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ホーム 山村留学、感動の入園式(平成20年4月)

山村留学、感動の入園式(平成20年4月)

 皆さんは山村留学という言葉を聞いたことがありますか。子どもが親元を離れ農山村に移り住んで、1年から2〜3年地域に溶け込んで暮らすものです。
 ここ大町市は山村留学発祥の地で、八坂地区ではすでに30年を超える歴史があります。ことの発端は、昭和43年に、子どもたちの自然体験教育の必要性を感じた青木孝安さんが(財)育てる会を設立し、ついで昭和44年に夏休みなどを利用して短期の自然や農家生活の体験活動を八坂村(当時)で始めたことによります。そして、51年からは年間を通じた山村留学を、農家の皆さんとの協力のもと、本格的に展開されました。現在では、隣の美麻地区(旧美麻村)でも行われていて、昨年度までの受入れ延べ人数は、両地区で 1,045人に上ります。

 つい先日、拠点である山村留学センターで、今年度の入園式が行われ、私も出席させていただきました。今年は両地区で新たに13人の入園生を迎え、継続の学園生と合せ26人が集い、緊張の中にも初々しく心なごむ感動的な式となりました。
 学園生は、手に手にダンコウバイ(壇香梅)の小枝を持ち入場し、花器に見立てた「ゴンゾ」と呼ばれる稲藁で編んだ長靴に、1人づつその黄色い花を差し入れました。ダンコウバイは、別名ジシャとも呼ばれ、春、八坂の山で最も早く花をつける木です。青木理事長さんからは、「この花を生けることでみんなの気持ちを一つにし、来年の春までがんばろう。」というメッセージが贈られました。この「春を呼ぶ入園式」は、学園恒例の行事で、この山村留学の取り組みを紹介した、國分紘子さんの著書「山村留学と生きる力」の中でも紹介されています。

 学園生は、つづく自己紹介で、学園での自分の目標を発表し、この1年の決意を語ってくれました。保護者の皆さんも次々に立ち抱負や学園への期待を述べました。理事長さんからは、「ベテランの指導員、また、受入れ家庭のお父さん、お母さん、そしてこの地域の皆さんみんなが、しっかりサポートします。お子さんをご安心してお預けください。」と、心強いご挨拶をされました。受け入れ家庭では、里親さんを「お父さん、お母さん」と呼び、本当の家族のように生活します。

 私もご挨拶を申し上げ、「すばらしい大自然の中で、さまざまな体験を通じて、得がたい経験を重ねてください。自然は一方で、辛く厳しい面を合せ持っており、また、山村生活は不便さが伴います。時には、街での生活にはない、危険なことさえ身近に生じます。この豊かな大自然の中で、自ら壁を乗り越えていく力を学び、強く逞しく成長してください。」とお話しました。事実、地区にはコンビニは一軒もなく、気軽にお店に立ち寄ることも出来ません。また、一昨年は全国的な天候不良のためか、各地で野生の熊の出没が相次ぎ、ここ八坂地区でも人里に熊が出没しました。幸い、学校では、登下校にスクールバスを手配するなど、すばやい対応によりことなきを得ましたが。

 子どもたちは、逆境とも言えるこうした環境の中、さまざまな課題を乗り越え、仲間との交流を通じ、身体的にも精神的にも、見違えるほど逞しくなります。そして、何よりも自然を楽しめるようになります。
 ここでの生活は、月のおよそ半分を農家で、残りの半分を山留センターで集団生活を送ります。センターでは、週末を中心に専任の指導者のもと、米や野菜づくりの農業体験や、登山、キャンプ、スキーなど、四季を通じて、豊かな天与の環境を活かした自然体験活動を経験します。また、収穫祭など、年間を通じ保護者も参加してのイベントが開かれています。

 國分さんのご本によりますと、山村留学は現在、過疎化に悩む農山漁村を中心に、全国90もの市町村に広がりを見せています。
 こうした山村留学では、受入れ側の地域にもさまざまな効果が生まれます。こども達の受入れにより、学校では適正規模の学級編成ができ、教育の効果が向上しますし、地域の子どもたちへの刺激が生まれ、切磋琢磨の機会が増えてきます。保護者の訪問による地域経済の消費効果も見逃せません。それにも増してうれしいのは、地域の人々が他との交流により自分たちの地域のよさに気づき、自信を持って、よりすばらしい地域づくりに取り組む機運が生まれたことです。住民の皆さん自らによる地域づくりは、この地域にとっても永遠の命題なのです。

 これからも、山村留学により多くの子どもたちが集い、すばらしい体験をしていただくとともに、八坂地区がみんなの力できらり輝く地域になることを願っています。

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E-mail: hisyo@city.omachi.nagano.jp

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