menu close
  • サイトマップ

  • 文字サイズ

  • 音声読上げ

  • 言語選択

  • サイト内検索

ホーム サクソフォンのリサイタル(平成21年5月)

サクソフォンのリサイタル(平成21年5月)

 つい先ごろ、大町市文化会館でちょっとしたコンサートがありました。サクソフォン奏者遠山望さんの活動10周年を記念したリサイタルで、5回目を迎えます。大町市に生まれ、12歳からサクソフォンを始めた遠山さんは、音楽大学でサクソフォンを専攻され、卒業後、大町市や安曇野市などを中心に活動を展開しています。これまでにリサイタルをはじめ、数多くの演奏会を開いておられ、また、合唱団の指導、指揮にも携わっています。

 この日は、リサイタルに先立ちロビーコンサートも開かれ、ソプラノ、アルト、テナーのサクソフォンによるアンサンブルを聞かせていただきました。演奏している3人のほんの近くの床に小さな子どもたちが腰を下ろし、音楽を身近に感じながら聞いていました。このグループの名はサクソフォンアンサンブル・イールドといい、「イールド」とは、「収穫」という意味だそうです。この日の演目に、R.シューマンの「収穫の歌」というのがありましたが、その縁なのでしょうか。

 ホールでのコンサートでは、クラシックからタンゴ、映画音楽など多彩な曲目を楽しませていただきました。阿部清美さんの委嘱新作、アルトサクソフォンとピアノのための組曲「時の彼方へ」の初演を含め数多くの曲目が演奏され、ピアノとのコラボレーションに時間のたつのも忘れてしまいました。
 学生時代に映画が好きでよく見に行っていた私は、サクソフォンの奏でる「ロミオとジュリエット」と「ひまわり」のテーマに聞きほれました。「ロミオとジュリエット」は、当時新人だったオリビア・ハッセーの美しく初々しい演技が衝撃的でしたが、甘く切ないニーノ・ロータの音楽が全編をおおい、映画ではビオラかチェロの弦楽器の音色だったような気がしますが、サックスの艶のある演奏もなかなかでした。

 「ひまわり」は、第2次大戦中、ロシアの戦線に出征したイタリア軍兵士(マルチェロ・マストロヤンニ)が帰還せず、妻(ソフィア・ローレン)が激戦地を訪ね、捜し歩くというストーリーで、兵士は敗走の末、雪原に倒れて現地の少女(リュドミラ・サベーリエワ)に救われ現地で結婚し、平和に暮らしていたという物語です。地平線まで続く広大なひまわり畑の情景は圧倒的で、ひまわりが咲き誇る大地の豊かさは、傷ついた敵方の兵士までをも包み込む大きな包容力を表現しているように思いました。この映画の音楽担当は、ヘンリー・マンシーニでしたが、コンサートでは、映画の描く、運命の過酷さに切り裂かれたどうしようもないやりきれなさといったものを、遠山さんのサクソフォンで聞かせていただきました。演奏中、はるか昔に見た映画の場面が鮮明によみがえり、俳優、女優の名前まですらすらと浮かんできました。

 音楽の話に戻りますが、私は楽器の知識はおろか、音楽全般の素養に乏しく、ただ聴いて楽しむ程度の愛好者なのですが、サクソフォンの艶のある柔らかい音色は本当にいいなと思っていました。この楽器は大部分が金属で作られていますが、音を出すリードが非金属(葦の一種だそうです)で作られているために、木管楽器に分類されるということはよく知られています。トランペットなどの金管楽器は、木管楽器に比べ音色がやや堅い感じがしますが、サクソフォンは程よいまろやかさを帯び、艶のある音色に感じられます。
 インターネットで調べてみますと、サクソフォンは今普通に使われている楽器の中で、唯一発明した人が特定できる楽器なのだそうです。アドルフ・サックスというベルギー人が1846年に発明したとのこと。発明の目的が金管楽器と木管の両方の音色を併せ持つ、いわば「いいとこ取り」の楽器だったのです。なるほど、でした。

 コンサートで私は、大町市内を中心に熱心に活動するハイレベルな演奏家がいて、身近に上質な演奏を聴くことができる喜びを、しみじみと感じました。遠山さんは、「これが満点」とは、とても言えないと謙遜され、これからも音楽家として、また、一人の人間として向上していきたいと決意を語っておられます。これからのご活躍に期待したいと思います。

この記事へのお問い合わせ

庶務課秘書係 内線 507
E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp

アンケート

より良いホームページにするため、皆さまのご意見をお聞かせください。
なお、お答えが必要なご意見等はこちらではお受けできません。問合せ先に電話またはメールでお願いします。

このページは役に立ちましたか?