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アサギマダラに夢を乗せて(平成19年12月)

 皆さんはアサギマダラを知っていますか。羽の大きさが5〜6センチになる蝶で、よく知られているアゲハチョウよりはやや小さめです。
 じつは、私はこの秋、大町市にこの蝶が大挙してやってきているというニュースで聞いて、初めて知りました。よく聞きますと、仁科三湖の中で一番小さい中綱湖のほとり、古川さんのお宅の畑に乱舞する姿が見られるというのです。9月のある日、私も家内と連れ立って、いそいそと見に出かけました。きれいに手入れされたフジバカマの花畑には、アサギマダラが何頭か、花の間を舞うように飛んでいます。時々花にぶら下がるように羽を閉じて止まり、花の蜜を吸っています。

 結局この日、私の目で数えられたのは20頭ほどでしたが、前日には2千頭も飛来して、まさに乱舞の状態だったと伺いました。
 私はてっきり、フジバカマの花がアサギマダラの食草だと思っていたのですが、蜜を吸う、エネルギーの補給のために群がるということを、市内在住の山崎一彦さんに教わりました。山崎さんは、今年秋の市の文化祭に、さまざまな蝶の標本を出展されていて、その数は会場の広めの一室をいっぱいに埋めるほどでした。蝶を「何匹」ではなく、「何羽」でもなく、「何頭」と数えるのだということも山崎さんから教わりました。ちなみに食草は、カモメズル、キジョランなどのガガイモ科の植物だそうです。

 この蝶はまた、春に北上、秋に南下を繰り返す「渡り」で知られています。中綱はその渡りの中継地だったのです。もっとも、南下する個体と北上する個体は別物で、南下した蝶が南の島で繁殖し、その子孫が北上するとのことで、それはそれで不思議なことではあります。この蝶が、この心もとない羽だけで日本列島を南下して、はるばる西南諸島まで飛んで行くのです。報道によりますと、中綱湖畔のこの畑でマーキングされた1頭が、なんと台湾の蘭嶼島で確認されたとのこと。驚くほかありません。この蝶の移動が台湾など国外まで広く及んでいることが明らかになっていますが、その移動の範囲の全貌はまだ明確になっておらず、謎の蝶ともいわれているそうです。

 それはそうと、アサギマダラの「浅葱」は色の古い名称で、緑がかった薄い藍色のことだそうで、この蝶の羽の半透明の水色がその名の由来となっています。私たちの世代には懐かしい、さだまさしの名曲「精霊流し」の歌詞にでてくる「あなたの愛した母さんの、今夜の着物はあさぎいろ」は、残念ながらこの色ではなく、「浅黄色」のほうだそうです。私としては、早く逝った息子を悼むお母さんの着物の色は、「浅葱色」のほうが情感があふれていてよいと思うのですが。

 中綱湖の周辺では、今、あちこちにフジバカマの花が植えられ、地域づくりに熱心な皆さんの手によって「アサギマダラの里づくり」が進んでいます。この地はまた、自生地として南限とされるオオヤマザクラの群生があり、鮮やかな濃い桃色の花が、遅い春の湖に映る光景は、カメラマンや日曜画家の絶好のポイントです。近くのJR大糸線の駅「簗場(やなば)」の趣深い名前といい、中綱湖畔はこれから「旬な」スポットになること請け合いです。

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