夏真っ盛りで、たびたび激しい夕立が襲い、雷に見舞われています。
 夏がことさら暑かったせいか、今年は海や川の水の事故が多かったように思います。実は、私は毎年、家の近くの高瀬川のせせらぎをジャブジャブ歩き、ひとり川で遊ぶのを密かな夏の楽しみにしているのですが、今年はついに川遊びを楽しむ時間がなく、寂しい夏の終わりになってしまいました。

 今年の初め、B&G財団主催の全国サミットが開かれ、私も参加しました。大町市は、山国信州の北アルプスの麓の高原にありますが、天然の湖を生かして、ヨットやカヌーの拠点施設を整備し、水に親しむ活動に取り組んできています。今回のサミットでは、水と遊び自然を学ぶことによって水の事故から子どもたちを守るキャンペーンがテーマのひとつとなりました。会議では、この活動に関わっている方々のお話があり、そのお一人、田久保さんは、「『海ガキ』という絶滅危惧種が日本の海にいることを知っていますか?」と問いかけました。

 「海ガキ?」思わず私も身を乗り出しますと、栄養たっぷりの海産物、牡蠣(カキ)のことではなく、「夏のあいだ、真っ黒になって海や川でさんざん遊ぶ野性味あふれた子ども」のことで、小さな子どもの面倒を見るのがガキ大将です。「ガキ」とは、限りない愛情を込めた表現ですが、そうしたたくましい子どもたちの姿を見かけなくなったというのです。そういえば私たちの育った頃は、水もきれいに澄んでいましたし、大町では川や湖で泳ぐことが当たり前でした。そうした子どもが少なくなったということは、まさしく「海ガキ」、「川ガキ」は絶滅危惧種であり、たいへん憂慮すべきことだと思います。

 私たちは、社会の進歩につれ、知らず生活の便利さに慣れてしまい、人間が本来持っている野性や本能が鈍ってきている気がします。身の周りにある危険を察知したり、危険を避け自分の命を守る力や術を、あるいは失いつつあるのではないでしょうか。
 ニュージーランドの温泉観光地で実際に起こった事故の話で、湧き出す熱湯の中に日本人の観光客が転落し、熱傷を負ってしまったそうなのですが、その落ちた当人は、「危険の表示がなかった、柵もなかった」と言ったとのこと。う〜ん、どう考えたらよいのでしょう。

 例えば、自分の顔の前に急にボールが飛んでくれば、とっさに目をつむります。何かにつまずけば、もう片方の足が前に出る、倒れそうになれば、自然に手が出ます。おでこで地面にぶつかることはありません。身の周りに何か危険なものが近づけば、気づく力、とっさに避ける力はもともと備わっているのです。危険を察知する力、身を守る力はもともと人間に自然に備わっている能力のはずです。こうした人間本来の力を呼びさますには、野外でのさまざまな自然体験が一番だと思います。

 もちろん、地域社会からさまざまな危険を除去する役割は行政が担います。交通安全施設や、通学路など危険個所の点検・安全対策はしっかり進めていかなければなりません。一方で、私たちの身のまわりから全ての危険な要素を取り去ることは容易ではありませんし、また、小さな危険因子まで除き去り、純粋培養のような環境とすることが決して良いこととは思いません。生物としての人間のもろさをカバーするためにも、少しの危険が身のまわりにあり、それらを体験し、乗り越える過程も大切なのではないでしょうか。

 暑すぎた夏を少し感傷的に思い出しながら、強い日差しの下で、元気に野や山を駆け巡り、川や湖で水に遊ぶ、地域の子どもたちがたくましく健やかに成長する姿を心に浮かべるのでした。
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