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ホーム 雪上のミステリー・サークル(平成22年1月)

雪上のミステリー・サークル(平成22年1月)

 今年は、昨年末からの大雪で、久しぶりの白銀の中のお正月となりました。多くのスキー場を持つ大町にとっては、雪のシーズンに雪がなくては始まりません。

 この冬は、近年では比較的早い恵みの雪となり、暮れの12月18日から19日にかけて40センチほどの降雪がありました。その数日後のこと、市役所の東の窓から間近に見える大町高校のグランドに、見慣れない模様があることに気付きました。よく見ますと、直径8メートルほどの正確な円形と、それよりやや大きめの四角形がくっきりと雪の中に浮かび上がっています。広い雪面の中の幾何学模様はいったい何か。ちょっとしたミステリーです。もし宇宙人が、何かの目的で大町にやって来て跡を残したとしたら、間違いなくビッグニュースです。

 しかし、さらに目を凝らして見ますと、精密な図形には、雪をしっかりと踏み固めた靴の跡が残っています。そして、図形の向こうの校舎のほうからは、一筋の足跡が点々と続いてきていますから間違いなく人間の所業で、その足跡の人物がこの芸術作品を創作したのだということは一目瞭然です。それにしても相当に根気のいる仕事です。もしこの人物が3年生だったとしたら、大学受験を間近かに控え疲れた頭を休める、いっときの気分転換だったのかもしれません。きっと几帳面なこの生徒は、参考書の重要か所にマーカーでしっかりアンダーラインを引いてあるでしょう。それも3種類くらいの色で。

 30年ほど前、イギリスを中心に世界中で盛んに報告されたミステリー・サークルは、ご存知のとおり、麦畑などで作物が円形に倒される現象です。宇宙人が作ったとか、プラズマ現象説とか、いろいろ話題になったときは、私も興味をそそられたものでした。きっと誰かが受けを狙ってやったのだろうという思いもあったのですが、中にはどう見ても人為的な痕跡がないという学者の鑑定もあって、不思議に思った記憶があります。しかし、月曜日に多く発見されるのは時間の取れる土日に人間が作った証拠という説も説得力がありましたし、特に、ブームの後期には、いくつもの円形が複雑な意匠で組合わされた芸術的なデザインのものが現れるようになり、こうなればどう見ても人間によって作られたものに間違いなさそうに思ったものでした。

 そして、90年代ごろには、製作者自身の告白があったことなどから、人為的なもの、つまり愉快犯の仕業と考えられるようになり、それとともにブームは去り、また、当然のことながらサークルはあまり発見されなくなりました。
 私自身、超常現象に対しては、まずは謙虚に不思議と思うと同時に、決して妄信せずに科学の目で冷静に考える態度を持ち続けたいと思っていますが、今もってミステリー・サークルには、なんだか夢を砕かれたような気がしています。

 大町高校の庭のミステリー・サークルは、雪が数日で融けてしまい、せっかくの芸術作品も跡形なく消えてしまいましたが、思いがけず昔を懐かしむひと時となりました。その後も雪が降るたびに大町高校の庭に目を遣りますが、残念なことにミステリーにはお目にかかっていません。

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